神さまのレシピ

yoyo

文字の大きさ
10 / 42

神様のイジワル⑷

しおりを挟む
「ちょっと、ごめんね」と湖城に布団を全てめくられると、颯の失態がまざまざと露わになる。もう、恥ずかしくて死にそうだ。

「体が冷えちゃってるね。ごめんね。早く気づいてあげれなくて」


   こんなどうしようもない状態の颯にも湖城はいつも通り、優しくて、よりこんな自分が情けなくて、涙が溢れる。だけど、それもまた子どもみたいで恥ずかしくて両腕で顔を隠しながら首を振る。手早く着替えさせられ、ベットも寝れる状態に整えていく。病院だから、血だったり、嘔吐だったりでベットが汚れることが多いから、常に防水シートが敷いてあるようで、マットレスまでは汚れていなかった。


「トイレ行きたい時は、遠慮しなくていいから、いつでもナースコール鳴らしてよ。我慢しなくてもいいからね」


   湖城は、我慢しすぎて間に合わなかったと思っている。確かに、この歳でおねしょしちゃうとは思ってもいないだろう。

「あ……ち、違くて……」

「ん?」

「寝てる間に……その……」

「おねしょしちゃった?」


   改めて、言葉にされると破壊力がすごい……。全くその通りなんだけど、俯くしかできない。でも、もうそれが肯定だということもバレバレだ。

「そっか……颯くんは、こういうことって、たまにあるのかな?」

   初めは言っている意味がよくわからなくて、ちょっとポカンとしてしまうが、要するに今でもおねしょをしてしまうのかと聞いているのだ。最後にしたのは、もう思い出せないくらい昔、幼稚園のころだろうか……湖城に今でもしていると思われたのかと、思いっきり首を振る。


「あ、ごめん。そういう意味じゃなくて……でもそれなら、カテーテル抜いたばかりで感覚が鈍ってるのかもしれないね。一時的なものだから気にすることはないよ。だからそんな顔しなくて大丈夫だから」

   湖城はフワッと笑って、颯の頭に手を乗せる。なんだか、子ども扱いされてる気もするけど、湖城の手は安心できた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

悪夢の先に

紫月ゆえ
BL
人に頼ることを知らない大学生(受)が体調不良に陥ってしまう。そんな彼に手を差し伸べる恋人(攻)にも、悪夢を見たことで拒絶をしてしまうが…。 ※体調不良表現あり。嘔吐表現あるので苦手な方はご注意ください。 『孤毒の解毒薬』の続編です! 西条雪(受):ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。 白銀奏斗(攻):勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...