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10.残された手記02
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その記載に手が震えた。間違いない。これはリリアが私を突き落とす原因になった出来事だろう。さらに私は震える手で続きを読んだ。
『11月1日
今日、リリア嬢がシルビア令嬢を突き落とした。その事件を聞いて震えが止まらない。』
そしてそこからしばらく、日常的な内容になり、そして、つい先日の記載がされていた。
『10月31日(突き落とされた日から丁度3年後)
シルビア令嬢が目を開かれたそうだ。なんとしてもリベリオン坊ちゃんの歪んだ性格を伝えなければいけない急いで手紙を書こう』
ここで、記載は終わっていた。その記載を見て私は数日前に届いた手紙を思い出した。あの走り書きのような忠告の手紙とこの手記の文字はそっくりだった。つまりその焼死体の正体は……。
「お兄様……私……」
「シルビア、まだリベリオンとの婚約を続けたいか?」
そう問われた時、私は首を振ることしかできなかった。思っていた以上のショックに体中が震える。例え、後妻や最悪修道院に入ることになってもリベリオンと結婚するよりマシだと思った。
「そうか、シルビア、お前が会わないで済む形で婚約破棄をバーミリオン公爵家に伝えよう」
そう言って、兄が両親を説得して、リベリオンとの婚約を破棄の手続きを行ってくれた。
けれどしばらくはリベリオンが毎日のように家を訪れて追い返される日々を繰り返していたようだが、それもなんとか追い返し続けてもらい、三ヵ月が経過して、私が自分で車椅子で移動が出来るようになった頃には来ることもなくなっていた。
その日、私は家の庭で花を見ていた。いつもは兄やメイドが付き添うが、今日はひとりになりたくてこっそり出てきたのだった。
「なんだか嘘みたいだわ」
庭には沈丁花が咲き誇り、春の空気の中でとても良い匂いがした。
その香りに酔いしれるように目を閉じた。その時、ふっと沈丁花の香りに混ざって私の嫌いな百合の香りがしていることに気付いた。
途端に、私は咳き込んだ。アレルギー反応で鼻水も涙も出た。
何故、庭に百合の香りがするのだろう。そう思ったとき霞んだ視界の先に人影を捉える。
「誰?」
しかし、影は答えない。私は恐怖から逃げようとしたが、車椅子なのですぐに捕まってしまった。
「離して……」
「君は私のものだ」
聞き覚えのある声、そしてそれと同時に私は口に布を当てられる、薬が染み込んでいたらしく意識が遠のいていった。
『11月1日
今日、リリア嬢がシルビア令嬢を突き落とした。その事件を聞いて震えが止まらない。』
そしてそこからしばらく、日常的な内容になり、そして、つい先日の記載がされていた。
『10月31日(突き落とされた日から丁度3年後)
シルビア令嬢が目を開かれたそうだ。なんとしてもリベリオン坊ちゃんの歪んだ性格を伝えなければいけない急いで手紙を書こう』
ここで、記載は終わっていた。その記載を見て私は数日前に届いた手紙を思い出した。あの走り書きのような忠告の手紙とこの手記の文字はそっくりだった。つまりその焼死体の正体は……。
「お兄様……私……」
「シルビア、まだリベリオンとの婚約を続けたいか?」
そう問われた時、私は首を振ることしかできなかった。思っていた以上のショックに体中が震える。例え、後妻や最悪修道院に入ることになってもリベリオンと結婚するよりマシだと思った。
「そうか、シルビア、お前が会わないで済む形で婚約破棄をバーミリオン公爵家に伝えよう」
そう言って、兄が両親を説得して、リベリオンとの婚約を破棄の手続きを行ってくれた。
けれどしばらくはリベリオンが毎日のように家を訪れて追い返される日々を繰り返していたようだが、それもなんとか追い返し続けてもらい、三ヵ月が経過して、私が自分で車椅子で移動が出来るようになった頃には来ることもなくなっていた。
その日、私は家の庭で花を見ていた。いつもは兄やメイドが付き添うが、今日はひとりになりたくてこっそり出てきたのだった。
「なんだか嘘みたいだわ」
庭には沈丁花が咲き誇り、春の空気の中でとても良い匂いがした。
その香りに酔いしれるように目を閉じた。その時、ふっと沈丁花の香りに混ざって私の嫌いな百合の香りがしていることに気付いた。
途端に、私は咳き込んだ。アレルギー反応で鼻水も涙も出た。
何故、庭に百合の香りがするのだろう。そう思ったとき霞んだ視界の先に人影を捉える。
「誰?」
しかし、影は答えない。私は恐怖から逃げようとしたが、車椅子なのですぐに捕まってしまった。
「離して……」
「君は私のものだ」
聞き覚えのある声、そしてそれと同時に私は口に布を当てられる、薬が染み込んでいたらしく意識が遠のいていった。
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