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07.嫌悪の理由
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『なぜ、嫌っていたと思うのですか?』
そう文字を書けば、兄はとても曇った顔になる。それでも気になった。
兄が嫌っていると言い切ったのが。何故そう言い切れたのかが。しばらく考えているようだったが、観念したように兄がポツリポツリと話はじめた。
「あいつは確かに、婚約者の義務を果たしてはいた。けれど、いちいちやることが陰湿だった。覚えてるか、5年前、15歳のシルビアへの誕生日のプレゼント」
その言葉に嫌な記憶がよみがえり思わず険しい表情になる。リベリオンは基本的に婚約者の義務を怠ることはなかったが、そこに良い思い出が全くない。
特に嫌な思い出があるのが15歳の誕生日プレゼントだった。それはユリの香水だったのだが……私はユリの香りにアレルギーがある。
それに最初気付かずに、リベリオンの贈り物だと聞いて、その日、丁度ある自身の誕生日パーティにつけようと、開けて香りを嗅いでしまい、誕生日だというのに、くしゃみがしばらく止まらなくなり、しまいには目も痒くなってその日の夜のパーティーの際本当に最悪なコンディションで臨む羽目になった。
リベリオンがそれを知らなかったのかもしれない。
しかし、アレルギーとまでは書いていないがユリが苦手とは手紙に何度か書いたことがあったので、手紙をリベリオンが読んではいなかったということになる。
そもそも、ユリの香りにアレルギーがあるとわかったのも、リベリオンが定期的に送ってく花束の中にあった、ユリが原因だった。
『ユリの香りアレルギーの私に、ユリの香水を送ったことですね』
「ああ。あの後知らなかったと謝罪はされたと思うが、あれは俺は嘘だと考えているんだ」
『なぜですか?』
「あいつは確かにお前との関係をないがしろにしていた。けれどお前が書いた手紙は読んでいたんだ。返事は代筆で全く適当に書かせていたみたいだけれど」
その言葉に私は首を傾げる。何故兄はリベリオンが手紙を読んでいると判断したのだろうか?その疑問が顔にでていたのか、それについて説明してくれた。
「シルビアとあいつはほとんど会話をしていなかった。それなのになぜあいつは、この間、お前がガーベラが好きだった、それもオレンジ色のものが好きだ__・__#とわかったんだろうな。ちなみに家族は誰も話していない、というか俺以外はお前がそれが好きだったことを知らなかったから話しようがなかったし、使用人もお前の秘密をリベリオンに明かすような守秘義務が守れない者を我が家では雇わない。俺の仕事の関係もあるからな」
兄は警ら隊、つまり機密に関する仕事をしていると話していた。確かにその場合、自身の機密が漏れるような人間は選ばないはずだ。
『では、どこから……』
とペンを走らせていて気付いた。そうだ。私は確かに手紙にそのことを書いた。私の表情に気付いた兄は頷く。
「つまりそういうことだ……シルビアあいつはどうも信用できない」
そう文字を書けば、兄はとても曇った顔になる。それでも気になった。
兄が嫌っていると言い切ったのが。何故そう言い切れたのかが。しばらく考えているようだったが、観念したように兄がポツリポツリと話はじめた。
「あいつは確かに、婚約者の義務を果たしてはいた。けれど、いちいちやることが陰湿だった。覚えてるか、5年前、15歳のシルビアへの誕生日のプレゼント」
その言葉に嫌な記憶がよみがえり思わず険しい表情になる。リベリオンは基本的に婚約者の義務を怠ることはなかったが、そこに良い思い出が全くない。
特に嫌な思い出があるのが15歳の誕生日プレゼントだった。それはユリの香水だったのだが……私はユリの香りにアレルギーがある。
それに最初気付かずに、リベリオンの贈り物だと聞いて、その日、丁度ある自身の誕生日パーティにつけようと、開けて香りを嗅いでしまい、誕生日だというのに、くしゃみがしばらく止まらなくなり、しまいには目も痒くなってその日の夜のパーティーの際本当に最悪なコンディションで臨む羽目になった。
リベリオンがそれを知らなかったのかもしれない。
しかし、アレルギーとまでは書いていないがユリが苦手とは手紙に何度か書いたことがあったので、手紙をリベリオンが読んではいなかったということになる。
そもそも、ユリの香りにアレルギーがあるとわかったのも、リベリオンが定期的に送ってく花束の中にあった、ユリが原因だった。
『ユリの香りアレルギーの私に、ユリの香水を送ったことですね』
「ああ。あの後知らなかったと謝罪はされたと思うが、あれは俺は嘘だと考えているんだ」
『なぜですか?』
「あいつは確かにお前との関係をないがしろにしていた。けれどお前が書いた手紙は読んでいたんだ。返事は代筆で全く適当に書かせていたみたいだけれど」
その言葉に私は首を傾げる。何故兄はリベリオンが手紙を読んでいると判断したのだろうか?その疑問が顔にでていたのか、それについて説明してくれた。
「シルビアとあいつはほとんど会話をしていなかった。それなのになぜあいつは、この間、お前がガーベラが好きだった、それもオレンジ色のものが好きだ__・__#とわかったんだろうな。ちなみに家族は誰も話していない、というか俺以外はお前がそれが好きだったことを知らなかったから話しようがなかったし、使用人もお前の秘密をリベリオンに明かすような守秘義務が守れない者を我が家では雇わない。俺の仕事の関係もあるからな」
兄は警ら隊、つまり機密に関する仕事をしていると話していた。確かにその場合、自身の機密が漏れるような人間は選ばないはずだ。
『では、どこから……』
とペンを走らせていて気付いた。そうだ。私は確かに手紙にそのことを書いた。私の表情に気付いた兄は頷く。
「つまりそういうことだ……シルビアあいつはどうも信用できない」
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