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38.弟子入り志願
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「わかった。君の実力、見せてもらうよ」
――その場は、都合がいいことに闘技場。
いくら暴れまわっても問題ない。
少女は勢いよく立ち上がり、リートに相対した。
「そう言えば、君の名前は?」
「すみません! まだ名乗っていませんでした! シャーロットと申します!」
「シャーロットか。それで、君の武器は?」
聞くと、シャーロットは首を振る。
「武器はありません! この拳で戦います!」
つまり、クラスは“拳士”か。
あまり見かけないが、弱いクラスではない。
――が、問題は“小人”とはあまり相性がよくないことだ。
なにせ、拳士はパワーや体格が物を言うクラスだからだ。
小人なら魔法使いの方が強くなりやすいだろう。
この時点で、戦闘能力にはかなり不安がある。
「よし、じゃぁ早速戦ってみようか。いつかかってきてもい――」
と、リートが言い終わる前に、シャーロットが地面を蹴った。
――気が早いな!
リートは彼女の単純な拳を、軽く避けながら、内心で苦笑した。
――いや、でもいつかかってきてもいいって言ったのは俺か。
「ハッ!」
奇襲じみたスタートダッシュをかわされた後、シャーロットは立て続けに、ステップを踏んで拳を繰り出してくる。
だが、それも全くの空振り。リートが反撃しようと思えば、いつでもノックアウトできた。
「――ッ!」
シャーロットは自分の格闘が全く通じないことに焦る。
そこで、自分の持てる最強の技を繰り出した。
「――“バーニング・ナックル!”」
拳に炎を纏った一撃。
拳士クラスの基本技の一つだ。
だが、リートはそれを軽々受け止める。
「“ファイヤー・ウォール”」
炎の壁が盾となり、シャーロットの攻撃を防ぐ。
シャーロットの拳は完璧に遮られ、その間にリートは悠然と後方に飛び去る。
「さてと、今度は俺の番だ」
リートは手のひらを前に突き出し、スキルを唱える。
「“ファイヤー・ランス!”」
炎の槍がシャーロットに向かって放たれる。
シャーロットの肉体強化では、リートの魔法を素手で受け止めることはできない。
したがって、持てる最強の応手で答える。
「――“バーニング・ナックル!”」
炎の槍と炎の拳がぶつかる。
――威力は全くの互角。
お互いがお互いの炎を弾き飛ばす。
しかしすかさず、リートが上級攻撃で畳み掛ける。
「“ファイヤーランス・レイン”!」
同時に出現する三本槍。
それらをリートはあえて少しずつ遅らせて発射した。
「――!」
シャーロットは、一本目と二本目をなんとか“バーニング・ナックル”で叩き落とすが、次の槍に対しては技の発動が間に合わない。
だから全速力で跳躍し、避ける――
なんとか躱した!。
だが、次の瞬間、宙にいたシャーロットに、リートの拳が飛んできた。
一瞬で距離を詰められたのだ。
リートの拳が彼女のみぞおちに直撃する。
「――うッ!!」
シャーロットは加護の結界もろとも吹き飛ばされた。
――うーん、全然話にならないな。
リートは、そんな感想を持つ。
確かに、ランドという騎士が、足手まといと言いたくなる気持ちも少しわかった。
【――スキル“バーニング・ナックル”を手に入れました】
と、遅ればせながら、女神の声が聞こえてくる。
それで、彼女の持っているスキルが、一つだけであることがわかった。
「……ッ」
シャーロットは悔しそうな浮かべながら、歯を食いしばってその感情に耐え、なんとか体を起こして立ち上がろうとしていた。
リートは、彼女の方に歩み寄って手を差し出す。
そして立ち上がったシャーロットに対して一言。
「正直、騎士にはほど遠いと思う」
と、率直な感想を述べる。
シャーロットは「そんなッ!」と声を上げる。
だが――リートの言葉には続きがあった。
「――それでも騎士になる気が、騎士になれないって言ってきたアホどもを見返す勇気があるんだったら、一緒に戦おう」
その言葉にシャーロットはポカンとした表情を浮かべる。
数秒口を開けたままで、そして――ようやく意味を理解して、
そしたらその瞬間、
「よ、よろしくお願いします!」
大きな声が闘技場に轟いた。
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