転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
606 / 828
特別編3:異世界

叡智の書

しおりを挟む
マドゥーラの人達はアニエスさんが書いた本を叡智の書と呼ぶ様になり、アニエスさんの事も『大賢者様』と崇める様になっていた。

うーん…。

「まあいいんじゃないですかね。元の世界では『洋々たる賢人』なんて呼ばれてたりしますし」
「その二つ名は恥ずかしいです…。私よりも優れた人なんて沢山いるのですから」

レフィさんが言った二つ名をアニエスさんは気に入ってないみたいだね。

『洋々たる賢人』カッコいいなぁ。

私なんて首刈り少女ネックリーパーから始まって、理不尽な破壊者アニクイタスディストルーターとかダイレクトに魔王なんて言われてたんですよ…。

「ミナさんは今は『幼き女神』でしたよね?」
「う…そんなに子供かな私…」

ユキさんがフォローしてくれるけど、その名前も引っ掛かるんだよなぁ…。

「事実だからしょうがないだろ」

そう言って私の頭をクシャクシャと撫でるテュケ君。

「むー…」

その扱いには不満だけど、事実なんだよね。

「ちなみにレフィさんとアンネさんには何か二つ名があるんですか?」
「えーと…まあ一応」

この反応はレフィさんも自分の二つ名を気に入ってないんだね。

「レフィは物真似をする死神ミームスモルス
「アンネさんはいいですよね。『原精の守護者』なんて格好いい名前がついていますから」

アンネさんに二つ名を言われて不満そうなレフィさん。

やっぱりみんな凄い人なんだね。

「一応ウチのギルドはドゥームに与する勢力を撃破してほぼ全部星から退去させたからね」

アンネさんは誇らしげだ。そんな偉業が成し遂げられるギルドなんて凄いよ。

「ま、ギルマスは変人ですけどね~」
「あはは…」

それは…何て言って良いのか分からないよ。

そんな感じでワイワイと過ごして更に5日。

子供達は魔法の基礎魔法はほぼ完璧になって、理論についても人に教えられるくらいにまで習熟した。

同時にやって良い事と悪い事。正しい力の使い方についてを教え続けた。

「まさかこんなに早く魔法を覚えてくれるとは思っていませんでした」

アニエスさんは子供達の成長の速さに驚いていた。

理論を教えていた年長の子達は既に15位階の魔法までなら使えるらしい。因みに以前用心棒的な立ち位置でやって来た魔術師の人が使った《チャームパーソン》は6位階。
飛行魔法の《フライト》は13位階だし、15位階といったら《ヴォルカニックレイヴ》とかパルクアートンを一撃で倒した《エアロボム》とかなんだよ。

この世界なら大魔導師と言われてもおかしくないレベルまで育ってしまっている。

これってちょっとマズくない?

「身体能力が追いついていないから戦場に連れて行くのは危険だし、冒険者させるのも同じ理由で無理だね。どうしてもなりたいなら私が基礎訓練をやってもいいけど」

シャーナさんがそう言うと何人かの子が「やりたい!」と手を挙げた。

「基礎理論が理解できていれば魔法を教える先生とかも出来そうですね」
「学校か。魔法学校なら王都にあるけど、正直ここの子供とは比較にならないくらいレベルが低いよ」

ユキさんの提案にシャーナさんが答える。

「国に目をつけられそう」
「優秀な人材は囲いたがる人が一定数はいますからね。注意しないと」

そう話しているのはアンネさんとアニエスさん。

「でもそれって召し抱えられるって事ですよね~?かなり待遇が良いんじゃないですかね?」

レフィさんの言う通りだけど、元孤児の子達に何をさせるかが心配だよ。

「ここまデの実力者なラば、我らト同等の額で雇われナければおかシい」

バルバさんはここの子達の実力を高く評価してくれている。

そんな話をしていたら冒険者ギルドのマスターのサージさんが2人の護衛と共に訪ねて来た。

「この孤児院の事を代官の手のものがグラーベン侯爵に情報を流したらしく、今こちら向かって来ているらしいのだ」

サージさんの表情は暗い。

「侯爵?ええと、こうこうはくしだんだから…伯爵の次に偉い人?」

ほのかさんは貴族の事とかあまり馴染みが無いからね。

「その通り。グラーベン家はこの地の領主、スタンフォード伯爵家が属している派閥のトップにあたる。何でも侯爵自身が自慢の軍艦を駆ってこちらに向かって来ているそうだ」
「狙いは魔石ですか?」
「恐らくそうだろう。あそこの軍艦は魔道力船だからな。魔石は貴重な動力源だ」

また厄介な事を…。

「どうする?沈める?」
「いやいやいや…それはダメですよ。戦争を始める気ですか?」

ほのかさんの提案を慌てて否定する。

「でも面倒な事になりそうですよ~?海上なら目撃者はいないし、ラウト・オセアーンに海の底に引き摺り込まれた事にすれば穏便にすむんじゃないですかね?」
「全然穏便ではないですよ」

レフィさんの提案にはユキさんが否定してくれていた。
そんな事したら船に乗っている人全員殺す事になっちゃうよ。

「交渉しますか」
「でもこちらに交渉材料がありません」

アニエスさんの提案が一番良いんだけど、こちらに切れる札がないんだよね。

「恫喝するくらいしかない。或いは私達の力を思い知らせる」

アンネさんまで過激な…。

「こればかりは伯爵には相談できんぞ。侯爵に逆らえる立場にないからな」

サージさんも腕を組んで悩んでいた。

「孤児院ごと出て行く?前にそんな提案してたよね?」
「まあ…出来ますけど」

侯爵相手に出て行くとなると他の派閥の勢力圏に移動するか、そもそもモサキスカ王国を出奔するかだよね。

「さっきの話なのですが、この本は交渉材料にならないでしょうか?」

アニエスさんが手に持っているのは自筆の魔法指南書『叡智の書』だ。

「でも折角アニエスさんが書いたのに…」
「また書けばいいだけですから。それに魔法の素養がなければ分かりやすいだけのただの本です」

じゃあそれで交渉してみようか。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。