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番外編・その③
しおりを挟む産まれた赤ちゃんを見て、レオ様は周りの皆が引くほどに号泣していた。
泣きすぎて何を言っているのかはわからなかったが、
「レベッカ、ありがとう」
の言葉だけは辛うじて拾う事が出来た。
いつの間にか来ていた、お義父様とお義母様も、大層喜んでくれた。
産まれるまでは、跡取りになる男の子が良いかな?なんて思っていたけど、いざ産まれてくれたら、そんな事どうでもよくて。
とにかく、この小さくて弱い生き物を私の手で守り育てる事が出来るのか少し不安に思ってしまう。
そこは乳母として新たに雇ったレニーと、アンナ、それにお義母様とお母様に頼りながら、新米の母親として頑張るしかないと気合いを入れた。
私達の息子は「フェリクス」と名付けられた。
これはお父様が候補として挙げていた名前からレオ様とお義父様が選んでくれた名前だ。
お父様の気持ちを汲んで名付けてくれた2人には感謝しかない。
そしてフェリクスが産まれてから1週間後には、またもや大量の荷物と共にお母様とお父様がやって来た。
フェリクスを見て、お母様は涙し、お父様はデレデレになっていた。
あんなお父様を見たのは初めてで、私には軽く衝撃を受けた。
フェリクスはお乳を良く飲み、良く眠る大変育てやすい子であった。
母親1年生の私に、神様が育てやすい子を授けてくれたのではないかと思うぐらいに。
フェリクスの容姿ははっきり言って、レオ様そっくりだ。
金髪に翡翠色の瞳。
お義母様曰く、小さい頃のレオ様に瓜二つだと言う。
「レオナルドも育てやすい子どもだったのよ~」
というように、性格的な所も何故かレオ様に似ていた。
ちびレオ様のようなフェリクスは、やはり体を動かすのが好きな子どもだった。
スクスクと育ったフェリクスが2歳になる頃、私のお腹にはまた新しい小さな命が宿っていた。
「レベッカ、あんまり無理をしてはいけないと言っただろ?」
「全然、無理なんてしてません。
大丈夫ですよ。もう安定期にも入りましたし、フェリクスと遊ぶぐらいなんて事ありません」
今回の妊娠はフェリクスの時と違い、私は酷い悪阻に悩まされた。
一時期は水を飲んでも嘔吐してしまい、一日中ベッドの住人になる日が多かった程だ。
その分、フェリクスには寂しい思いをさせてしまったので、安定期に入った今は、寂しくさせた分、フェリクスと一緒に過ごすようにしていた。
しかし、フェリクスはとにかく体を使った遊びが好きな為、こうして私は、度々レオ様から注意を受けるのだった。
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