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二度目の砦生活
囚われの身
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僕は幻の様に消えかかるフーガを追いかけていた。走り過ぎて心臓が破裂しそうだったけれど、ここで諦めたら二度とフーガに会えない気がした。
この世界に来てから、フーガは僕の兄弟の様なものだった。ジュリアンに言えない向こうの世界の事を思い出して、揺れる気持ちを慰めてくれたのはいつもフーガだった。
一緒に訓練して、戦いに出陣して、僕の大切な相棒だった。美しい灰色の美しい馬のフーガ。
そのフーガが拐われようとしているのに、諦めることは出来なかった。
キラキラと粒子が光る空間へ、フーガと数頭が駆け込んで行った後を追いかけて足を踏み入れた瞬間、僕の身体は乾燥した砂地に投げ出された。目の前に10人ほどの兵士や、騎士が佇んでいて僕が転がり出た事に驚いている様だった。
僕はハッとして、周囲に立ち込める重苦しい空気に思わず祝詞を唱えようとした。
その前に、マントを着た人物が僕に手をかざして何か呟いた。
僕は途端に力が抜けて、意識もぼんやりとして口から出たフーガを呼ぶ自分の声も遠くなっていった。
************* ** *** *
苦しそうな呻き声がどこからか聞こえてきて、僕は意識が浮上した。
瞼は重くて開かないが、光を感じないのでここは夜なのか、暗闇なのか。
呻き声は案外側で発せられている様で、僕は身体の向きを動かそうとした。
気怠い身体は鉛の様に重く、ぼんやりとした意識も集中しないとズブズブと底無し沼の様な場所へ沈んで行きそうだった。
僕は唇に歯を立てて噛み締めた。チリっとした痛みと鉄の味が僕の意識を少しハッキリさせてくれた。
息を深く吸って脳細胞に酸素を大量に送り込む様に意識して、僕は朦朧とさせる霧のようなものを追い払った。
少しマシになった意識で、僕はゆっくりと瞼を持ち上げた。最初は何も見えなかったが、目が慣れてくるに従ってここは美しい部屋だという事が分かった。
気を失う前に、明らかに敵の手に落ちたと気づいていたので牢屋のような所に転がされていてもおかしくは無いはずだった。
僕は重い身体を動かそうと、手の指一本づつ意識してゆっくりと動かしてみた。
段々感覚が戻ってきて、それと同時に両手首が縛られている事がわかった。
痛みは弱いが、全く外れる気がしない。何で縛られているのかも見えないので分からない。紐とかでは無さそうだった。
手以外は拘束されていないようだったが、指先以外は自由にならなかった。
何度か瞬きをしていると、先程呻き声が聞こえていた方向から人の声が発せられた。
「ほう、もう覚醒したのか。」
この世界に来てから、フーガは僕の兄弟の様なものだった。ジュリアンに言えない向こうの世界の事を思い出して、揺れる気持ちを慰めてくれたのはいつもフーガだった。
一緒に訓練して、戦いに出陣して、僕の大切な相棒だった。美しい灰色の美しい馬のフーガ。
そのフーガが拐われようとしているのに、諦めることは出来なかった。
キラキラと粒子が光る空間へ、フーガと数頭が駆け込んで行った後を追いかけて足を踏み入れた瞬間、僕の身体は乾燥した砂地に投げ出された。目の前に10人ほどの兵士や、騎士が佇んでいて僕が転がり出た事に驚いている様だった。
僕はハッとして、周囲に立ち込める重苦しい空気に思わず祝詞を唱えようとした。
その前に、マントを着た人物が僕に手をかざして何か呟いた。
僕は途端に力が抜けて、意識もぼんやりとして口から出たフーガを呼ぶ自分の声も遠くなっていった。
************* ** *** *
苦しそうな呻き声がどこからか聞こえてきて、僕は意識が浮上した。
瞼は重くて開かないが、光を感じないのでここは夜なのか、暗闇なのか。
呻き声は案外側で発せられている様で、僕は身体の向きを動かそうとした。
気怠い身体は鉛の様に重く、ぼんやりとした意識も集中しないとズブズブと底無し沼の様な場所へ沈んで行きそうだった。
僕は唇に歯を立てて噛み締めた。チリっとした痛みと鉄の味が僕の意識を少しハッキリさせてくれた。
息を深く吸って脳細胞に酸素を大量に送り込む様に意識して、僕は朦朧とさせる霧のようなものを追い払った。
少しマシになった意識で、僕はゆっくりと瞼を持ち上げた。最初は何も見えなかったが、目が慣れてくるに従ってここは美しい部屋だという事が分かった。
気を失う前に、明らかに敵の手に落ちたと気づいていたので牢屋のような所に転がされていてもおかしくは無いはずだった。
僕は重い身体を動かそうと、手の指一本づつ意識してゆっくりと動かしてみた。
段々感覚が戻ってきて、それと同時に両手首が縛られている事がわかった。
痛みは弱いが、全く外れる気がしない。何で縛られているのかも見えないので分からない。紐とかでは無さそうだった。
手以外は拘束されていないようだったが、指先以外は自由にならなかった。
何度か瞬きをしていると、先程呻き声が聞こえていた方向から人の声が発せられた。
「ほう、もう覚醒したのか。」
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