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第三章

再会ですわ

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2、3日は平和な日々を過ごしていましたが王家から登城するようにと知らせが来ました。

「アイラが行方不明になってエリアス王太子もエレク王子も探してくれていたのだよ。無事に帰って来たと聞いて2人とも会いたいとおっしゃっていた」

「エリアス様は王太子になられたのですね。エレク王子とはエレーネ様の事でしょうか?」

確かエリアス様が無事に15歳になれば王位継承権第一位になる予定だと言っていました。それなら昨年15歳になったはずなのですわね。

「そうだよ。次の国王はエリアス王太子だ。彼は立派になられた。そしてそれと同時にエレーネ様も王子に戻られて本当のお名前のエレク様になったのだ」

そうですのね。全て丸く収まって良かったですわ。この2年の内に色々あったのでしょう。
私はお2人とお会いするという返事を送りました。

そして当日になりましたわ。
マリルが朝からもの凄く気合いが入っていて何事かと思っていましたがどうやら私を着飾りたかったようです。

いや、いや、いや。普通で良いです。
失礼の無い範囲で。
それを伝えたけれど駄目でしたわ。

「さぁ!お嬢様、仕上がりました!もう、何処をどう見ても妖精のお姫様にしか見えません!」

恐る恐る鏡を見てみました。
こんなに着飾る必要あります?
無事に帰って来た報告と私を探して下さったお礼を申し上げに行くだけでお見合いではないのですけど。

「まぁ!アイラ!なんて素敵なのかしら!マリルはアイラの魅力を引き出す名人ね!」

お母様がキラキラした目で私を見てますわ。嬉しそう。

「今日は私が王城に連れて行くのだが......。参ったな。誰にも見せたくない。この様に美しいアイラを目の前にして若い王子達が普通でいられるはずがない!」

お父様が両手で自分の顔を覆い下を向いてしまいました。

「お父様?王太子様達と会っている時はお父様も一緒ですわよね?ならば何かあった時はお父様に助けてもらえますので大丈夫ですわ」

するとお父様がニッコリ笑って言いましたわ。

「任せなさい!何があっても私がアイラを守る」

お父様は単純なとこがあるのですわ。
そこはお兄様と似ています。

実は私も王太子様はいいとして王子様の方が少し心配ですわ。
唇フェチな変態さんでしたので。
でも私も成長しましたし唇の形とか変わってしまっているのではないかしら?

私の目標、地味に静かに目立たなくを遂行する為には王族と関わりたくありませんの。なのでこの挨拶で王族とのご縁を切りたいと思っています。
頑張りますわ!

お父様とお久しぶりの王城です。
やはり前の人生を思い出してしまって嫌な気分になるのですけれど。
でも前の人生の時と違って王太子様が良い方なので少し落ち着いてますわ。

通されたお部屋でお父様とソファーに座りお2人を待っていました。
すると扉の方から

「エリアス王太子様、エレク王子様がいらっしゃいました」

の声と同時にお2人が入って来ました。
うわ!お2人とも背が高くなっていますわ!!
エリアス王太子様は16歳でエレク王子様は13歳でしたわね。
凄い成長振りですわ。

エリアス王太子様は前の人生で出会った時の年齢を過ぎていますので私の記憶にあるお姿になっています。でも前と性格が少し違うからかしら?お優しい雰囲気がありとても美男子です。

エレク王子様はまるで別人ですわ。
それもそうですわよね。私と会っていた時は女性のお姿でしたもの。
今は髪の毛も短く切り華奢だった体は程よく筋肉がついて素敵な体型になっています。もちろんお顔も美少年に育っていますわ。

私はおカーテシーをしてご挨拶をしました。お2人共、ポカーンとお口を開けてずっと私を見ています。
何故そのように時を止めていますの?

「あ、いや、アイラ嬢、無事でなによりだった。我々も色々と手を尽くしたのだが......」

エリアス王太子様が真っ赤なお顔で言いました。

「いえ、こちらこそ王太子様達のお手を煩わしてしまい申し訳ございませんでした」

私が謝るとエレク王子様が側に歩いて来て突然に私の手を引っ張りました。
私は驚いて思わず悲鳴を上げましたわ。

悲鳴と同時にお父様がエレク王子様の手を素早く私から離し頭を下げて言いました。

「申し訳ございませんがいくら王子だからといって本人の了承も得ずいきなり体に触るなど許される事ではないと思いますが?」

この言葉にエリアス王太子様の方が青くなって謝罪をしてきました。

「誠に申し訳ない。聖騎士団長の言う通りだ。しかしエレクもアイラ嬢が無事で嬉しさのあまりにとってしまった行動だと思うのだ。今回は許して欲しい」

なんと!本当に前の人生とは180度違うお人になっていますわ!いや、前の人生でもきっとお優しい方だったのですよね。術をかけられてあの様な酷い仕打ちを私にしていただけで。少し思い出してしまって気分が下がりましたわ。

「申し訳なかった......」

エレク王子様も小さな声で謝ってきました。

それからはこの2年の間の出来事やキメラ事件の話などを話し私とお父様は王城を後にしました。
王太子様と王子様の仲はかなり改善されていて仲良くまではいかないにせよ険悪な雰囲気は無くなったいましたわ。
良かったです。

一つ気になっていたのはエレク王子様が殆どお喋りをしなかった事ですわ。
頷いたり『はい』とか『そうですね』ぐらいは言うのですが会話が無かったのです。

お父様に言われた事で機嫌が悪くなってしまったのかしら?




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