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09.残された手記01
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それから私はしばらく確信について恐ろしくてリベリオンに問うことはできなかった。
代わりに兄が酷い顔色で私の元へやってきた。
「……どうされましたか?」
私が聞けば、兄上はとても憂鬱そうに何か考えているようだった。しばらくの沈黙があったのち、口火が切られた。
「今朝、ある男の焼死体が発見された。男の身元は状態が酷くてわからなかった。しかし……奇跡的にその男の持ち物で焼けなかったものがあった……」
そう言って、兄は一冊の黒皮で覆われた手帳のようなものを見せた。それは年代物で高価なものだろう。
「とてもむごい事件ですね。それでお兄様はまいってらっしゃるのですね」
「いや、問題はこの手帳の中身だ。ここにある人物に関することが書かれていた」
兄の言葉でそれがリベリオンに関することだとすぐにわかった。
「それはリベリオンに関することですね」
「ああ。事実はわからない。この内容が嘘かもしれない。それでもシルビアが見たいなら……」
「見せてください」
ずっと訳の分からないものに怯えるよりずっとマシだ。私はその手帳を開いた。それは何故かとても見覚えのある字で書きつづられていた。しかしどこで見た字かは咄嗟にわからなかった。
ペラペラとページを捲りそのページの内容に私は震えた。
『6月13日
俺の仕えている、バーミリオン公爵家は異常な家だ。特に公爵様とリベリオン坊ちゃんは頭がおかしいと思う。何故婚約者にあんな酷いことができるのだろうか?
俺は坊ちゃんにちゃんとシルビア令嬢が百合にアレルギーがあること告げた。それは俺が代筆していた手紙の返信に書かれていた。
それなのに、坊ちゃんはわざとそれを選んで昨日の誕生日に渡した。
なぜ、そんなことをされたかと思わず聞いた、すると「完璧なものは壊す必要がある。不完全なものが美しいんだ」と狂気を含んだ瞳で言った。あんなに恐ろしいと思ったことはない』
思わず読む手を止めかけたが、再度勇気を出してその先へ進める。
『10月11日
リベリオン坊ちゃんがリリア嬢と話されているのを聞いた。リリア嬢はリベリオン坊ちゃんが好きで、リベリオン坊ちゃんもそうだと信じていたが、それは恐ろしい話だった。
リベリオン坊ちゃんはリリア嬢に、「君と結婚したいけどシルビアがどうしても邪魔でできない」と言った。その言葉は暗にリリア嬢にシルビア令嬢を殺させようとしているように思えた。
その言葉にふるえていたリリア嬢に、追い打ちをかけるように「それしかふたりが幸せになれる道はないが、君はどうしたい」と言った。その顔は紛れもない悪魔の顔だった。
リリア嬢がその言葉の魔力につられて変なことをしでかさないでほしいと願うばかりだ』
代わりに兄が酷い顔色で私の元へやってきた。
「……どうされましたか?」
私が聞けば、兄上はとても憂鬱そうに何か考えているようだった。しばらくの沈黙があったのち、口火が切られた。
「今朝、ある男の焼死体が発見された。男の身元は状態が酷くてわからなかった。しかし……奇跡的にその男の持ち物で焼けなかったものがあった……」
そう言って、兄は一冊の黒皮で覆われた手帳のようなものを見せた。それは年代物で高価なものだろう。
「とてもむごい事件ですね。それでお兄様はまいってらっしゃるのですね」
「いや、問題はこの手帳の中身だ。ここにある人物に関することが書かれていた」
兄の言葉でそれがリベリオンに関することだとすぐにわかった。
「それはリベリオンに関することですね」
「ああ。事実はわからない。この内容が嘘かもしれない。それでもシルビアが見たいなら……」
「見せてください」
ずっと訳の分からないものに怯えるよりずっとマシだ。私はその手帳を開いた。それは何故かとても見覚えのある字で書きつづられていた。しかしどこで見た字かは咄嗟にわからなかった。
ペラペラとページを捲りそのページの内容に私は震えた。
『6月13日
俺の仕えている、バーミリオン公爵家は異常な家だ。特に公爵様とリベリオン坊ちゃんは頭がおかしいと思う。何故婚約者にあんな酷いことができるのだろうか?
俺は坊ちゃんにちゃんとシルビア令嬢が百合にアレルギーがあること告げた。それは俺が代筆していた手紙の返信に書かれていた。
それなのに、坊ちゃんはわざとそれを選んで昨日の誕生日に渡した。
なぜ、そんなことをされたかと思わず聞いた、すると「完璧なものは壊す必要がある。不完全なものが美しいんだ」と狂気を含んだ瞳で言った。あんなに恐ろしいと思ったことはない』
思わず読む手を止めかけたが、再度勇気を出してその先へ進める。
『10月11日
リベリオン坊ちゃんがリリア嬢と話されているのを聞いた。リリア嬢はリベリオン坊ちゃんが好きで、リベリオン坊ちゃんもそうだと信じていたが、それは恐ろしい話だった。
リベリオン坊ちゃんはリリア嬢に、「君と結婚したいけどシルビアがどうしても邪魔でできない」と言った。その言葉は暗にリリア嬢にシルビア令嬢を殺させようとしているように思えた。
その言葉にふるえていたリリア嬢に、追い打ちをかけるように「それしかふたりが幸せになれる道はないが、君はどうしたい」と言った。その顔は紛れもない悪魔の顔だった。
リリア嬢がその言葉の魔力につられて変なことをしでかさないでほしいと願うばかりだ』
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