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終章

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一方、その頃。


亜里亜アリアさん!」

1人の男性プレイヤーが、亜里亜に声をかける。

その、物凄く爽やかな笑顔は異性を惹きつける事この上ない〝美〟青年で、街中で擦れ違えば、10人の女性中9人は振り返るほどのイケメン具合だった。

《げっ・・・・》

思わず、心の中で呻き声を上げて、声を掛けてきた男性プレイヤーの方から逃げようとする亜里亜だが。

「亜里亜さん!待ってください!僕です!アリオンです!」

「声で分かるわよ。 だから、離れようとしてるんじゃない・・・」

心底嫌そうな顔をしながら、亜里亜がアリオンの方に向き直る。

「声で、僕だって判るんですか! 亜里亜さん、嬉しいです!」

「はぁぁぁ~~・・・。」

アリオンを見ながら、亜里亜が深い溜息をつく。

その様子を、けいが横から見ていると。

「初めまして。 僕はギルド【クリミナル】のギルマスをやってる、アリオンと言います。」

そう言って、けいの手を握るアリオン。

「きゃっ。」

突然、手を握られて、慌てて握られた手を引っ込めるけい

けいの目の前には、セクハラコードが表示されていた。

手を握られて、けいの不快感指数が上がった為にコードが機能したのだ。

けいちゃん、セクハラコードが発動してたら。 そのまま【YES】を押しちゃって!」

けいのセクハラコードの表示は亜里亜には見えないが。

けいの反応から見て、亜里亜はコードが機能したのだと思う。

「ふぇ!?」

「ゴメンなさい。 いきなり手を握ったりして。」

亜里亜の言葉に驚くけいに、アリオンが頭を下げて謝った。

「いえ・・・驚いただけなので・・・」

けいの不快感指数が下がり、セクハラトコードが目の前から消える。

「チッ・・・・・」

桂の表情を読み取ったのか、亜里亜が大きな舌打ちをする。

「亜里亜さん。 ギルドの件は考えてくれましたか?」

けいから亜里亜に向き直り、アリオンが亜里亜に尋ねる。

「ちゃんと、断ったでしょう。

〝私は入らないって〟言ったのを覚えてないのかしら?」

「そこを考え直してください!

亜里亜さんのOSは、正にPKKプレイヤーキラー・キラーで正義を示す為にあるようなスキルなんですよ!」

「だからぁ。私は、PKプレイヤーキラーPKKプレイヤーキラーキラーも同一の存在だと思っているの。判る?」

「違います! 僕たちは、一般プレイヤーを守る為に結束してるんです。

PKなどと一緒にしないでください!」

「PKを狩る貴方たちと。 一般プレイヤーを狩るPK。 どう違うの?」

「僕たちは。 一般プレイヤーや、初心者プレイヤーを守る時だけしか対人戦闘はしません。

アイツらは、自分の楽しみだけで一般プレイヤーを狩るんです!」

「どっちも、〝相手を狩る〟と言う行為は同じでしょう。

それを認めないから、貴方達は嫌いなのよ。」

亜里亜は、アリオンの後ろに居る数人のプレイヤー達を睨みつける。

「それに、ちゃんと良く見てよね。」

そう言って、亜里亜は自分の頭の上を指差す。

亜里亜の頭上には、プレイヤー名を指すタブが表示されている。

そして、名前のタブの上には【幽霊騎士団ファントムナイツ】と書かれたギルドタブが表示されている。

「ギルドに・・・入ったのですか?」

アリオンが亜里亜に尋ねる。

「そうよ。」

冷たく、あしらう様に亜里亜は言い放つ。

アリオンは、隣に立つ桂に目をやる。

そこには【幽霊騎士団ファントムナイツ】のタブが。

「聞いた事もないギルドですが・・・」

アリオンの表情は、狐にでも摘まれたようにキョトンとしていた。

「そりゃ、そうでしょう。 最近出来たばかりのギルドなんだから。」

「どうして・・・・・」

自分の所に入ってくれないのか、アリオンが訪ねようとした時。

「彼らは、私達の自由を認めてくれたのよ。

貴方たちと違って、縛らない約束をしてくれたの。」

亜里亜が、アリオンの言葉を遮り説明をした。

アリオンの表情が険しくなり、亜里亜の横にいるけいを見る。

「そういう事なんで諦めてね。 んじゃ、バイバイ。」

亜里亜は、けいの手を引きながらハウスに向かう。


 
 * * * * * *



「ただいまぁ~。 あれ?チューさんは?」

亜里亜がけいと共に、イクルたちの居る屋上に帰ってきて。

CHUの姿が見えないので尋ねる。

「ちょっと前に、帰還したよ。 もう、ログアウトしてるんじゃないかな。」

「そっ・・・・」

イクルの返事を軽く聞き流しながら、ティファの方を見る亜里亜。

「ティファちゃん。 惜しかったね。」

「負けは、負けだよ。」

「なら、今度は勝たないとね。」

ニコリと微笑みを浮かべる亜里亜。

「うん。」

ティファも、笑みを浮かべて言葉を返す。

「ティファ。 受け取れ。」

突然キョウが、ティファに向けてトレードを飛ばす。

名前を呼ばれて、目の前に表示されるトレードウィンドウを見れば。

1本のハルバードと、金属鎧が表示されていた。

キョウは黙ったまま、OKの表示を押す。
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