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第七章 死闘

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 だが、この状況で『ガード』の魔法を止め『リカバー』を使えば、二人ともハイオークに殴り殺さてしまう。
 結局、僕たちが助かるには、目の前で暴れるハイオークを倒さなければならないのだ。

 ――じゃあ、いったいどうすればいい?

 ………… 
 ……
 …

 いくら考えても、何も思い浮かばない。
 このままだと、もう――

 エリック、ごめん。
 必ず助けるなんて簡単に言ったけど、やっぱりダメそうだ。
 僕の魔力が尽きれば、そこで終わりになってしまう。

 ただ一つ心残りなのは――リナのことだ。
 手遅れになる前に、せめて一言「逃げろ!」と言いたかった。

 だが今の僕は、ハイオークのパンチを防ぐのに精いっぱいで、リナの方を振り返る余裕すらない。
 さっき目に刻んだリナの姿――
 馬を颯爽さっそうと乗りこなし、ボウガンを撃つ彼女の姿だけが脳裏に浮かぶ。

 ――ん?

 リナとボウガン、そして矢。
 そういえば、リナは射撃が得意だったっけ……。

 いや――待てよ!
 そうだ、その手があった!! 

 天啓てんけいの如く、とでも言うのだろうか?
 リナのおかげで、僕はある魔法のことをパッと思い出した。

 が、“その手”を使うにしても、いったんは『ガード』を唱えるのを止めなければならない。

 ――よし、ここは逆に!

 僕は『ガード』の力を高めるため、魔力の出力をさらに上げた。
 それに比例するかのように脈拍が速くなり、激しい耳鳴りが始まった。
 体温も急激に上がった気がする。
 まるで全身の血が沸騰するような感じだ。

 今の自分完全にオーバーヒート状態。
 だが、たとえ体が壊れてしまっても、ここで魔法を中断するわけにはいかない。
 みんなが生きて帰れるかどうか、すべて僕の肩にかかっているのだから。 

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