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最終話:断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にあいましたがとても幸せです
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イガルク帝国はやっと春になったばかりの肌寒かったプロキオン王国とは違い、湿り気のある南風が吹いていて常夏の気候だった。
到着早々、僕と叔父様はとりあえず暑苦しい服装から、リゾートっぽい服装に着替えることになったのだが……
「あの、それ着るのですか?」
叔父様が選んだのが、前世で沖縄に修学旅行に行った際に、みたことある「海人Tシャツ」によく似たデザインだけれど大きく「裸人Tシャツ」と書かれたすごく全裸を彷彿とするTシャツだった。
折角、服を着る権利を得たのに全裸の気分を味わえるTシャツとか勘弁してほしい。
「とても良いデザインだと思って」
キラキラした瞳で、「裸人Tシャツ」を物色する叔父様。普段割とかっちりした格好をしているからこういう服装って興味ないのかと思っていたのだけれどそうでもないらしい。
「あの、マックスたん。僕はそれよりこっちのが好きです」
そう言って、赤地に白いハイビスカスが描かれたアロハシャツを手に取る。南国と言えばアロハのイメージがあるし、「裸人Tシャツ」は阻止したかった。
「分かった。とりあえず両方買おう」
そう言って、叔父様は値札などは一切気にせずに「裸人Tシャツ」とアロハシャツの色違いなどを何着か購入した。
そのまま、店のVIP用のラウンジで買った服に着替えた。
なお、忘れてはいけない「魔導式貞操アナルプラグ改」については、ちゃんと定期的に清潔にされつつ今も僕の一部として尻に入っているのでご安心ください。いや、むしろ安心できない。
「ルーク、できればペアっぽくふたりであわせたい」
という叔父様たっての希望で僕は、赤地に白のハイビスカスのアロハに黒のイージーパンツ、叔父様は青地に白のハイビスカスのアロハに白のイージーパンツとお互い自身の髪色と目の色に合わせたコーデになった。
なお、逆も着てみたのだけれどお互いびっくりするほど似合わなかったので却下した。
そして、叔父様のアロハの胸ポケットにはさりげなくサングラスが掛かっている。おしゃれな感じに僕が仕上げた。ルーク君のセンスは悪くないとこっそり自画自賛している。
ちなみに叔父様は僕に最初、オーバーサイズのどピンク色の「裸人Tシャツ」をものすごく着せたがったけど、これからまだお買い物に行くので、それはもう散歩が嫌いな犬くらい拒否して阻止した。
何が悲しくって野外で「裸人Tシャツ」って間接的に全裸の気持ちになる服を着たあげく、ズボンを穿いていないというリアル露出狂にならないといけないのか。小一時間問い詰めたい。
後で着ることにはなると思うけれど、どうせなら家で着せてほしい。家なら許されるし、家ならガチ全裸でいる方が多い気もするからね。
そうして、色々楽しく過ごして海の見える別宅に帰った時には、夕方近くになっていた。
別宅は少し高台になっているが、目の前は白い砂浜のプライベートビーチとなっている。さらに全室オーシャンビューというものすごくハイスペックな別宅である。
「ルーク、ふたりで砂浜へ行かないか?」
「いいですね」
叔父様に誘われて、手を繋いでふたりでプライベートビーチに下りた。砂が真っ白でとても美しい。
そして、ちょうど夕方なのもあり、真っ赤な夕日が海に沈もうとしていた。
「あの夕日は、まるでルークの瞳のようで美しいな」
うっとりしたように叔父様が僕の瞳を見つめる。甘い、甘いよ叔父様。そのまま、「ルークの瞳は1万ボルト」とか言われそうだ。
「なんか恥ずかしいです」
モジモジする僕の前で、叔父様はまるであの日の臣下の礼のように跪いて小さな箱を開いて差し出した。その中にはプラチナに青いサファイアが埋め込まれたリングが入っていた。
「ルーク、色々順番が逆転してしまっているが、これを受け取ってくれないか?」
真剣な目で叔父様に言われた。
「ありがとうございます、どうせならはめてくれませんか?」
首をかしげて甘えるように、左手を差し出してお願いする。すると、叔父様はその手に一度口づけを落としてからまるでお姫様にするように恭しく指輪を薬指にはめた。なんか背筋が甘くしびれた気がした。
「ルーク、これを僕にはめてくれないかい?」
そう言って、もうひとつ箱をどこからか取り出した。その中には黒い金属に赤いルビーの埋め込まれたリングが入っていた。
僕はそれを取り出し、差し出されている叔父様の左手の薬指にはめる。とても男らしいその手に僕は守られてきたのかと思うと、とても愛おしいので僕も叔父様のマネをしてキスをしてみた。
「ありがとう、愛しているよルーク」
「僕もです、マクス」
ちょうど、夕日が海に沈もうとするベストタイミングで、まるで僕と叔父様はドラマの主人公みたいなキスを交わした。それは深いキスではないけれどとってもロマンチックで甘い味がした。
お互いの唇が名残惜しげに離れた後、叔父様とふたり砂浜に座る。僕の肩を優しく抱き寄せながら叔父様が言った。
「この国では夕日が沈む瞬間に口づけを交わしたカップルは、永遠に結ばれるという言い伝えがあるそうだ」
「じゃあ、僕たち永遠に結ばれちゃいますね」
「ああ、そうだな。永遠に離さない」
叔父様の青い瞳に僕が映り込む。とってもこそばゆいけど、このまま時が止まればいいのにと、しばらく無言でその瞳を見つけていた。
なんやかんや色々ありましたが、断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は、救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にもあいましたがとても幸せです。
「ところでルーク」
「なんですか?」
「追いかけっこをしないか?」
「いいですよ」
いきなりそう言われて脳内に、バカップルが砂浜でキャッキャウフフしながら追いかけっこするイメージが浮かんだ。永遠に結ばれるらしいしそれくらい良いかとその時は思ったが、僕はこの選択を後悔することになる。
僕と叔父様は波打ち際で追いかけっこを始めた。
「ルーク、待っておくれ」
「マクス、つかまえてみてください」
キャッキャウフフ感を頑張って出してみた。すごくしんどい。はずかしい。やっぱりキャッキャウフフ初心者にはこれは難易度が高いかもしれない。
そんなことを考えながら、若干の虚無感のまま逃げていた時だった。
「ところで、ルーク」
「なんですか、マクス?」
薄暗くなっているのではっきり見えないが、叔父様がそれはもういたずらっ子のような笑みを浮かべているのがわかる。これは要注意の予感しかない。
「今、思いついたのだが、僕がルークを捕まえたら初夜の日数は3日3晩にしたいな」
いきなり、すっかりなかったことにした件を持ち出された。
(腹上死確定イベント!!無理!!絶対死ぬ!!)
「絶対にいやです!!」
「なら、僕に捕まらないように逃げてごらん、ルーク」
途端にまるでチーターのように急加速する叔父様、だめだ、アレに捕まったら僕の色々が大変なことになりそして約束された腹上死確定イベントに入ってしまう。
「えっ、嘘、腹上死確定イベントは強制ですか!?絶対無理!!」
その後、砂浜をキャッキャウフフではなく、軍隊の訓練くらい本気で走り抜ける僕と叔父様。腹上死確定イベントは絶対に避けたいので、どうか皆様には僕の無事を祈っていて欲しい。
(また皆様に出会えるようにどうか、どうか……あっ!!)
僕は、あまりに早く走ることに集中しすぎて、少し盛り上がっていた砂に足をとられて転んでしまった……さようなら、皆様。
そんな僕は、そのまま後ろからとても強く抱きしめられる。それはもう逃がさないという確かな意志を感じるくらいの強さで。
「ルーク、捕まえた」
HAPPY END???
********************************************
この度は最終回まで読んで頂き本当にありがとうございます。読者の皆様には感謝しかありません。
また、現在、第2部についてもプロットを切っておりますので、そのうちまた、お会いできると思います。ただ、公募の締め切りの関係で、こちらの作品について以下の日程で、一旦完結に状態を変更させて頂きます。
11/27 完結にステータスを変更予定。
また、それまでの間はリクエスト頂いた内容や、番外編を更新してまいりますので今しばらく楽しんで頂けましたら幸いです+以下の記事や感想でリクエストを11/26 まで募集しておりますのでよろしかったら頂けますと作者が泣いて喜びます(五体投地)
https://www.alphapolis.co.jp/mypage/diary/view/158892
では、本当に長い間ありがとうございました。
到着早々、僕と叔父様はとりあえず暑苦しい服装から、リゾートっぽい服装に着替えることになったのだが……
「あの、それ着るのですか?」
叔父様が選んだのが、前世で沖縄に修学旅行に行った際に、みたことある「海人Tシャツ」によく似たデザインだけれど大きく「裸人Tシャツ」と書かれたすごく全裸を彷彿とするTシャツだった。
折角、服を着る権利を得たのに全裸の気分を味わえるTシャツとか勘弁してほしい。
「とても良いデザインだと思って」
キラキラした瞳で、「裸人Tシャツ」を物色する叔父様。普段割とかっちりした格好をしているからこういう服装って興味ないのかと思っていたのだけれどそうでもないらしい。
「あの、マックスたん。僕はそれよりこっちのが好きです」
そう言って、赤地に白いハイビスカスが描かれたアロハシャツを手に取る。南国と言えばアロハのイメージがあるし、「裸人Tシャツ」は阻止したかった。
「分かった。とりあえず両方買おう」
そう言って、叔父様は値札などは一切気にせずに「裸人Tシャツ」とアロハシャツの色違いなどを何着か購入した。
そのまま、店のVIP用のラウンジで買った服に着替えた。
なお、忘れてはいけない「魔導式貞操アナルプラグ改」については、ちゃんと定期的に清潔にされつつ今も僕の一部として尻に入っているのでご安心ください。いや、むしろ安心できない。
「ルーク、できればペアっぽくふたりであわせたい」
という叔父様たっての希望で僕は、赤地に白のハイビスカスのアロハに黒のイージーパンツ、叔父様は青地に白のハイビスカスのアロハに白のイージーパンツとお互い自身の髪色と目の色に合わせたコーデになった。
なお、逆も着てみたのだけれどお互いびっくりするほど似合わなかったので却下した。
そして、叔父様のアロハの胸ポケットにはさりげなくサングラスが掛かっている。おしゃれな感じに僕が仕上げた。ルーク君のセンスは悪くないとこっそり自画自賛している。
ちなみに叔父様は僕に最初、オーバーサイズのどピンク色の「裸人Tシャツ」をものすごく着せたがったけど、これからまだお買い物に行くので、それはもう散歩が嫌いな犬くらい拒否して阻止した。
何が悲しくって野外で「裸人Tシャツ」って間接的に全裸の気持ちになる服を着たあげく、ズボンを穿いていないというリアル露出狂にならないといけないのか。小一時間問い詰めたい。
後で着ることにはなると思うけれど、どうせなら家で着せてほしい。家なら許されるし、家ならガチ全裸でいる方が多い気もするからね。
そうして、色々楽しく過ごして海の見える別宅に帰った時には、夕方近くになっていた。
別宅は少し高台になっているが、目の前は白い砂浜のプライベートビーチとなっている。さらに全室オーシャンビューというものすごくハイスペックな別宅である。
「ルーク、ふたりで砂浜へ行かないか?」
「いいですね」
叔父様に誘われて、手を繋いでふたりでプライベートビーチに下りた。砂が真っ白でとても美しい。
そして、ちょうど夕方なのもあり、真っ赤な夕日が海に沈もうとしていた。
「あの夕日は、まるでルークの瞳のようで美しいな」
うっとりしたように叔父様が僕の瞳を見つめる。甘い、甘いよ叔父様。そのまま、「ルークの瞳は1万ボルト」とか言われそうだ。
「なんか恥ずかしいです」
モジモジする僕の前で、叔父様はまるであの日の臣下の礼のように跪いて小さな箱を開いて差し出した。その中にはプラチナに青いサファイアが埋め込まれたリングが入っていた。
「ルーク、色々順番が逆転してしまっているが、これを受け取ってくれないか?」
真剣な目で叔父様に言われた。
「ありがとうございます、どうせならはめてくれませんか?」
首をかしげて甘えるように、左手を差し出してお願いする。すると、叔父様はその手に一度口づけを落としてからまるでお姫様にするように恭しく指輪を薬指にはめた。なんか背筋が甘くしびれた気がした。
「ルーク、これを僕にはめてくれないかい?」
そう言って、もうひとつ箱をどこからか取り出した。その中には黒い金属に赤いルビーの埋め込まれたリングが入っていた。
僕はそれを取り出し、差し出されている叔父様の左手の薬指にはめる。とても男らしいその手に僕は守られてきたのかと思うと、とても愛おしいので僕も叔父様のマネをしてキスをしてみた。
「ありがとう、愛しているよルーク」
「僕もです、マクス」
ちょうど、夕日が海に沈もうとするベストタイミングで、まるで僕と叔父様はドラマの主人公みたいなキスを交わした。それは深いキスではないけれどとってもロマンチックで甘い味がした。
お互いの唇が名残惜しげに離れた後、叔父様とふたり砂浜に座る。僕の肩を優しく抱き寄せながら叔父様が言った。
「この国では夕日が沈む瞬間に口づけを交わしたカップルは、永遠に結ばれるという言い伝えがあるそうだ」
「じゃあ、僕たち永遠に結ばれちゃいますね」
「ああ、そうだな。永遠に離さない」
叔父様の青い瞳に僕が映り込む。とってもこそばゆいけど、このまま時が止まればいいのにと、しばらく無言でその瞳を見つけていた。
なんやかんや色々ありましたが、断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は、救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にもあいましたがとても幸せです。
「ところでルーク」
「なんですか?」
「追いかけっこをしないか?」
「いいですよ」
いきなりそう言われて脳内に、バカップルが砂浜でキャッキャウフフしながら追いかけっこするイメージが浮かんだ。永遠に結ばれるらしいしそれくらい良いかとその時は思ったが、僕はこの選択を後悔することになる。
僕と叔父様は波打ち際で追いかけっこを始めた。
「ルーク、待っておくれ」
「マクス、つかまえてみてください」
キャッキャウフフ感を頑張って出してみた。すごくしんどい。はずかしい。やっぱりキャッキャウフフ初心者にはこれは難易度が高いかもしれない。
そんなことを考えながら、若干の虚無感のまま逃げていた時だった。
「ところで、ルーク」
「なんですか、マクス?」
薄暗くなっているのではっきり見えないが、叔父様がそれはもういたずらっ子のような笑みを浮かべているのがわかる。これは要注意の予感しかない。
「今、思いついたのだが、僕がルークを捕まえたら初夜の日数は3日3晩にしたいな」
いきなり、すっかりなかったことにした件を持ち出された。
(腹上死確定イベント!!無理!!絶対死ぬ!!)
「絶対にいやです!!」
「なら、僕に捕まらないように逃げてごらん、ルーク」
途端にまるでチーターのように急加速する叔父様、だめだ、アレに捕まったら僕の色々が大変なことになりそして約束された腹上死確定イベントに入ってしまう。
「えっ、嘘、腹上死確定イベントは強制ですか!?絶対無理!!」
その後、砂浜をキャッキャウフフではなく、軍隊の訓練くらい本気で走り抜ける僕と叔父様。腹上死確定イベントは絶対に避けたいので、どうか皆様には僕の無事を祈っていて欲しい。
(また皆様に出会えるようにどうか、どうか……あっ!!)
僕は、あまりに早く走ることに集中しすぎて、少し盛り上がっていた砂に足をとられて転んでしまった……さようなら、皆様。
そんな僕は、そのまま後ろからとても強く抱きしめられる。それはもう逃がさないという確かな意志を感じるくらいの強さで。
「ルーク、捕まえた」
HAPPY END???
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この度は最終回まで読んで頂き本当にありがとうございます。読者の皆様には感謝しかありません。
また、現在、第2部についてもプロットを切っておりますので、そのうちまた、お会いできると思います。ただ、公募の締め切りの関係で、こちらの作品について以下の日程で、一旦完結に状態を変更させて頂きます。
11/27 完結にステータスを変更予定。
また、それまでの間はリクエスト頂いた内容や、番外編を更新してまいりますので今しばらく楽しんで頂けましたら幸いです+以下の記事や感想でリクエストを11/26 まで募集しておりますのでよろしかったら頂けますと作者が泣いて喜びます(五体投地)
https://www.alphapolis.co.jp/mypage/diary/view/158892
では、本当に長い間ありがとうございました。
応援ありがとうございます!
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