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90.救国の英雄ガルシア公爵が元王太子Rと新婚ラブラブ逃避行!?
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「新婚旅行!!」
つまりハネムーン、日本語でいうと蜜月。甘い、甘いよルーク君。そうか、新婚1ヵ月はそういう言い方しますね。突然、当事者になったのですっかり抜け落ちていた。
むしろ、前世では味わっていないイベントなので、正真正銘の初ハネムーン、初蜜月です。そう考えるとなんだか急に恥ずかしい気持ちになる。
「そうだ。以前、隣国に爵位を持っているという話が出ていたと思うが、その国イガルク帝国は海の綺麗なリゾート地がある。そこに別宅とプライベートビーチがあるので誰にも邪魔されずルークとゆっくり過ごそうと考えていた」
熱の籠った瞳で叔父様が見つめている、これは完全に僕とふたりでいちゃいちゃする気満載で準備していましたということが分かる。すごく恥ずかしい。
「なるほど、そちらへ予定前倒しで行くということですね」
「ああ。本当は初夜で疲れているだろうからと、無理のないスケジュールにしていた」
その言葉に、叔父様の優しさを感じつつもすごく気になることがあったので念のため聞いてみることにした。
「あの、ちなみに当初の予定は、いつから新婚旅行だったのですか?」
「予定は1週間後のつもりだった」
その言葉に僕は青ざめた。それはつまり……。
「マックスたん、ひとつ聞いて良いですか?」
「ああ、ルーたんなんだい?」
甘いベルベットボイスで「ルーたん」はいけない。なんだか腰にきた。それは置いておいて、聞き捨てならない言葉の真意を聞かなければいけない。
「初夜の疲れを癒すのに1週間も予定をとっていたのですか?」
「ああ、初夜は3日3晩ほど行い、その後、4日はルークが復活するまで介抱する予定で……」
「待った」
おかしい、僕の耳がおかしくなったのかもしれないが、とてもとてもおかしいところがあった。
「マクス、これは真剣に聞くのですが、初夜は1晩、ワンナイトですよね?僕の耳がおかしかったのか3晩、スリーナイトと聞こえたのですが……」
「ああ、3日3晩で間違えていない」
キリっとした顔で言われた。違う、そうじゃない。問題はそこではない。
「いやいやいや!!24時間耐久とかたまに体育会系の人で聞いたことあるけど、72時間耐久は死にます。腹上死確定イベントです」
叔父様は、出来るかもしれない。けれどそれに合わせた僕は確実に死ぬ。つまり腹上死確定イベントです。なのでここはちゃんと妥協すべき点についての審議が必要だ。
叔父様は不思議そうな顔で首をコテンと傾げているが、すごく可愛い仕草をしているが、今回のはダメだ可愛くない。大体3日3晩ってなんだ、まさか僕が知らないだけでこの国にはそんな性豪も土足で逃げていくような習慣があるのだろうか……。
いや、ない。ルークは確かにアホの子だけどえっちなことには死ぬほど好奇心のある万年中二男子だったからそういう手段だけは死ぬほど調べていたけど、そんな恐ろしいことはどこにも書いていなかった。
そんなことを考えていた時、クリスが息を切らせてやってきた。ものすごく嫌な予感がした。
「大変です、レイズ王太子殿下と、ベルダンディ公爵、ベルダンディ公爵子息が明日こちらへいらっしゃると連絡がありまして……」
その言葉に僕らは全てを察した。「第九十壱話 モンペ、襲来」になってしまう。そんな未来予想図はぶち壊すべく逃げてしまおう。
「申し訳ないが、休暇中であり海外へ出かけたので3人には会えないと伝えておいてくれ。勿論、これから出た後で頼む」
叔父様が、アルカイックスマイルを浮かべている。これ割と叔父様もイラついているようだ。人間臭い叔父様はなんか可愛いから個人的には好きだな。
「承知いたしました」
クリスが恭しくお辞儀をした。クリスの表情は読めない絶対に面倒になることを察した表情に違いない。
(ありがとうクリス惜しい人をなくした)
「善は急げだ」
「ええ、行きましょう、ちゃっちゃと!!」
「第九十壱話 モンペ、襲来」にならないために、僕らは情緒とはさよならバイバイしているけれど、いそいそと準備をした。
それはそれで、悪くないと思っている自分になんだかおかしくって、叔父様と見つめ合って笑った。とてもあたたかい気持ちになる。これが幸せってものかもしれない。
その後、叔父様のテレポートで一瞬で、イガルク帝国に移動してモンペ共を撒いた。
その結果、後日、『救国の英雄ガルシア公爵が元王太子Rと新婚ラブラブ逃避行!?』的な見出しのゴシップ誌が王国であふれたらしいが、僕らが戻る頃には消えていたので気にしない。
いや、割と気にしていたので見つけた雑誌は、全て焼いてまわったのはまた別の話である。
****************************
今回で最終回の予定でしたが、割と長くなったので次が最終話です。
つまりハネムーン、日本語でいうと蜜月。甘い、甘いよルーク君。そうか、新婚1ヵ月はそういう言い方しますね。突然、当事者になったのですっかり抜け落ちていた。
むしろ、前世では味わっていないイベントなので、正真正銘の初ハネムーン、初蜜月です。そう考えるとなんだか急に恥ずかしい気持ちになる。
「そうだ。以前、隣国に爵位を持っているという話が出ていたと思うが、その国イガルク帝国は海の綺麗なリゾート地がある。そこに別宅とプライベートビーチがあるので誰にも邪魔されずルークとゆっくり過ごそうと考えていた」
熱の籠った瞳で叔父様が見つめている、これは完全に僕とふたりでいちゃいちゃする気満載で準備していましたということが分かる。すごく恥ずかしい。
「なるほど、そちらへ予定前倒しで行くということですね」
「ああ。本当は初夜で疲れているだろうからと、無理のないスケジュールにしていた」
その言葉に、叔父様の優しさを感じつつもすごく気になることがあったので念のため聞いてみることにした。
「あの、ちなみに当初の予定は、いつから新婚旅行だったのですか?」
「予定は1週間後のつもりだった」
その言葉に僕は青ざめた。それはつまり……。
「マックスたん、ひとつ聞いて良いですか?」
「ああ、ルーたんなんだい?」
甘いベルベットボイスで「ルーたん」はいけない。なんだか腰にきた。それは置いておいて、聞き捨てならない言葉の真意を聞かなければいけない。
「初夜の疲れを癒すのに1週間も予定をとっていたのですか?」
「ああ、初夜は3日3晩ほど行い、その後、4日はルークが復活するまで介抱する予定で……」
「待った」
おかしい、僕の耳がおかしくなったのかもしれないが、とてもとてもおかしいところがあった。
「マクス、これは真剣に聞くのですが、初夜は1晩、ワンナイトですよね?僕の耳がおかしかったのか3晩、スリーナイトと聞こえたのですが……」
「ああ、3日3晩で間違えていない」
キリっとした顔で言われた。違う、そうじゃない。問題はそこではない。
「いやいやいや!!24時間耐久とかたまに体育会系の人で聞いたことあるけど、72時間耐久は死にます。腹上死確定イベントです」
叔父様は、出来るかもしれない。けれどそれに合わせた僕は確実に死ぬ。つまり腹上死確定イベントです。なのでここはちゃんと妥協すべき点についての審議が必要だ。
叔父様は不思議そうな顔で首をコテンと傾げているが、すごく可愛い仕草をしているが、今回のはダメだ可愛くない。大体3日3晩ってなんだ、まさか僕が知らないだけでこの国にはそんな性豪も土足で逃げていくような習慣があるのだろうか……。
いや、ない。ルークは確かにアホの子だけどえっちなことには死ぬほど好奇心のある万年中二男子だったからそういう手段だけは死ぬほど調べていたけど、そんな恐ろしいことはどこにも書いていなかった。
そんなことを考えていた時、クリスが息を切らせてやってきた。ものすごく嫌な予感がした。
「大変です、レイズ王太子殿下と、ベルダンディ公爵、ベルダンディ公爵子息が明日こちらへいらっしゃると連絡がありまして……」
その言葉に僕らは全てを察した。「第九十壱話 モンペ、襲来」になってしまう。そんな未来予想図はぶち壊すべく逃げてしまおう。
「申し訳ないが、休暇中であり海外へ出かけたので3人には会えないと伝えておいてくれ。勿論、これから出た後で頼む」
叔父様が、アルカイックスマイルを浮かべている。これ割と叔父様もイラついているようだ。人間臭い叔父様はなんか可愛いから個人的には好きだな。
「承知いたしました」
クリスが恭しくお辞儀をした。クリスの表情は読めない絶対に面倒になることを察した表情に違いない。
(ありがとうクリス惜しい人をなくした)
「善は急げだ」
「ええ、行きましょう、ちゃっちゃと!!」
「第九十壱話 モンペ、襲来」にならないために、僕らは情緒とはさよならバイバイしているけれど、いそいそと準備をした。
それはそれで、悪くないと思っている自分になんだかおかしくって、叔父様と見つめ合って笑った。とてもあたたかい気持ちになる。これが幸せってものかもしれない。
その後、叔父様のテレポートで一瞬で、イガルク帝国に移動してモンペ共を撒いた。
その結果、後日、『救国の英雄ガルシア公爵が元王太子Rと新婚ラブラブ逃避行!?』的な見出しのゴシップ誌が王国であふれたらしいが、僕らが戻る頃には消えていたので気にしない。
いや、割と気にしていたので見つけた雑誌は、全て焼いてまわったのはまた別の話である。
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今回で最終回の予定でしたが、割と長くなったので次が最終話です。
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