【完結】勇者のスキルにラッキースケベがある(村人A専用って、俺ぇ!?)

北川晶

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21 早く、結婚しちゃえよっ テオ・ターン

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     ◆早く、結婚しちゃえよっ テオ・ターン

 俺を守ると、シカと約束したサファは。
 その後、第三階層、第四階層のボスも、あっという間に撃破した。
 モヨリ町で、冒険者に聞いた話は。第二階層までで、大体リタイアするということで。
 その先は、未知のダンジョンだったのだけど。
 なんとか、切り抜けている。

 でも、ドロップされるアイテムは。夜の営み系が多くて。
 鑑定して、説明するのが。ものすっごく恥ずかしいんだけどぉ。
 そういうの、女性陣に聞かれたくないじゃん?

 だけど。コンドームが出てきて。こういうふうに使用して、避妊や性病予防の効果があるよ、と説明したときは。ユーリとイオナにチョッパヤで奪われた。

 まぁ、女性は、避妊は大切だもんな?

 ドロップしたのは、薄い伸縮性のあるゴムだ。
 前世では、一般的なものだったが。この世界では、こういうものを作る技術がなく。避妊具の性能があまりよろしくない。
 主に薬や魔法で対処するのだが、体に悪い影響が出ることもあるんだ。
 でも薄々のそれは、感触も阻害しないし。もちろん体にも優しい。
 女性陣だけでなく、男性陣も欲しい品物ではないかと思われます。
 ギルドで、高く売れそうだ。

 黒猫コスプレのエッチな下着、モフモフ手錠付き、は。サファが取った。
 俺は着ないからなっ!
 キラキラした目でこっちを見るなっ!

 そんなこんなで、魔獣のエロ攻撃を受ける前に、敵を倒し。順調に階層をクリアしていく、俺たちだったが。
 後方待機組である俺に、後方支援ヒーラーのイオナが。
 ある日、こっそり囁いた。

「テオは、もうエッチまでしているのに。どうして勇者様の求愛を、お受けにならないの?」
 ひえっ、な、な、なんで、イオナが。そんなことを聞くの?
 つか、なんで、俺とサファが、エッチしたこと知ってるの?

 という、あからさまな顔で、イオナを見たら。
 彼女は、口をゆがませて、鼻で笑った。
 聖女様の顔が、崩れています。

「第二階層で、ヒールをかけましたけど。それで、体の状態は、大体わかりますし。それより、なにより。あの第二階層の部屋で、なにが行われていたのか。声が、筒抜けでしたの。ぜ・ん・ぶ」

 俺は、ガーン、となった。
 ってことは、イオナだけでなく。
 仲間はみんな、俺とサファが、エロエロしていたのを、知っているってわけですかぁ?
 ぎゃぁぁぁぁあ、マジ無理。
 恥ずかしいの極致で、顔が、この上もなく、赤くなった。

「それは、いいのですわよ。私たち、大人ですもの。性への理解はありますわ? でも、あなたがそんなに恥ずかしがったら。私まで恥ずかしくなるではありませんか?」
 顔を赤くした俺につられて、イオナも頬を染めた。
「それに、一番危惧していた触手攻撃を、テオが一身に受けてくれたので。その点は、私もユーリもとっても感謝していますの」
 女性陣が助かったことは、良いことだけど。
 一身に攻撃を受けた俺としては。なにやら、複雑というか。
 ゆがんだ笑みを返すしかないというか。

「問題は、そこではありませんわ? サファイアさまが、あなたしか目に写していないことは、誰が見ても明らかですのに。あなたも、キスもその先も、受け入れているというのに。なんで、婚約話をなしにするなんて話になるんですの?」
「…あの日の話も、聞こえていたのか?」

 第二階層を抜けたあとの退避場所で、俺はサファと、そんな話をしたけれど。
 サファに、いいところがないって、ダメ出しして。
 それで、俺を守れと、改めて約束させた。というか。なんというか。
 あのとき、みんな寝入っていると思っていたのに。

「えぇ、聞いていましたわ? そのあと、サファイアさまとチュッチュイチャイチャしていたのも、しっかり聞きましたわ。もう、早く結婚しちゃえよって、クリスもユーリも翌日、言っていましたわっ?」

 別にぃ、チュッチュイチャイチャしていたわけではないんだけどぉ。
 あれは、仲直りのチュウだしぃ。
 でも、友達の仲直りに、チュウは別にしなくても良かったんじゃね? って。今、気づいた。

 あぁ、俺ってば。
 いつもサファの言葉や態度で丸め込まれちゃうんだからなぁッ。バカバカ。
 つか簡単に、結婚しちゃえとか、言わないでくれるぅ? 他人事だと思ってぇ。

「なんで、サファを受け入れないのか、っていうのは。俺にも、いろいろ、事情があるっていうか」
「事情って、なんですの? 聖女がアドバイスして差し上げてよ?」
「いやぁ、心の問題というか。俺が消化しなきゃダメなところなんで。ま、見守っていてください、としか言えませんけど」
「えぇぇ? まだ、あのゲロ甘展開を、私たちに垂れ流す気なのですのぉ? すでにお腹いっぱいで、胸やけしてるのですけどぉ?」
 げんなり、という様子で、聖女イオナはつぶやく。
 聖女が、ゲロ甘とか言わないのっ。

 そんな話をしつつ。俺ら、勇者一行は。第五階層ボス部屋の前まで来た。
 第二階層での失敗を生かし。
 ボス部屋の鑑定は、単独で部屋をのぞき込むのではなく…それで、触手に捕まったからな。
 サファの背後にいて、扉を開けたら、即鑑定、という手法に変えたのだ。
 俺は、サファに守られながら、彼の背後に引っ付く。
「いいか、開けるぞ?」
 勇者、サファイアは。みんなに確認を取り。仲間がうなずいたのを見てから、扉を開けた。

 ババーンと開けた、その先には。
 なんか、灰水色の、でっかい動物がいた。
 円筒形の手足を投げ出して、お座りしていて。口がでっかくて。
 額に、大きなピンクのリボンをつけていて。小さい耳の後ろから、各々、一輪のピンクの花が生えていて。ピンク地に白い水玉の腰巻きエプロンをつけている。
 実にファンシー。
 つか、リボンか花か、どちらか一種類にしなさいっ。ファンシーの大渋滞です。
 でも、この動物…どっかで見たことあるな。
 うっすらした、前世の記憶で。こんな動物が、いたような。か、か…か。

 かー、思い出せないっ。

 すかさず、俺は。鑑定する。
「カバゴン。可愛いものが大好き。でも、攻撃してくる者には容赦しないよ?」
 そうだ、カバだ、カバ。灰色で、目が離れてて、口がガバァってなるやつ。

「オッケー、無害でも、倒すのみ」
 そう言って、サファは剣を振り上げて、カバゴンに突進していく。
 カバゴンは、アセアセと、ピンクの汗をまき散らしながら、涙目になる。

 なんか、可哀想。

 だけど。子供が駄々をこねるみたいに、手足を振り回すと、結構な剛腕で。
 サファもクリスも、攻めあぐねてしまう。
 さすが、第五階層のボスだっ。

 そこに、ユーリが爆炎魔法を落とし。カバゴンの隙を作る。
 カバゴンは、上を向いて、大きな口を開けると。そこからハート形のシャボン玉をいっぱい出した。
 なにもかもが、可愛いなっ。

 しかし。サファが、容赦なく。カバゴンを袈裟切りにして。
 カバゴンは消滅した。

 部屋に、シャボン玉が漂う中で。
 サファは、ドロップアイテムを拾い上げ。俺に見せる。
「これは、なんだ?」
「えぇぇぇ…媚薬だな。効果は二時間。依存性はなし。性生活のお手伝いをします、的な?」
「ふーん、俺には必要ないけど」
 そう言いながらも。サファは、マジックボックスに収納した。おいっ。

 そうしたら。俺の近くで。カバゴンが出したシャボン玉が弾けた。
 些細なしぶきが、そばに漂うが。
 そこで、なにか。モワッとした。
 濃い、アルコール臭だ。思いっきり、吸いこんじゃった。

「うっ、なんか、これ。ヤバいかも」
 すかさず、鑑定すると。

 カバゴンのシャボン玉。アルコール度数、90パーセント。効能、酩酊感を誘う。エッチな気分になる。本音を口にする。対処法、一定時間ののちに、回復。酔ったら、醒ますほかはない。ぃぃぃ?

「テオ、どうだ? 害はあるか?」
「うぅぅ、ただの、濃いお酒みたい。ただ、酔っぱらって、エッチな気分になる…らしいけど。た、対処法はぁ、酔いは、醒めるのを待つしかないみたいぃ」
 でも、本音を口にする、っていうのは。言えなかった。
 だって、これから、なんかヤバいこと喋っちゃったら。それが本当の気持ちだって、サファに思われちゃうじゃんかっ?

 鑑定しているうちに、シャボン玉が床に着弾して、ぱちぱちと次々に弾けて。部屋の中がアルコール臭で充満した。
「とにかく、ここから脱出しよう」
 勇者の力で異物を跳ね返し、素面しらふなサファは、俺を抱えて。
 クリスは、すでに酩酊し始めているユーリを横抱きにして。
 イオナは、聖女の力で異物を跳ね返し、無傷なので。
 それぞれ小走りで、その場を脱出したのだった。

 第五階層を突破したところで、退避部屋を発見したので。勇者一行は、そこに逃げ込む。
 俺たちが出たので、第五階層のボス部屋の扉は閉まり。あの、毒ガスのごとき、濃いアルコール臭は、感じなくなったが。
 俺は、結構がっつり吸っちゃったので。もう、頭がぼんやりしていた。

 そして、ユーリも。ふにゃふにゃで、クリスに抱きついて、うふふと笑っている。
 クリスも、あのアルコール臭を吸ったと思うけど。
 彼は、見た目は全く変わっていない。
 酒に強いとか弱いとか、あるけど。個人差があるのかもな?
 クリスは、普通に、酒に強そうだし。
 俺は、未成年だから。酒を飲んだことがなくて。免疫ゼロだ。

 っていうか。
 チュウ、したい。チュウ、したい。チュウ、したい。チュウチュウチュウ。

「クリス、奥に浴室がふたつあるから。風呂でさっぱりして、酔いを醒ましたらどうだ?」
 サファが、退避部屋の確認をして、戻ってきた。

 あの、ぽってりした唇に、俺は、チュウしたいんだっ。

 てか。いつの間にか。ユーリがクリスと、エッチぃキスをかましている。
 クリスは、サファの言葉にうなずいて。ユーリを抱えて、行ってしまった。
 んん? サファは、ひとりずつ酔いを醒ましてって、つもりで、言ったと思うけどぉ。
 でも、俺も。頭ぼんやりで。
 もう、よくわからないぃ。

 つか。サファ。チュウ、させろ。

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