上 下
76 / 90
第三章

つかの間の幸せですわ

しおりを挟む
10歳の時に聖女認定が出来なかったので改めて受けることになりました。
そんなある日ですわ。お父様に呼ばれてお部屋に行きました。

「アイラは聖女様になりたくない思いは変わらないのかな?」

お父様に問われました。
地味に静かに目立たなくが私の目標ですがキメラ事件の時に実験された人達を元の人間に戻してしまったので力が無いではもう通りません。
至る所に報告はいっているでしょうから。

それに多分ルカさんは神子様に間違いありませんわ。暫くぶりに神子様が誕生されるのです。何か色々ありそうな予感しかありませんの。
そんな中でルカさんを1人には出来ませんわ。聖女様なら神子様の側に居られるのです。

ルカさんの祖父にあたるカミュさん、キルジーさんをはじめとする島民の皆さんにルカさんを守りますとお約束してきましたもの!

色々考えた結果、私は聖女様になる事にしたのです。

「ルカさんは島でずっと私を守ってくれました。今度は私がルカさんを守る番ですわ。ですので聖女様になります」

少し驚いた様子のお父様でしたがそうかと頷きました。

「ルカくんを守る......か。何か嫌な予感があるのかい?」

「そのう......お父様、私に神託を聞かせてもらえませんか?」

「やはりそれか。アイラが聖女様になったら教えれるよ。今は一般人だから駄目だけれどね」

そうくると思ってましたわよ。
だからそれもあって聖女様になるのですわ。

「ふふふ。そうですわね」

私はお父様に微笑みました。

「ん。やはりアイラには聖女様になってもらった方がいい。私もルネも聖女様が住んでいる教会や勉強をする教会などを守る仕事だ。いつでもアイラを守ってあげれる。リリーは反対するだろうけど私達が居るから少しは安心だろう」

お兄様の場合は逆に心配ですがミカエル様が側にいるので大丈夫かしらね。

「お兄様にミカエル様を付けたのはお父様ですか?」

「そうだ。かなり優秀な聖騎士だと噂があってね。あの子を抑えれる器だと判断したのだよ」

「ふふふ。本当にミカエル様は凄いですわ。お兄様はミカエル様の言う事なら何でも聞きますもの」

「ミカエル様は地方出身ですの?」

「気になるのかい?確かにハンサムだよな、ミカエルは」

「そ、そんな意味ではありませんわ。何故か初対面だったのに懐かしい感じがしたものですからもしかして幼い頃に何処かで会った事があるのかと」

「地方出身だったと思ったな~。でもあんなハンサムは一度見たら忘れないのではないか?」

そうですわよね。
私の勘違いかしら?

「履歴を調べてみるかい?」

「いいえ。そこまでは。私の勘違いだったかも知れませんわ」

お父様には誤魔化したりしないできちんと認定を受ける約束をしました。
お部屋から出るとルカさんが廊下を歩いて来ましたわ。

「アイラ!広い屋敷だな!アイラの部屋に行こうと思って歩いてたら全然違う場所に来ちゃってた」

ルカさんのとびっきりの笑顔ですわ!
やはり私はこの笑顔を守りたい。
絶対に守ってみせますわ。

「何かあった?」

ルカさんが心配そうに私の顔を見ます。

「ルカさん、少しお庭歩きませんか?今はあまりお花は咲いていませんけど庭師が綺麗にしてくれてますので」

「うん。庭に行くのは初めてだから楽しみだな」

ルカさんは自然が大好きなのですわ。
島に居た時も流星群を見に誘ってくれました。

2人でお庭にあるガゼボに行き木の椅子に座りながら景色を眺めました。

「アイラの聖女認定と同じ日に神子認定をするって言われた。俺、本当に神子様なんだろうか?」

ルカさんが空を見上げながら呟く様に言いましたわ。

「不安ですの?島に帰りたいですか?」

「不安は、不安だけどアイラと一緒に居たいから島には帰らないよ」

ニッコリ笑うルカさん。
癒されますわ。私はルカさんの笑顔が大好きですの。

「ルカさんが島で私を守ってくれていた様に王都では私が守りますわ。あ、私にかけてくれていた術は解除しているのですよね?」

「うん。アイラのお父さんに解除しなさいと言われたから。俺はずっとかけててもいいと思ってたんだけどな」

「駄目ですわ。命をかける術なんて」

「俺はアイラの為なら命かけれるから」

真っ赤になりながら私を見て言いましたわ。私もつられて真っ赤になってると思います。

「ありがとうございます。でも命はかけないで下さいね。ルカさんが居なくなってしまったら悲しむ方が沢山いますもの」

「アイラも?アイラも俺が死んだら悲しんでくれるのか?」

「当たり前ですわ!ルカさんが居ない世界なんて考えられないです」

私は下を向いて小さな声で呟きました。

「そうか!そうなんだ」

ルカさんが嬉しそうに叫びました。

「で、ですのでルカさんが神子様になっても私は側に居て守りますわ」

「そんな、逆に聖女様になったアイラを俺が守るから!」

私達は同じ事を考えていたようですわね。2人で顔を見合わせて笑いました。
こんな平和で幸せな時間がずっと続けば良いですのに。

でも私達はまた事件に巻き込まれる事になるのですわ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~

Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。 そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。 「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」 ※ご都合主義、ふんわり設定です ※小説家になろう様にも掲載しています

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました

ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。 大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。 ー--- 全5章、最終話まで執筆済み。 第1章 6歳の聖女 第2章 8歳の大聖女 第3章 12歳の公爵令嬢 第4章 15歳の辺境聖女 第5章 17歳の愛し子 権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。 おまけの後日談投稿します(6/26)。 番外編投稿します(12/30-1/1)。 作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。

処理中です...