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番外編:マーティン編

01.ヤンデレの弟から逃げたら襲われている人がいたから助けてみたんよ(マーティン(廃嫡フレンズ)編)

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※番外編についてはルークの廃嫡フレンズであるマーティンが主人公のお話しとなります。あらすじと注意事項を記載しています。苦手な方はご注意を。

あらすじ:
廃嫡されて平民になったマーティンは弟のエドワードことテディに監禁されていた。いよいよ犯されそうになってその場を逃げ出したマーティン。領地の端、国境付近まで来た際に暴走する馬車とその馬車から降りたに似た人、ヴィルヘルム・ヘカテ・イガルクに出会う。刺客に襲われるその人を置いて逃げる護衛達。見かねたマーティンは全裸に剣しか持っていなかったが、勇敢に戦いその人を救う。しかし、ヴィルヘルムは話してみるとマーティンを「天使」と言ったり「マルえる」と呼んだり頭がおかしいっぽいので逃げようとするが、そのまま強引に彼の城へ連れていかれた。そのあげく、無理やり犯されて変な刻印まで押されてしまう。「これでもう逃げられないよ、私の番」不敵に微笑むヴィルヘルムの狂気的な溺愛に廃嫡フレンズのマーティンはどうなってしまうのか? 

▼注意事項
1)マーティンが結ばれる相手が弟のエドワードではありません。
2)叔父様に似た別人が出てきます。(ルークのバリ怖い叔父しゃんに似た人)
3)最初に戦闘になります、若干血生臭い描写があります。※詳細な記載はありません。
4)あらすじに記載した通り、最初の方は強姦描写に近いものがありますし序盤に本番があります(※ただし、相手が不特定多数ではなく固定です)
5)淫紋とか番チックなネタがでてきます。
6)※がついているのはそういう描写がある回です

それでもOKという方はお進みください。


*********************************

「うーん、どうしたもんか……」

俺は、ぼんやりと平原に立っていた。そこは元親父の領地の端で、あと少しで隣国との境界線だったりする。しかし、廃嫡されて放逐され身分的に平民の俺は簡単に出国できない。

だからと言って今、止まれば俺は、弟のエドワードことテディに犯されて兄としての威厳と処女を同時にブロークンさせることになる。それは俺の大切な人間としての尊厳にかかわる。

自身の今後について迷っていると、国境線付近から1台の馬車がすぐ側まで走ってきた。明らかに暴走しているその馬車から、ひとりの貴族と思わしき人が飛び降りた。

銀色の髪に青い瞳をしたその人は、ルークのバリ怖い叔父しゃんに似ている。双子ではないかというくらい似ている。しかし、その人に対して後から追ってきたらしい刺客が割とわんさか襲い掛かる。

一応、護衛っぽい人もいたけれどみんな逃げちゃってその人ひとりだけになる。刺客の数が多いのに酷い奴らだ。ちゃんと主君くらい守れよとイライラした。

「これ、ヤバイヤツだな。えっと、っしゃあああ!!」

戦士の魂を呼び覚ますように咆哮しテンションを爆上げした俺。

(マーティン君は男の中の男なんよ、だから困ってる人は助けたあげんと男が廃るんよ)

とりあえずその人を助けるために近くにあった石を投擲して、手あたり次第に刺客をぶっ倒した。それから、さらに走り出して唖然としている刺客どもを持っていた剣でひとり、ふたりと倒していった。

(ひゅーっ!!マーティン君カッコイイ!!)

こう見えて考えるのとかは苦手だけど剣術や武術は得意だ。みるみる沢山いた刺客が4人ほどまで減った。俺凄いな。天才かもしれん。

「廃嫡されたけど王太子の元側近甘くみんなよ!!あああああ!!!!」

さらに雄たけびを上げながら、襲い掛かると、返り血まみれの俺に刺客たちが逃げ惑うのが分かった。

「なんだ!!」

「なんだあの全裸の男は!!」

「プロキオン王国の国境には裸族がいるのか??聞いてないぞ」

と訳の分からないことを叫んでいる。まぁ多分、死を間近にして錯乱しているんだろう。俺はそのまま風のように舞い、ハチのように刺す要領でそいつらも倒した。ちょー気持ちいい。

「大丈夫ですか、ルークのバリ怖い叔父しゃんに似ている貴族っぽい人」

その様子を呆然と眺めていた、その人に手を差し伸べる。すると笑顔になったその人が小声で「やっと見つけた」とか呟いた気がするけど空耳だろう。

「ああ、助けてくれてありがとう。そして、巻き込んでしまいすまない。私はヴィルヘルム・ヘカテ・イガルク、勇敢な使に感謝を」

そう言って、いきなり俺の血まみれの手をとって口づけをした。

(なんなん?普通血まみれの手にキスするとかしょうきじゃありえんし、怖っ。この人何者?)

それに、俺のこと天使とかキモイこと言った気がしたけど気のせいだろう。180㎝ある男に天使は間違っている。100歩譲って金剛力士とかならはちゃめちゃ納得する。俺、腹筋割れとるからね。あ、でもこの人190㎝以上あるから自分より小さきものはみんな天使扱いなのかもしれん。天使だらけの世界とかメルヘンで楽しそう。

しかし、どう見ても今の俺は裸族の戦士くらいにしか見えない。だって全裸で剣をもっていてさらには返り血を浴びている。完全なるバーサーカーでしかないし、天使とは真逆だろう。むしろ俺が天使とかは、冒涜の極みだから天使に土下座してきてほしい。

「はっ、俺どう見てもバーサーカーっしょ。天使とかバリきしょい」

「ふふ。君はどう見ても天使だよ。ところで名前は??」

全然俺の言うことを聞いている気配がない。なんかちょっと俺と一緒にルークの側近していたグレゴリーっていうルークの狂信者のヤツに似ているかもしれない。

(あいつ、ルークを唯一神とか言ってバリきしょかったな)

グレゴリーの完全にイッた目を思い出して、背筋に寒いものを感じたけど、一応、俺は今は平民で、相手は間違いなく貴族だからちゃんと深々と頭を下げた。

「マーティン・ベガ・キュグニっていい、ません!!そうだ、今はただのマーティンっす」

すっかり、平民になって名前変わったの忘れてた。

「なるほど、マーティン、マルタン、マルえる。うん。実に良い名前だね、私の天使は名前も美しいね」

恍惚の表情を浮かべているその姿に、割と本気でドン引きしてしまう。この人、グレゴリーよりラスボス宰相しゃんグレゴリーのおやじしゃんのが近い気もしてきた。あまりの恐怖にいくら戦士属性で恐れより先に向かっていく俺でも引いてしまうんよ。

「バリきしょいっすね。しかし、刺客に追われているとかマジやばくないっすか?国に帰れます??」

国から逃げて来たっぽい人にそういうこと聞いていいか分からないけれど、とりあえず聞かないとこの人の護衛とかも逃げて居なくなっているし可哀そうなんで確認する。最悪、怖いけど国境までは連れてってあげようと思う。人道的な気持ちは忘れたらいけんからね。

するとその人はニコニコと笑う。

「ああ。それは問題ない。なんせすぐそこから帰れるからね。それより、君にマルえるに私を助けてくれたお礼がしたい」

「いや、いいっすよ。俺は、ただ人助けをしただけだし……」

正直、あんまりヤバイ人と関わるのは得策じゃない。天使とかいってたし、狂信者系とかラスボス宰相しゃんグレゴリーのおやじしゃんのにおいがする人についてくのは俺のシックスセンスがダメって言っている。

けれどその人がいつの間にか俺に近付いて、その白いマントを俺に羽織らせた。どう見ても刺繍とかが随所に施された匠の一品。こんなの血まみれバーサーカーに掛けるとか正気じゃない。

「こんな高いの、俺、血まみれなんで掛けたら汚れるっすよ」

「構わない。君のような美しい天使の裸体が、他の人間に見られるよりマシだ」

そう言ったその人の目を見て、悟った。この人はヤバイ人だと。グレゴリータイプきょうしんじゃではないが独自ワールド、ルークのバリ怖い叔父しゃんとにかくあたまおかしいとかに近いヤバさがある。

よく考えれば、いくら命の恩人でも雄たけびを上げながら全裸で切りかかるタイプのバーサーカー系裸族とかには必要以上には、絶対関わらないはずなのに、この人は完全に関わる気でいる。

大体、ルークのバリ怖い叔父しゃんに外見が似ているというのも引っかかる。世の中には3人同じ人がいるらしいけど、そのひとりには違いない。

あのバリ怖い叔父しゃんもルークのためなら何でもする系のとにかく頭がおかしい人だったし、ヤバイ人に好かれていいことなんて絶対ない。そんなん身内のテディだけで十分だ。

「あの、頭おかしくないっすか?俺そういうヤバイ人とはお近づきになれないっす」

「ははは、マルえる、君も露出狂だろう?とてもを先ほどから見せびらかしているじゃないか」

そう明らかに俺の下半身を見てるけど、なんでだろう。確かに俺は、全裸で剣持ってましたが、別に露出狂ではないし別に裸体を見せびらかしたいとか言う願望はあまりない。あまりね。

「俺は露出狂じゃあねぇっす。訳あって廃嫡されて領地の果てに全裸で監禁されてたんです。だから……」

ざっくりいきさつを説明した瞬間、何故かその人は涙を零しはじめる。顔がルークのバリ怖い叔父しゃんに似ているからなんかすごく複雑な気分になる。

「なんで泣くんっすか??」

「いや、君があまりに可哀そうな天使とわかったからだ。それに監禁、つまり精神を蝕んで措置で閉じ込められていたのだね。体を傷つけたりしないように全裸にされていたのだろう。そんなに精神を病んでしまうなんてひどい目にあったんだね、私の番なのにそんな不当な扱いを受けて可哀そうに」

物凄い誤解されている。可哀そうとか2度言われた、大切なことみたいに。

俺は精神を病んでない。筋肉があるから病まない、弟は半端なく病んでたけど、筋肉がないからだし、ちなみにこの人は筋肉があるのに病んでるし狂ってるからヤバい人確定。つまり、全てを解決できる万能の筋肉ですらも救えないということだから手遅れそう。

「どちらかというと俺とダチが、女の子に酷いことしてこうなったんっす。自業自得なんで廃嫡も仕方ないし、むしろその女の子を傷つけて、家族に迷惑かけちまったし、俺は最低な野郎っす」

思い出したら泣きそうになってきた。俺もルークも最低な行為をしちまった。ちゃんと償いはしないといけない。

「廃嫡されて人生を駄目にされて精神を壊しても優しい心を失わないとは天使だね。そして、全裸で君のような天使が歩き回ると最悪、強姦など予期せぬ事態に巻き込まれかねないから危険だ。君は命の恩人だ。私の家で君を匿ってあげよう」

だから、俺、全裸バーサーカーだから誰もそんなムラムラしないはずなんよ。むしろ目の前のあんた位しか危険な因子はないと思う。

「いや、いいっす。知らない人についていくなって親に言われてますし、大体あんた……」

「その親に監禁されたのだろう?いいんだ。もう。怯えないで。天使は私が責任をもって守り抜こう。怖くないから、ほらルールルルル、こっちへおいで、後あんたではなく、そうだな私のことはとでも呼んでほしい」

(狂信者も全力で振りきるくらいこの人ヤバイかもしれない。大体「飼い主しゃん」って俺はペットか。大体、俺がさっき助けてやったんよ。それなのに随所が失礼なんよ。逃げるために気絶させた方が……)

「だめだよ、天使。君に怪我をしてほしくない。ちなみに私は、だから多少の無理はできるんだ」

そう言って笑った顔が、ルークのバリ怖い叔父しゃんみたいで動物的本能が、この男に逆らうなと告げた。これが俺ととの出会いである。
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