97 / 97
後日談
一巻の後日談 ローラの秘密。
しおりを挟む
注意・この話はローラのイメージを壊したくない人は読まない方が賢明です。
うん、世の中には知らない方がいいことがあると思うんですよね。
この話は一巻の後日談といった感じです。
◆
今日は俺の七歳の誕生日。
前日からローラを含めたメイド達がソワソワしていたので、なんとなく察してはいたが、どうやら誕生日会をやってくれるみたいだ。
普段あまり使われていない部屋までローラに連れて行かれ、扉を開くと部屋のあちらこちらが、星や動物などで飾り付けられている。
俺が思わず息を呑んで驚いていると、部屋で待ち構えていた使用人達が歓声を上げつつ、拍手で出迎えてくれた。
見回すと別館で働いている使用人がほぼ全員……かな?
「ローラ、結構な人だね」
「ふふ、ユーリ様がそれだけ多くの人に慕われているということではないでしょうか?」
「それはどうかな? ただ、お腹を空かしているだけじゃないかな?」
実際に俺の面前には色とりどりの花で飾り付けられたテーブルの上には、美しい食器と豪勢な料理が並んでいる。
「ふふ、そんなことはありませんよ。皆さん、ちゃんと手伝っていただけましたから」
「そうか? すごいな……いつもの質素な料理とは比べ物にならない。これは……お金とかどうしたの?」
ローラは俺の耳元と近づき小声で答えてくれる。
「お館様が出してくださいました。一緒に祝えずにすまない、とのことです」
……まあ、お父様がここに来ても、正妻さんの機嫌が悪くなっちゃうからね。残念だけど、仕方ないか。
あ……もしかしたら、この誕生日会を知られないために、正妻さんや兄達を王都に連れ出したのかも知れない。
「そう、ありがとうってお父様には伝えといて」
「かしこまりました。ユーリ様の席はここです」
俺の言葉に、ローラが少し嬉しそうに頷いた。
俺はローラに案内されて、大きなテーブルの真ん中の席に着く。そして、ローラは右隣の席に着いた。
俺が席に着くと、左隣からディランから楽しそうに話しかけてきた。
「坊主も七歳かよ。時が経つのは早いな」
「そうだね。気づいたらディランも三十七歳くらいだっけ? もうおっさんて年齢両足を突っ込んでいるからね」
「うるせいやい。俺はまだまだピチピチだぜ? そう簡単に若い奴には負けんよ」
「うわ……その発言が、すでにおっさんだよ?」
ディランが俺の頭をポンポンと軽く叩いて、ニカッと笑った。
「く……坊主もおっさんになる時がくるから覚悟しておけよ!」
俺とディランが談笑していると、前の席に座ったリムが笑い出した。
「ぷ……ディランさんの言う通りだね! ユーリは今日、おっさんへの階段を一段上ったね」
リムの言い草にムッとなった俺はリムに視線を向けて言い返す。
「リムだって」
「何よ?」
「リムだって再来週には俺と同じ七歳なんだし……着実におばさんへの階段を上るだろ」
「おば……!? 言ったなぁ! 私の場合はレディへの階段なんだよ!」
「メイド服を着ないと、今でも男っぽく見える癖に……」
「あ……いったなぁ」
「ふふ、真実だろうに!」
「うう……!」
俺とリムがからかい合っていると、ローラがトントンと俺の肩を叩いて「ユーリ様、そろそろ挨拶の方をお願いします。」と促す。
リムとの会話を切り上げ、俺は目の前の山葡萄(やまぶどう)のジュースが注がれたコップを手に取って立ち上がる。
すると、集まった皆が談笑をやめて俺に視線が集まる。
「えっと、なんて言ったら、良いか知らんが……まぁ、とりあえず今日は皆集まってくれてありがとう。存分に飲んで食べてくれ! 宴だぁぁああああああああああああああああああああ!!」
わずかの間をおいて部屋全体から、わぁっという歓声があがる。
こうして、俺の誕生日会、いや、宴が始まった。
俺が席に再び着くと、ローラがクスクスと笑っている。
「じゃあ……私もお言葉に甘えて、飲ませていただきますね」
ローラは自分のコップを俺のコップに軽くコンッと、一回当てると楽しげに飲み始めた。
「あぁ……ローラにはお世話になっているからな。いっぱい飲むがいい」
「ふふ」
「どうした?」
「宴ですか。ユーリ様らしいなぁと、思わず笑ってしまいました」
「ハハッ、自分で自分の誕生日会を祝おうなんてなんて言うのは、なんだか恥ずかしいから。それに宴って言葉は……なんとなく、身分とかそういうの関係なしに騒げる感じがして、好きなんだよね」
「もしかしたら、そういう貴族らしくないところがユーリ様の魅力かもしれませんね。この部屋には休みにもかかわらず、駆けつけた者もいます。ここまで使用人に慕われている貴族の子弟というのも……稀だと思いますよ」
「なんのこといってるんだか……俺を褒めても、何も出てこないぞ?」
俺の魅力なんて言われ恥ずかしく思って、俺は頬をポリポリと掻く。そんな俺を見たローラは笑みを浮かべて、コップに入った飲み物をクッと飲み干した。
「ふふ、私の誕生日は期待しているよ」
「あ、はいはい! 私も」
「私もですです」
目の前に盛ってあったステーキの山に手を伸ばしていたリムとイーナ、リカがそれぞれ主張した。
彼女達の主張を聞いて俺が苦笑しているとローラが立ち上がって声を荒げた。
「貴女達!」
ん? 普段と比べて少し上ずっているように思えるが……どうしたんだろうか?
そんなことを思って再びローラに視線を向けると、ローラは椅子に座りなおして続けた。
「貴女達……ユーリ様は……ヒクッ、あら? ヒクッ」
「? ヒクッて何? どうしたのローラ?」
「ハァァ……ユーリ様ぁ、なんだか……なんだか、すごい気持ちがいいんです。へへ……ユーリ様ぁ」
ローラが俺にもたれかかるように、抱きついてきた。
「ふふふふ……気持ちいいですぅ……。ユーリ様ぁ」
これは……一体どうしたんだろうか?
声の音量はいつもより高くて顔は真っ赤で目はトロンと緩んでいる。
そして、ローラの胸が当たって……。ローラさん? スキンシップにしては過剰すぎませんか?
「ロ、ローラ? 大丈夫か?」
「へへ、ユーリ様ぁ……大好きですよぉ。へへ……ヒクッ! ユーリ様のほっぺた柔らかいですねぇ~」
ローラが俺に頬擦(ほおず)りしてくる。
それを見ていたリムが身を乗り出して「ろ、ローラさん、ユーリにくっつきすぎですよ!?」と声を荒げる。
しかし……ローラは止らなかった。ローラの手は俺のシャツの中にスルリと入って弄ってくる。
「可愛いユーリ様ぁ……あ、結構筋肉質ですよねぇ……へへ」
「ディラン? ディラン!? ローラが……ローラ、そこは……こしょばいからやめて! ひゃい!? そこはダメだって……」
危機感を覚えた俺はディランに助けを求める。すると、エールを一気飲みしてご機嫌なディランがこちらを向いた。
「ん? どうした坊主? ん? ローラ?」
「へへ、ディランも大好きですよぉ」
ローラが手を伸ばして、ディランにも抱きつこうとする。ローラとディランに挟まれる形になって……かなり苦しい。
「ローラ先輩? ……あ! これはまさか……」
「あ! ローラ先輩の様子が……ユーリ様! ひょっとして、お酒を飲ませたのですです!?」
ローラの異変に気が付いたリカとイーナが声を上げる。すると、ディランがローラのコップを手に取って確認する。
「くそ……ローラのコップに入っていたのは、ジュースじゃなくて、ワインだったのか!?」
「ディラン!? どうなってんの!? ローラはどうしたのさ!?」
「坊主は知らんだろうが、ローラは酒乱なんだ! しかも酒に弱いから、すぐに酔っ払って……このままだとマズいな。坊主、手伝ってくれ!!」
酒乱……? そんなの初めて聞い……あ!?
そういえば、リナリー達と宴会した時にメイド長からお酒は禁止されているとか言っていたような……?
「わ、分かった!」
「ふふ……世界が回っていますぅ」
ディラン達とともに、なんとかローラを部屋に押し込んで……誕生日会を再開する運びになった。
◆
誕生日会の翌日。
俺はローラの部屋の前に来ていた。そして、扉をノックする。
――トントントン。
「ローラ? 調子はどう? 大丈夫かい?」
「すみません! 今は……ユーリ様、今はそっとしておいて下さい! 願いしますぅ!!」
その日、ローラはメイド長から休みをもらい、自室から一歩も出てこなかった。
◆
うん、世の中には知らない方がいいことがあると思うんですよね。
この話は一巻の後日談といった感じです。
◆
今日は俺の七歳の誕生日。
前日からローラを含めたメイド達がソワソワしていたので、なんとなく察してはいたが、どうやら誕生日会をやってくれるみたいだ。
普段あまり使われていない部屋までローラに連れて行かれ、扉を開くと部屋のあちらこちらが、星や動物などで飾り付けられている。
俺が思わず息を呑んで驚いていると、部屋で待ち構えていた使用人達が歓声を上げつつ、拍手で出迎えてくれた。
見回すと別館で働いている使用人がほぼ全員……かな?
「ローラ、結構な人だね」
「ふふ、ユーリ様がそれだけ多くの人に慕われているということではないでしょうか?」
「それはどうかな? ただ、お腹を空かしているだけじゃないかな?」
実際に俺の面前には色とりどりの花で飾り付けられたテーブルの上には、美しい食器と豪勢な料理が並んでいる。
「ふふ、そんなことはありませんよ。皆さん、ちゃんと手伝っていただけましたから」
「そうか? すごいな……いつもの質素な料理とは比べ物にならない。これは……お金とかどうしたの?」
ローラは俺の耳元と近づき小声で答えてくれる。
「お館様が出してくださいました。一緒に祝えずにすまない、とのことです」
……まあ、お父様がここに来ても、正妻さんの機嫌が悪くなっちゃうからね。残念だけど、仕方ないか。
あ……もしかしたら、この誕生日会を知られないために、正妻さんや兄達を王都に連れ出したのかも知れない。
「そう、ありがとうってお父様には伝えといて」
「かしこまりました。ユーリ様の席はここです」
俺の言葉に、ローラが少し嬉しそうに頷いた。
俺はローラに案内されて、大きなテーブルの真ん中の席に着く。そして、ローラは右隣の席に着いた。
俺が席に着くと、左隣からディランから楽しそうに話しかけてきた。
「坊主も七歳かよ。時が経つのは早いな」
「そうだね。気づいたらディランも三十七歳くらいだっけ? もうおっさんて年齢両足を突っ込んでいるからね」
「うるせいやい。俺はまだまだピチピチだぜ? そう簡単に若い奴には負けんよ」
「うわ……その発言が、すでにおっさんだよ?」
ディランが俺の頭をポンポンと軽く叩いて、ニカッと笑った。
「く……坊主もおっさんになる時がくるから覚悟しておけよ!」
俺とディランが談笑していると、前の席に座ったリムが笑い出した。
「ぷ……ディランさんの言う通りだね! ユーリは今日、おっさんへの階段を一段上ったね」
リムの言い草にムッとなった俺はリムに視線を向けて言い返す。
「リムだって」
「何よ?」
「リムだって再来週には俺と同じ七歳なんだし……着実におばさんへの階段を上るだろ」
「おば……!? 言ったなぁ! 私の場合はレディへの階段なんだよ!」
「メイド服を着ないと、今でも男っぽく見える癖に……」
「あ……いったなぁ」
「ふふ、真実だろうに!」
「うう……!」
俺とリムがからかい合っていると、ローラがトントンと俺の肩を叩いて「ユーリ様、そろそろ挨拶の方をお願いします。」と促す。
リムとの会話を切り上げ、俺は目の前の山葡萄(やまぶどう)のジュースが注がれたコップを手に取って立ち上がる。
すると、集まった皆が談笑をやめて俺に視線が集まる。
「えっと、なんて言ったら、良いか知らんが……まぁ、とりあえず今日は皆集まってくれてありがとう。存分に飲んで食べてくれ! 宴だぁぁああああああああああああああああああああ!!」
わずかの間をおいて部屋全体から、わぁっという歓声があがる。
こうして、俺の誕生日会、いや、宴が始まった。
俺が席に再び着くと、ローラがクスクスと笑っている。
「じゃあ……私もお言葉に甘えて、飲ませていただきますね」
ローラは自分のコップを俺のコップに軽くコンッと、一回当てると楽しげに飲み始めた。
「あぁ……ローラにはお世話になっているからな。いっぱい飲むがいい」
「ふふ」
「どうした?」
「宴ですか。ユーリ様らしいなぁと、思わず笑ってしまいました」
「ハハッ、自分で自分の誕生日会を祝おうなんてなんて言うのは、なんだか恥ずかしいから。それに宴って言葉は……なんとなく、身分とかそういうの関係なしに騒げる感じがして、好きなんだよね」
「もしかしたら、そういう貴族らしくないところがユーリ様の魅力かもしれませんね。この部屋には休みにもかかわらず、駆けつけた者もいます。ここまで使用人に慕われている貴族の子弟というのも……稀だと思いますよ」
「なんのこといってるんだか……俺を褒めても、何も出てこないぞ?」
俺の魅力なんて言われ恥ずかしく思って、俺は頬をポリポリと掻く。そんな俺を見たローラは笑みを浮かべて、コップに入った飲み物をクッと飲み干した。
「ふふ、私の誕生日は期待しているよ」
「あ、はいはい! 私も」
「私もですです」
目の前に盛ってあったステーキの山に手を伸ばしていたリムとイーナ、リカがそれぞれ主張した。
彼女達の主張を聞いて俺が苦笑しているとローラが立ち上がって声を荒げた。
「貴女達!」
ん? 普段と比べて少し上ずっているように思えるが……どうしたんだろうか?
そんなことを思って再びローラに視線を向けると、ローラは椅子に座りなおして続けた。
「貴女達……ユーリ様は……ヒクッ、あら? ヒクッ」
「? ヒクッて何? どうしたのローラ?」
「ハァァ……ユーリ様ぁ、なんだか……なんだか、すごい気持ちがいいんです。へへ……ユーリ様ぁ」
ローラが俺にもたれかかるように、抱きついてきた。
「ふふふふ……気持ちいいですぅ……。ユーリ様ぁ」
これは……一体どうしたんだろうか?
声の音量はいつもより高くて顔は真っ赤で目はトロンと緩んでいる。
そして、ローラの胸が当たって……。ローラさん? スキンシップにしては過剰すぎませんか?
「ロ、ローラ? 大丈夫か?」
「へへ、ユーリ様ぁ……大好きですよぉ。へへ……ヒクッ! ユーリ様のほっぺた柔らかいですねぇ~」
ローラが俺に頬擦(ほおず)りしてくる。
それを見ていたリムが身を乗り出して「ろ、ローラさん、ユーリにくっつきすぎですよ!?」と声を荒げる。
しかし……ローラは止らなかった。ローラの手は俺のシャツの中にスルリと入って弄ってくる。
「可愛いユーリ様ぁ……あ、結構筋肉質ですよねぇ……へへ」
「ディラン? ディラン!? ローラが……ローラ、そこは……こしょばいからやめて! ひゃい!? そこはダメだって……」
危機感を覚えた俺はディランに助けを求める。すると、エールを一気飲みしてご機嫌なディランがこちらを向いた。
「ん? どうした坊主? ん? ローラ?」
「へへ、ディランも大好きですよぉ」
ローラが手を伸ばして、ディランにも抱きつこうとする。ローラとディランに挟まれる形になって……かなり苦しい。
「ローラ先輩? ……あ! これはまさか……」
「あ! ローラ先輩の様子が……ユーリ様! ひょっとして、お酒を飲ませたのですです!?」
ローラの異変に気が付いたリカとイーナが声を上げる。すると、ディランがローラのコップを手に取って確認する。
「くそ……ローラのコップに入っていたのは、ジュースじゃなくて、ワインだったのか!?」
「ディラン!? どうなってんの!? ローラはどうしたのさ!?」
「坊主は知らんだろうが、ローラは酒乱なんだ! しかも酒に弱いから、すぐに酔っ払って……このままだとマズいな。坊主、手伝ってくれ!!」
酒乱……? そんなの初めて聞い……あ!?
そういえば、リナリー達と宴会した時にメイド長からお酒は禁止されているとか言っていたような……?
「わ、分かった!」
「ふふ……世界が回っていますぅ」
ディラン達とともに、なんとかローラを部屋に押し込んで……誕生日会を再開する運びになった。
◆
誕生日会の翌日。
俺はローラの部屋の前に来ていた。そして、扉をノックする。
――トントントン。
「ローラ? 調子はどう? 大丈夫かい?」
「すみません! 今は……ユーリ様、今はそっとしておいて下さい! 願いしますぅ!!」
その日、ローラはメイド長から休みをもらい、自室から一歩も出てこなかった。
◆
0
お気に入りに追加
7,598
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(450件)
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
1-2
養子ではないと思うのですが
間違えていたらすみませんこれの続編てありませんでしたか?
完結おめでとうございます!
そしてお疲れ様でした!
自分はこの作品に魅了されてスローライフっぽい作品を書き始めたので、なんだか感慨深い気持ちでいっぱいです!
次回作も応援しているので、執筆頑張ってください!
後藤蓮先生。
コメント、ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。
次回作も頑張ります^_^