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アンナと私
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翌日。私は侍女のアンナと護衛のウィルと共に領地へ向かう。
「お兄様、お世話になりました。お身体に気をつけて。
お勉強頑張って下さいね。」
「ああ。久しぶりにレベッカと2人で楽しかったよ。
貰った万年筆は宝物にするよ。」
例の日に買ったお兄様へのプレゼントだ。これで勉強を頑張ってもらいたい。
「では、またお手紙書きます。お元気で。」
そういって私は馬車に乗り込み、窓から顔を出し手を降る。
お兄様は馬車が見えなくなるまで、見送ってくれていた。
「お嬢様、急に結婚なんて、どうなさったのですか?」
侍女のアンナが好奇心に満ちた目で私に問う。
本当はもっと早く聞きたくてウズウズしてたはずだ。
お兄様が居たから聞けなかったのだろう。
アンナは私の乳母の娘だ。
私より半年早くに生まれた、所謂乳姉妹という間柄。
主人と侍女というより、本当に姉妹に近いと私は思っている。
しかし、いくら仲良しのアンナであっても本当の事は教えられない。
こうやって嘘をつく事が増え、少し憂鬱になるが仕方ない。
「まるで、アンナが好きな恋愛小説のような衝撃的な出逢いだったわ。一目で恋に落ちたの。」
衝撃的な出逢いであった事は間違いない。後半は嘘っぱちだけど。
「キャー素敵です!そんな出逢いがあるなんてー。羨ましい!」
顔を赤くして、まるでアンナが恋する乙女だ。
恋に恋するお年頃には少し遅い気もするが。
「でも、ランバード様は確かに整ったお顔をしてらっしゃいますけど…お嬢様の好みではないですよね?」
そうなのだ、何度か言ってるかもしれないが、レオナルド様のお顔は私の好みとは違う。
私は美形の兄に囲まれて育ったせいか、少し武骨な感じの野性味のある男性が好きだ。
まぁ、レオナルド様も騎士をしているだけあって、体躯は素晴らしく、筋肉も申し分ない。
できればもう少しワイルドになって欲しいが、恋愛結婚ではないのだ、私の好みを押し付けるわけにはいかない。
別にレオナルド様を好きになる必要はないのだし。
と、本当の事はアンナには言えないので
「不思議よね。恋に落ちるって理屈じゃないのよ。好みなんて、そんなの関係なくなっちゃうの。
これが恋よね。」
と、経験した事もない恋について語る私。少し虚しい。
「なるほど~。そうなんですね。私にもいつかそんな人が現れますかね~。」
「もちろんよ~。アンナにはアンナだけの王子様が現れるわよ。きっと。」
ますます虚しい。
「私だけの王子様…」
アンナは頬を染めて、まだ見ぬ王子様に思いを馳せているようだ。逆に羨ましい。
「でも…」
お、アンナが現実に戻ってきた。
「サミュエル様が良くお許しになりましたよね。まぁ。サミュエル様がお許しになっても…アレックス様がお許しになるか…」
と、めちゃくちゃ現実的な事を言う。
もちろんアンナはアレックスお兄様の溺愛っぷりを間近で見ているだけあって、心配そうだ。
「そうね。だからなんとしてもアレックスお兄様が帰国する前に結婚してしまいたいの。
それとね、アンナに一つお願いがあるのだけれど…」
「なんなりと、お嬢様!」
「私がランバード家に嫁ぐ時にね、アンナに私の侍女として付いてきて貰いたいの?どうかしら?」
「付いて行ってもよろしいのですか?もちろんです。私はずっとお嬢様と一緒にいたいですから。」
と私の手を握ってくれた。
アンナと一緒なら心強い。これはレオナルド様からの提案でもあったので、私はありがたくその提案を受けたのだった。
「でも、お嬢様、結婚式はなさらないのですよね?私の手でお嬢様を世界一の花嫁にしてみたかったのですが。」
「そのつもりだけど、アンナの気持ちは凄く嬉しいわ。ありがとう。」
私は別に結婚式に拘ってなかったが、そう言われるとちょっと残念に思う。
いつの日か結婚式したいってレオナルド様に言ってみようかしら。
アンナと2人、いつものようにお喋りをしていたら、1日目の宿に着いた。明日はいよいよコッカス伯爵領に着く。
私は改めて気合いを入れた。
「お兄様、お世話になりました。お身体に気をつけて。
お勉強頑張って下さいね。」
「ああ。久しぶりにレベッカと2人で楽しかったよ。
貰った万年筆は宝物にするよ。」
例の日に買ったお兄様へのプレゼントだ。これで勉強を頑張ってもらいたい。
「では、またお手紙書きます。お元気で。」
そういって私は馬車に乗り込み、窓から顔を出し手を降る。
お兄様は馬車が見えなくなるまで、見送ってくれていた。
「お嬢様、急に結婚なんて、どうなさったのですか?」
侍女のアンナが好奇心に満ちた目で私に問う。
本当はもっと早く聞きたくてウズウズしてたはずだ。
お兄様が居たから聞けなかったのだろう。
アンナは私の乳母の娘だ。
私より半年早くに生まれた、所謂乳姉妹という間柄。
主人と侍女というより、本当に姉妹に近いと私は思っている。
しかし、いくら仲良しのアンナであっても本当の事は教えられない。
こうやって嘘をつく事が増え、少し憂鬱になるが仕方ない。
「まるで、アンナが好きな恋愛小説のような衝撃的な出逢いだったわ。一目で恋に落ちたの。」
衝撃的な出逢いであった事は間違いない。後半は嘘っぱちだけど。
「キャー素敵です!そんな出逢いがあるなんてー。羨ましい!」
顔を赤くして、まるでアンナが恋する乙女だ。
恋に恋するお年頃には少し遅い気もするが。
「でも、ランバード様は確かに整ったお顔をしてらっしゃいますけど…お嬢様の好みではないですよね?」
そうなのだ、何度か言ってるかもしれないが、レオナルド様のお顔は私の好みとは違う。
私は美形の兄に囲まれて育ったせいか、少し武骨な感じの野性味のある男性が好きだ。
まぁ、レオナルド様も騎士をしているだけあって、体躯は素晴らしく、筋肉も申し分ない。
できればもう少しワイルドになって欲しいが、恋愛結婚ではないのだ、私の好みを押し付けるわけにはいかない。
別にレオナルド様を好きになる必要はないのだし。
と、本当の事はアンナには言えないので
「不思議よね。恋に落ちるって理屈じゃないのよ。好みなんて、そんなの関係なくなっちゃうの。
これが恋よね。」
と、経験した事もない恋について語る私。少し虚しい。
「なるほど~。そうなんですね。私にもいつかそんな人が現れますかね~。」
「もちろんよ~。アンナにはアンナだけの王子様が現れるわよ。きっと。」
ますます虚しい。
「私だけの王子様…」
アンナは頬を染めて、まだ見ぬ王子様に思いを馳せているようだ。逆に羨ましい。
「でも…」
お、アンナが現実に戻ってきた。
「サミュエル様が良くお許しになりましたよね。まぁ。サミュエル様がお許しになっても…アレックス様がお許しになるか…」
と、めちゃくちゃ現実的な事を言う。
もちろんアンナはアレックスお兄様の溺愛っぷりを間近で見ているだけあって、心配そうだ。
「そうね。だからなんとしてもアレックスお兄様が帰国する前に結婚してしまいたいの。
それとね、アンナに一つお願いがあるのだけれど…」
「なんなりと、お嬢様!」
「私がランバード家に嫁ぐ時にね、アンナに私の侍女として付いてきて貰いたいの?どうかしら?」
「付いて行ってもよろしいのですか?もちろんです。私はずっとお嬢様と一緒にいたいですから。」
と私の手を握ってくれた。
アンナと一緒なら心強い。これはレオナルド様からの提案でもあったので、私はありがたくその提案を受けたのだった。
「でも、お嬢様、結婚式はなさらないのですよね?私の手でお嬢様を世界一の花嫁にしてみたかったのですが。」
「そのつもりだけど、アンナの気持ちは凄く嬉しいわ。ありがとう。」
私は別に結婚式に拘ってなかったが、そう言われるとちょっと残念に思う。
いつの日か結婚式したいってレオナルド様に言ってみようかしら。
アンナと2人、いつものようにお喋りをしていたら、1日目の宿に着いた。明日はいよいよコッカス伯爵領に着く。
私は改めて気合いを入れた。
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