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第三章
婚約ですわ
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ある日の午後にダリル様が会いに来てくれました。
てっきりユリアン様も一緒かと思ってワクワクしていたのですがお一人でしたの。
ダリル様が成長した私を見て王太子様達と同じく時を止めましたわ。
動いて下さいな。
「アイラ嬢!やはり魔力封印で成長も止まっていたのですね!なんて綺麗になったのでしょうか!私の記憶にあるアイラ嬢に近づいています!」
そう言いながら真っ赤なお顔して私の手を握りしめます。
え。あの時の大人の私の事ですわね。その前に見た裸は忘れて下さいませね。
ダリル様が中々私の手を握って離さないので隣に居るルカさんにバシッと叩かれ払われていますが。
「ん?何故か浮かない顔ですが?」
私とルカさんと3人でお茶をしながらお話中です。
「え?そんな事はありませんわ。ただ、私てっきりユリアン様もご一緒かと思っていましたので。2年ぶりに会えると密かに喜んでいましたの」
ダリル様がなるほど的なお顔をしました。
「ユリアン様って?」
ルカさんが訊いてきました。
「ダリル様の妹さんで私の親友ですの」
「そうか!アイラにも友達がいたんだな!」
島ではルカさんしかお友達がいなかったですものね。後はおじさん、おばさん達と仲良しでしたから。
「ユリアンも今日は一緒に来たがっていたのだけどね。どうしても外せない用事が重なってしまって」
ダリル様が歯切れ悪く言いました。
不思議に思って
「大事な用事でしたのね。大丈夫ですわ。ユリアン様に聖女認定の前に会いに行きますと伝えてもらえますか?」
と、探りを入れてみましたわ。
「......直ぐに分かってしまうと思いますので伝えておきますね。ユリアンは昨年エレク王子と婚約したのですよ」
......。は?婚約ですの?
婚約と言いましたか?
「婚約......ですのね。あのお2人そんなに仲が良かった様には記憶していませんが。男女の仲は分からないものですわね?」
「あ、や、アイラが怒るのも無理はないと思う。あんなにアイラに言い寄っていたエレク王子がって私も思ったのです。何やらアイラが行方不明になってから落ち込んでいたエレク王子を叱咤したのがきっかけになったようですよ?」
怒ってなどいませんわ。むしろ良かったというか。なるほど。唇フェチで更にMでしたのね。結構な変態ですけれどユリアン様なら大丈夫ですわね。
先日の何か煮え切らない態度は婚約の事でしたのね。
「おめでたいですわ!尚更ユリアン様に会いに行かなくてはいけません。遅れてしまいましたがお祝いも兼ねて」
「ユリアンに伝えておきます。そうだ、お祝いも兼ねてなら私達も婚約しませんか?アイラ嬢が聖女様になってしまったら中々会えなくなってしまいますよ?今が良い時かと」
ん?当然といった感じでダリル様は言っていますが?
あら?今、2年前にダリル様に抱いた淡い恋心っぽいモノが1ミリも無くなっている事に気が付きましたわ!!
あの時もあれが恋なのか何なのか分からなかったのですけれど。
確かに変態な男性が周りにいたのでダリル様と会っている時間は癒されていましたが。
「何言ってんだよ。お前とアイラは婚約なんてしないぜ?」
ルカさんが自信満々に言いましたけど⁉︎
確かに婚約する気はありませんが。
「何故ルカがそんな事分かるのですか?私とアイラ嬢は2年前から相思相愛でした。そうですよね、アイラ嬢?」
「いや、それはお前の勘違いだ。アイラはずっと私の事が好きなのだからな」
いつの間にか私達の後ろにお兄様が立っていましたわ。
驚きました!
「ルネ様は少々頭がおかしいので話に入ってこないでいただきたい。で?アイラ嬢、どうなのですか?」
ダリル様が怖いお顔で私を見ます。
ダリル様はこの様なお人でしたでしょうか?もう少し大人で落ち着きある人柄だと思っていました。それだからこそ私の安全地帯だったのですわ。多分、私の中の安全地帯は恋愛対象ではないのですね。ダリル様には申し訳ない事をしてしまいましたわ。謝らなくては。
「アイラが可愛いくて直ぐにでも自分のモノにしたくて仕方ないんだろう?アイラの気持ちを考えろよ!今、帰って来たばっかりだしこれから聖女認定もあるんだ。今、そんな話をするな!」
ルカさんが少し声を荒げています。
「頭がおかしいとはなんと失礼な奴なのだ。しばらくの間、アイラとは合わせん。おい!そこの執事!ダリル様はお帰りのようだ」
「え?あ?」
変な声を上げる間にバタバタとダリル様は帰されてしまいました。これは失礼なのではないですか?後でお父様に怒られますわよ?私が口を挟む隙も無かったですわ......。後からお手紙でお伝えしましよう。
「さて、やっとゆっくりアイラと話せるな。キメラ事件も一応解決だ」
お兄様がダリル様が座っていた場所に移動して話し出しました。
「あの男の行方は?」
ルカさん気になっていますのね。
そうですわ。私も気になりますもの。
「何処から来て何処に行ったのやら。全然痕跡が無いのだ。色々な事件に関わっているようだからまた新たな事件でも起こすのではないか?その時に捕まえるさ」
そんな。また新しい事件など起こされたら犠牲者が出てしまいますわ。それは駄目です。
「新しい犠牲者が出たらどうするのですか⁉︎出来るだけ早くに見つけて頂かないと駄目ですわ!」
「うん。うん。分かったよ」
そう言いながらお兄様が私の手を引っ張り抱き寄せようとしましたわ!
許せぬ。その適当な返事。
「お前、今適当にはい、はい、言っとけばいいと思っただろう?あの男を捕まえるまでは私に触るな。触ったらぶっ殺すぞ?分かったな?」
久しぶりにキレましたわ。
ルカさんは驚いてお口をあんぐりと開けていますわ。可愛い!
兄様は......。
「ああ!ブチ切れたアイラは最高だ!代々の大聖女様はその様な性格だと文献に残っている。アイラは絶対に大聖女様になる素質があるぞ!」
はい。真の変態はツボが違うのですね。ある意味素晴らしいです。が、私に触らないで下さいね?
私は掴まれた手を振り払い素早くお兄様に顔面に拳で殴りましたわ。
それさえも嬉しそうにしているお兄様を見て私とルカさんはドン引きしました。
てっきりユリアン様も一緒かと思ってワクワクしていたのですがお一人でしたの。
ダリル様が成長した私を見て王太子様達と同じく時を止めましたわ。
動いて下さいな。
「アイラ嬢!やはり魔力封印で成長も止まっていたのですね!なんて綺麗になったのでしょうか!私の記憶にあるアイラ嬢に近づいています!」
そう言いながら真っ赤なお顔して私の手を握りしめます。
え。あの時の大人の私の事ですわね。その前に見た裸は忘れて下さいませね。
ダリル様が中々私の手を握って離さないので隣に居るルカさんにバシッと叩かれ払われていますが。
「ん?何故か浮かない顔ですが?」
私とルカさんと3人でお茶をしながらお話中です。
「え?そんな事はありませんわ。ただ、私てっきりユリアン様もご一緒かと思っていましたので。2年ぶりに会えると密かに喜んでいましたの」
ダリル様がなるほど的なお顔をしました。
「ユリアン様って?」
ルカさんが訊いてきました。
「ダリル様の妹さんで私の親友ですの」
「そうか!アイラにも友達がいたんだな!」
島ではルカさんしかお友達がいなかったですものね。後はおじさん、おばさん達と仲良しでしたから。
「ユリアンも今日は一緒に来たがっていたのだけどね。どうしても外せない用事が重なってしまって」
ダリル様が歯切れ悪く言いました。
不思議に思って
「大事な用事でしたのね。大丈夫ですわ。ユリアン様に聖女認定の前に会いに行きますと伝えてもらえますか?」
と、探りを入れてみましたわ。
「......直ぐに分かってしまうと思いますので伝えておきますね。ユリアンは昨年エレク王子と婚約したのですよ」
......。は?婚約ですの?
婚約と言いましたか?
「婚約......ですのね。あのお2人そんなに仲が良かった様には記憶していませんが。男女の仲は分からないものですわね?」
「あ、や、アイラが怒るのも無理はないと思う。あんなにアイラに言い寄っていたエレク王子がって私も思ったのです。何やらアイラが行方不明になってから落ち込んでいたエレク王子を叱咤したのがきっかけになったようですよ?」
怒ってなどいませんわ。むしろ良かったというか。なるほど。唇フェチで更にMでしたのね。結構な変態ですけれどユリアン様なら大丈夫ですわね。
先日の何か煮え切らない態度は婚約の事でしたのね。
「おめでたいですわ!尚更ユリアン様に会いに行かなくてはいけません。遅れてしまいましたがお祝いも兼ねて」
「ユリアンに伝えておきます。そうだ、お祝いも兼ねてなら私達も婚約しませんか?アイラ嬢が聖女様になってしまったら中々会えなくなってしまいますよ?今が良い時かと」
ん?当然といった感じでダリル様は言っていますが?
あら?今、2年前にダリル様に抱いた淡い恋心っぽいモノが1ミリも無くなっている事に気が付きましたわ!!
あの時もあれが恋なのか何なのか分からなかったのですけれど。
確かに変態な男性が周りにいたのでダリル様と会っている時間は癒されていましたが。
「何言ってんだよ。お前とアイラは婚約なんてしないぜ?」
ルカさんが自信満々に言いましたけど⁉︎
確かに婚約する気はありませんが。
「何故ルカがそんな事分かるのですか?私とアイラ嬢は2年前から相思相愛でした。そうですよね、アイラ嬢?」
「いや、それはお前の勘違いだ。アイラはずっと私の事が好きなのだからな」
いつの間にか私達の後ろにお兄様が立っていましたわ。
驚きました!
「ルネ様は少々頭がおかしいので話に入ってこないでいただきたい。で?アイラ嬢、どうなのですか?」
ダリル様が怖いお顔で私を見ます。
ダリル様はこの様なお人でしたでしょうか?もう少し大人で落ち着きある人柄だと思っていました。それだからこそ私の安全地帯だったのですわ。多分、私の中の安全地帯は恋愛対象ではないのですね。ダリル様には申し訳ない事をしてしまいましたわ。謝らなくては。
「アイラが可愛いくて直ぐにでも自分のモノにしたくて仕方ないんだろう?アイラの気持ちを考えろよ!今、帰って来たばっかりだしこれから聖女認定もあるんだ。今、そんな話をするな!」
ルカさんが少し声を荒げています。
「頭がおかしいとはなんと失礼な奴なのだ。しばらくの間、アイラとは合わせん。おい!そこの執事!ダリル様はお帰りのようだ」
「え?あ?」
変な声を上げる間にバタバタとダリル様は帰されてしまいました。これは失礼なのではないですか?後でお父様に怒られますわよ?私が口を挟む隙も無かったですわ......。後からお手紙でお伝えしましよう。
「さて、やっとゆっくりアイラと話せるな。キメラ事件も一応解決だ」
お兄様がダリル様が座っていた場所に移動して話し出しました。
「あの男の行方は?」
ルカさん気になっていますのね。
そうですわ。私も気になりますもの。
「何処から来て何処に行ったのやら。全然痕跡が無いのだ。色々な事件に関わっているようだからまた新たな事件でも起こすのではないか?その時に捕まえるさ」
そんな。また新しい事件など起こされたら犠牲者が出てしまいますわ。それは駄目です。
「新しい犠牲者が出たらどうするのですか⁉︎出来るだけ早くに見つけて頂かないと駄目ですわ!」
「うん。うん。分かったよ」
そう言いながらお兄様が私の手を引っ張り抱き寄せようとしましたわ!
許せぬ。その適当な返事。
「お前、今適当にはい、はい、言っとけばいいと思っただろう?あの男を捕まえるまでは私に触るな。触ったらぶっ殺すぞ?分かったな?」
久しぶりにキレましたわ。
ルカさんは驚いてお口をあんぐりと開けていますわ。可愛い!
兄様は......。
「ああ!ブチ切れたアイラは最高だ!代々の大聖女様はその様な性格だと文献に残っている。アイラは絶対に大聖女様になる素質があるぞ!」
はい。真の変態はツボが違うのですね。ある意味素晴らしいです。が、私に触らないで下さいね?
私は掴まれた手を振り払い素早くお兄様に顔面に拳で殴りましたわ。
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