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後日談
一巻の後日談 ローラの秘密。
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注意・この話はローラのイメージを壊したくない人は読まない方が賢明です。
うん、世の中には知らない方がいいことがあると思うんですよね。
この話は一巻の後日談といった感じです。
◆
今日は俺の七歳の誕生日。
前日からローラを含めたメイド達がソワソワしていたので、なんとなく察してはいたが、どうやら誕生日会をやってくれるみたいだ。
普段あまり使われていない部屋までローラに連れて行かれ、扉を開くと部屋のあちらこちらが、星や動物などで飾り付けられている。
俺が思わず息を呑んで驚いていると、部屋で待ち構えていた使用人達が歓声を上げつつ、拍手で出迎えてくれた。
見回すと別館で働いている使用人がほぼ全員……かな?
「ローラ、結構な人だね」
「ふふ、ユーリ様がそれだけ多くの人に慕われているということではないでしょうか?」
「それはどうかな? ただ、お腹を空かしているだけじゃないかな?」
実際に俺の面前には色とりどりの花で飾り付けられたテーブルの上には、美しい食器と豪勢な料理が並んでいる。
「ふふ、そんなことはありませんよ。皆さん、ちゃんと手伝っていただけましたから」
「そうか? すごいな……いつもの質素な料理とは比べ物にならない。これは……お金とかどうしたの?」
ローラは俺の耳元と近づき小声で答えてくれる。
「お館様が出してくださいました。一緒に祝えずにすまない、とのことです」
……まあ、お父様がここに来ても、正妻さんの機嫌が悪くなっちゃうからね。残念だけど、仕方ないか。
あ……もしかしたら、この誕生日会を知られないために、正妻さんや兄達を王都に連れ出したのかも知れない。
「そう、ありがとうってお父様には伝えといて」
「かしこまりました。ユーリ様の席はここです」
俺の言葉に、ローラが少し嬉しそうに頷いた。
俺はローラに案内されて、大きなテーブルの真ん中の席に着く。そして、ローラは右隣の席に着いた。
俺が席に着くと、左隣からディランから楽しそうに話しかけてきた。
「坊主も七歳かよ。時が経つのは早いな」
「そうだね。気づいたらディランも三十七歳くらいだっけ? もうおっさんて年齢両足を突っ込んでいるからね」
「うるせいやい。俺はまだまだピチピチだぜ? そう簡単に若い奴には負けんよ」
「うわ……その発言が、すでにおっさんだよ?」
ディランが俺の頭をポンポンと軽く叩いて、ニカッと笑った。
「く……坊主もおっさんになる時がくるから覚悟しておけよ!」
俺とディランが談笑していると、前の席に座ったリムが笑い出した。
「ぷ……ディランさんの言う通りだね! ユーリは今日、おっさんへの階段を一段上ったね」
リムの言い草にムッとなった俺はリムに視線を向けて言い返す。
「リムだって」
「何よ?」
「リムだって再来週には俺と同じ七歳なんだし……着実におばさんへの階段を上るだろ」
「おば……!? 言ったなぁ! 私の場合はレディへの階段なんだよ!」
「メイド服を着ないと、今でも男っぽく見える癖に……」
「あ……いったなぁ」
「ふふ、真実だろうに!」
「うう……!」
俺とリムがからかい合っていると、ローラがトントンと俺の肩を叩いて「ユーリ様、そろそろ挨拶の方をお願いします。」と促す。
リムとの会話を切り上げ、俺は目の前の山葡萄(やまぶどう)のジュースが注がれたコップを手に取って立ち上がる。
すると、集まった皆が談笑をやめて俺に視線が集まる。
「えっと、なんて言ったら、良いか知らんが……まぁ、とりあえず今日は皆集まってくれてありがとう。存分に飲んで食べてくれ! 宴だぁぁああああああああああああああああああああ!!」
わずかの間をおいて部屋全体から、わぁっという歓声があがる。
こうして、俺の誕生日会、いや、宴が始まった。
俺が席に再び着くと、ローラがクスクスと笑っている。
「じゃあ……私もお言葉に甘えて、飲ませていただきますね」
ローラは自分のコップを俺のコップに軽くコンッと、一回当てると楽しげに飲み始めた。
「あぁ……ローラにはお世話になっているからな。いっぱい飲むがいい」
「ふふ」
「どうした?」
「宴ですか。ユーリ様らしいなぁと、思わず笑ってしまいました」
「ハハッ、自分で自分の誕生日会を祝おうなんてなんて言うのは、なんだか恥ずかしいから。それに宴って言葉は……なんとなく、身分とかそういうの関係なしに騒げる感じがして、好きなんだよね」
「もしかしたら、そういう貴族らしくないところがユーリ様の魅力かもしれませんね。この部屋には休みにもかかわらず、駆けつけた者もいます。ここまで使用人に慕われている貴族の子弟というのも……稀だと思いますよ」
「なんのこといってるんだか……俺を褒めても、何も出てこないぞ?」
俺の魅力なんて言われ恥ずかしく思って、俺は頬をポリポリと掻く。そんな俺を見たローラは笑みを浮かべて、コップに入った飲み物をクッと飲み干した。
「ふふ、私の誕生日は期待しているよ」
「あ、はいはい! 私も」
「私もですです」
目の前に盛ってあったステーキの山に手を伸ばしていたリムとイーナ、リカがそれぞれ主張した。
彼女達の主張を聞いて俺が苦笑しているとローラが立ち上がって声を荒げた。
「貴女達!」
ん? 普段と比べて少し上ずっているように思えるが……どうしたんだろうか?
そんなことを思って再びローラに視線を向けると、ローラは椅子に座りなおして続けた。
「貴女達……ユーリ様は……ヒクッ、あら? ヒクッ」
「? ヒクッて何? どうしたのローラ?」
「ハァァ……ユーリ様ぁ、なんだか……なんだか、すごい気持ちがいいんです。へへ……ユーリ様ぁ」
ローラが俺にもたれかかるように、抱きついてきた。
「ふふふふ……気持ちいいですぅ……。ユーリ様ぁ」
これは……一体どうしたんだろうか?
声の音量はいつもより高くて顔は真っ赤で目はトロンと緩んでいる。
そして、ローラの胸が当たって……。ローラさん? スキンシップにしては過剰すぎませんか?
「ロ、ローラ? 大丈夫か?」
「へへ、ユーリ様ぁ……大好きですよぉ。へへ……ヒクッ! ユーリ様のほっぺた柔らかいですねぇ~」
ローラが俺に頬擦(ほおず)りしてくる。
それを見ていたリムが身を乗り出して「ろ、ローラさん、ユーリにくっつきすぎですよ!?」と声を荒げる。
しかし……ローラは止らなかった。ローラの手は俺のシャツの中にスルリと入って弄ってくる。
「可愛いユーリ様ぁ……あ、結構筋肉質ですよねぇ……へへ」
「ディラン? ディラン!? ローラが……ローラ、そこは……こしょばいからやめて! ひゃい!? そこはダメだって……」
危機感を覚えた俺はディランに助けを求める。すると、エールを一気飲みしてご機嫌なディランがこちらを向いた。
「ん? どうした坊主? ん? ローラ?」
「へへ、ディランも大好きですよぉ」
ローラが手を伸ばして、ディランにも抱きつこうとする。ローラとディランに挟まれる形になって……かなり苦しい。
「ローラ先輩? ……あ! これはまさか……」
「あ! ローラ先輩の様子が……ユーリ様! ひょっとして、お酒を飲ませたのですです!?」
ローラの異変に気が付いたリカとイーナが声を上げる。すると、ディランがローラのコップを手に取って確認する。
「くそ……ローラのコップに入っていたのは、ジュースじゃなくて、ワインだったのか!?」
「ディラン!? どうなってんの!? ローラはどうしたのさ!?」
「坊主は知らんだろうが、ローラは酒乱なんだ! しかも酒に弱いから、すぐに酔っ払って……このままだとマズいな。坊主、手伝ってくれ!!」
酒乱……? そんなの初めて聞い……あ!?
そういえば、リナリー達と宴会した時にメイド長からお酒は禁止されているとか言っていたような……?
「わ、分かった!」
「ふふ……世界が回っていますぅ」
ディラン達とともに、なんとかローラを部屋に押し込んで……誕生日会を再開する運びになった。
◆
誕生日会の翌日。
俺はローラの部屋の前に来ていた。そして、扉をノックする。
――トントントン。
「ローラ? 調子はどう? 大丈夫かい?」
「すみません! 今は……ユーリ様、今はそっとしておいて下さい! 願いしますぅ!!」
その日、ローラはメイド長から休みをもらい、自室から一歩も出てこなかった。
◆
うん、世の中には知らない方がいいことがあると思うんですよね。
この話は一巻の後日談といった感じです。
◆
今日は俺の七歳の誕生日。
前日からローラを含めたメイド達がソワソワしていたので、なんとなく察してはいたが、どうやら誕生日会をやってくれるみたいだ。
普段あまり使われていない部屋までローラに連れて行かれ、扉を開くと部屋のあちらこちらが、星や動物などで飾り付けられている。
俺が思わず息を呑んで驚いていると、部屋で待ち構えていた使用人達が歓声を上げつつ、拍手で出迎えてくれた。
見回すと別館で働いている使用人がほぼ全員……かな?
「ローラ、結構な人だね」
「ふふ、ユーリ様がそれだけ多くの人に慕われているということではないでしょうか?」
「それはどうかな? ただ、お腹を空かしているだけじゃないかな?」
実際に俺の面前には色とりどりの花で飾り付けられたテーブルの上には、美しい食器と豪勢な料理が並んでいる。
「ふふ、そんなことはありませんよ。皆さん、ちゃんと手伝っていただけましたから」
「そうか? すごいな……いつもの質素な料理とは比べ物にならない。これは……お金とかどうしたの?」
ローラは俺の耳元と近づき小声で答えてくれる。
「お館様が出してくださいました。一緒に祝えずにすまない、とのことです」
……まあ、お父様がここに来ても、正妻さんの機嫌が悪くなっちゃうからね。残念だけど、仕方ないか。
あ……もしかしたら、この誕生日会を知られないために、正妻さんや兄達を王都に連れ出したのかも知れない。
「そう、ありがとうってお父様には伝えといて」
「かしこまりました。ユーリ様の席はここです」
俺の言葉に、ローラが少し嬉しそうに頷いた。
俺はローラに案内されて、大きなテーブルの真ん中の席に着く。そして、ローラは右隣の席に着いた。
俺が席に着くと、左隣からディランから楽しそうに話しかけてきた。
「坊主も七歳かよ。時が経つのは早いな」
「そうだね。気づいたらディランも三十七歳くらいだっけ? もうおっさんて年齢両足を突っ込んでいるからね」
「うるせいやい。俺はまだまだピチピチだぜ? そう簡単に若い奴には負けんよ」
「うわ……その発言が、すでにおっさんだよ?」
ディランが俺の頭をポンポンと軽く叩いて、ニカッと笑った。
「く……坊主もおっさんになる時がくるから覚悟しておけよ!」
俺とディランが談笑していると、前の席に座ったリムが笑い出した。
「ぷ……ディランさんの言う通りだね! ユーリは今日、おっさんへの階段を一段上ったね」
リムの言い草にムッとなった俺はリムに視線を向けて言い返す。
「リムだって」
「何よ?」
「リムだって再来週には俺と同じ七歳なんだし……着実におばさんへの階段を上るだろ」
「おば……!? 言ったなぁ! 私の場合はレディへの階段なんだよ!」
「メイド服を着ないと、今でも男っぽく見える癖に……」
「あ……いったなぁ」
「ふふ、真実だろうに!」
「うう……!」
俺とリムがからかい合っていると、ローラがトントンと俺の肩を叩いて「ユーリ様、そろそろ挨拶の方をお願いします。」と促す。
リムとの会話を切り上げ、俺は目の前の山葡萄(やまぶどう)のジュースが注がれたコップを手に取って立ち上がる。
すると、集まった皆が談笑をやめて俺に視線が集まる。
「えっと、なんて言ったら、良いか知らんが……まぁ、とりあえず今日は皆集まってくれてありがとう。存分に飲んで食べてくれ! 宴だぁぁああああああああああああああああああああ!!」
わずかの間をおいて部屋全体から、わぁっという歓声があがる。
こうして、俺の誕生日会、いや、宴が始まった。
俺が席に再び着くと、ローラがクスクスと笑っている。
「じゃあ……私もお言葉に甘えて、飲ませていただきますね」
ローラは自分のコップを俺のコップに軽くコンッと、一回当てると楽しげに飲み始めた。
「あぁ……ローラにはお世話になっているからな。いっぱい飲むがいい」
「ふふ」
「どうした?」
「宴ですか。ユーリ様らしいなぁと、思わず笑ってしまいました」
「ハハッ、自分で自分の誕生日会を祝おうなんてなんて言うのは、なんだか恥ずかしいから。それに宴って言葉は……なんとなく、身分とかそういうの関係なしに騒げる感じがして、好きなんだよね」
「もしかしたら、そういう貴族らしくないところがユーリ様の魅力かもしれませんね。この部屋には休みにもかかわらず、駆けつけた者もいます。ここまで使用人に慕われている貴族の子弟というのも……稀だと思いますよ」
「なんのこといってるんだか……俺を褒めても、何も出てこないぞ?」
俺の魅力なんて言われ恥ずかしく思って、俺は頬をポリポリと掻く。そんな俺を見たローラは笑みを浮かべて、コップに入った飲み物をクッと飲み干した。
「ふふ、私の誕生日は期待しているよ」
「あ、はいはい! 私も」
「私もですです」
目の前に盛ってあったステーキの山に手を伸ばしていたリムとイーナ、リカがそれぞれ主張した。
彼女達の主張を聞いて俺が苦笑しているとローラが立ち上がって声を荒げた。
「貴女達!」
ん? 普段と比べて少し上ずっているように思えるが……どうしたんだろうか?
そんなことを思って再びローラに視線を向けると、ローラは椅子に座りなおして続けた。
「貴女達……ユーリ様は……ヒクッ、あら? ヒクッ」
「? ヒクッて何? どうしたのローラ?」
「ハァァ……ユーリ様ぁ、なんだか……なんだか、すごい気持ちがいいんです。へへ……ユーリ様ぁ」
ローラが俺にもたれかかるように、抱きついてきた。
「ふふふふ……気持ちいいですぅ……。ユーリ様ぁ」
これは……一体どうしたんだろうか?
声の音量はいつもより高くて顔は真っ赤で目はトロンと緩んでいる。
そして、ローラの胸が当たって……。ローラさん? スキンシップにしては過剰すぎませんか?
「ロ、ローラ? 大丈夫か?」
「へへ、ユーリ様ぁ……大好きですよぉ。へへ……ヒクッ! ユーリ様のほっぺた柔らかいですねぇ~」
ローラが俺に頬擦(ほおず)りしてくる。
それを見ていたリムが身を乗り出して「ろ、ローラさん、ユーリにくっつきすぎですよ!?」と声を荒げる。
しかし……ローラは止らなかった。ローラの手は俺のシャツの中にスルリと入って弄ってくる。
「可愛いユーリ様ぁ……あ、結構筋肉質ですよねぇ……へへ」
「ディラン? ディラン!? ローラが……ローラ、そこは……こしょばいからやめて! ひゃい!? そこはダメだって……」
危機感を覚えた俺はディランに助けを求める。すると、エールを一気飲みしてご機嫌なディランがこちらを向いた。
「ん? どうした坊主? ん? ローラ?」
「へへ、ディランも大好きですよぉ」
ローラが手を伸ばして、ディランにも抱きつこうとする。ローラとディランに挟まれる形になって……かなり苦しい。
「ローラ先輩? ……あ! これはまさか……」
「あ! ローラ先輩の様子が……ユーリ様! ひょっとして、お酒を飲ませたのですです!?」
ローラの異変に気が付いたリカとイーナが声を上げる。すると、ディランがローラのコップを手に取って確認する。
「くそ……ローラのコップに入っていたのは、ジュースじゃなくて、ワインだったのか!?」
「ディラン!? どうなってんの!? ローラはどうしたのさ!?」
「坊主は知らんだろうが、ローラは酒乱なんだ! しかも酒に弱いから、すぐに酔っ払って……このままだとマズいな。坊主、手伝ってくれ!!」
酒乱……? そんなの初めて聞い……あ!?
そういえば、リナリー達と宴会した時にメイド長からお酒は禁止されているとか言っていたような……?
「わ、分かった!」
「ふふ……世界が回っていますぅ」
ディラン達とともに、なんとかローラを部屋に押し込んで……誕生日会を再開する運びになった。
◆
誕生日会の翌日。
俺はローラの部屋の前に来ていた。そして、扉をノックする。
――トントントン。
「ローラ? 調子はどう? 大丈夫かい?」
「すみません! 今は……ユーリ様、今はそっとしておいて下さい! 願いしますぅ!!」
その日、ローラはメイド長から休みをもらい、自室から一歩も出てこなかった。
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1-2
養子ではないと思うのですが
間違えていたらすみませんこれの続編てありませんでしたか?
完結おめでとうございます!
そしてお疲れ様でした!
自分はこの作品に魅了されてスローライフっぽい作品を書き始めたので、なんだか感慨深い気持ちでいっぱいです!
次回作も応援しているので、執筆頑張ってください!
後藤蓮先生。
コメント、ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。
次回作も頑張ります^_^