神さまのレシピ

yoyo

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神様のイジワル⑸

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   本格的なリハビリも始まって、1日1時間リハビリ室で足を動かす練習をしていた。担当の理学療法士の白井葉那しらいはなは、今年2年目の小柄で可愛らしい女性だった。だけど、意外にも力は強くて、足の感覚はあるから、力強いマッサージに「いてて……」となることもあったけど、痛いことは悪いことじゃないらしい。

   颯は、彼女がいた経験がなかったから、女の人が距離近くマッサージすることに、妙な恥ずかしさがあったけど、回を重ねるごとに、葉那も仕事でやっているんだと冷静に考えられるようになり、そこまでドキドキもそわそわすることもなくなった。
   だけど、トイレとなると話は別だ。だから、リハビリの途中から少し、トイレに行きたかったけど、リハビリが始まる前にトイレに行ったし、まだ1時間もたってないと自分に言い聞かせて、我慢していた。終わってから迎えに来る予定の湖城に連れて行ってもらおうと思っていた。だけど、リハビリ室に迎えに来てくれたのは、湖城でも朝也でもなく、女性の看護師で予定が少し狂った。


「湖城さん、今いないんですか?」

「あ、すいません。他の患者さんの検査付き添いで行ってるんです。湖城さんに用でしたか?あ、もしかしてトイレとか?」

「あ……はい……でも、まだ大丈夫なんで……」


   看護師には大丈夫と言ったけど、もうほとんど余裕はなかった。病棟に戻ってナースステーションを覗いてもらったけど、まだ湖城は戻っていなく、ピッチで連絡取ってもらったら、あと5分程で戻ると言われて、この女性の看護師がトイレまで介助するのを断ってしまった。

   病室で湖城を待つ5分が物凄く長く感じる。先程からそんなに時間が経ってるわけではないのに、前かがみになって押さえてないと漏れそうだった。今まで、こんなにトイレが近いことも、我慢できないこともなかったのに、今はすぐに、限界まで達して漏れそうになってしまう。


「ごめん。待たせた。大丈夫?」


   全く大丈夫ではなくて、少し前からちょっとずつ決壊が始まっていた。それでもなんとか止めて耐えている状態だ。だけど、ズボンにも沁み始めて湖城にも気づかれてそうだ。トイレに着いてからも抑えている手が離せなくて、湖城の首に腕を回して車椅子から立たせて貰うことができない。今、手を離すと何とか押さえているものが全て決壊してしまう。


「んっ……」

「颯くん、一瞬だけ手離してくれる?」

「えっ、ん……いやっ……」


   湖城に顔を向けた一瞬の手を緩めた時に「ちょっと、ごめんね」とズボンとパンツをズラして、中に手を入れてきた。そして、ちょっとずつ漏れ始めているそれを引っ張り出して、とある容器に充てがう。


「ここに出していいよ。これ、尿瓶だから……ね」

「んっ……いや……でも」


   もう、出しちゃえば楽になれるけど、トイレを目の前に、尿瓶にしなきゃいけないことに情けなくて、どうしても抵抗してしまう。


「我慢するのは体に悪いから、ごめんね」


   そう断ると湖城は、颯の下腹部をグッと押す。そんなことされるともう、抗うことは出来ずに、溜め込んでいたものが流れ出し、恥ずかしい音をててた。


「うっ……もうやだ……こんな体……なんで……うっ……うっ……」

「ごめんね。オレが迎えに行けなかったからだよね。だから、颯くんが気に病むことはないから。全部オレのせいだからね」


   何でこんなことになっちゃったんだろう。一体ボクが何をしたっていうんだ。神様は何でボクばっかりこんな目にあわせるんだろう。最近は少し前向きになったきた気持ちがまた、闇に引きずらなれる。こんな体で生きている意味があるんだろうか……
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