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特別編3:異世界
叡智の書
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マドゥーラの人達はアニエスさんが書いた本を叡智の書と呼ぶ様になり、アニエスさんの事も『大賢者様』と崇める様になっていた。
うーん…。
「まあいいんじゃないですかね。元の世界では『洋々たる賢人』なんて呼ばれてたりしますし」
「その二つ名は恥ずかしいです…。私よりも優れた人なんて沢山いるのですから」
レフィさんが言った二つ名をアニエスさんは気に入ってないみたいだね。
『洋々たる賢人』カッコいいなぁ。
私なんて首刈り少女から始まって、理不尽な破壊者とかダイレクトに魔王なんて言われてたんですよ…。
「ミナさんは今は『幼き女神』でしたよね?」
「う…そんなに子供かな私…」
ユキさんがフォローしてくれるけど、その名前も引っ掛かるんだよなぁ…。
「事実だからしょうがないだろ」
そう言って私の頭をクシャクシャと撫でるテュケ君。
「むー…」
その扱いには不満だけど、事実なんだよね。
「ちなみにレフィさんとアンネさんには何か二つ名があるんですか?」
「えーと…まあ一応」
この反応はレフィさんも自分の二つ名を気に入ってないんだね。
「レフィは物真似をする死神」
「アンネさんはいいですよね。『原精の守護者』なんて格好いい名前がついていますから」
アンネさんに二つ名を言われて不満そうなレフィさん。
やっぱりみんな凄い人なんだね。
「一応ウチのギルドはドゥームに与する勢力を撃破してほぼ全部星から退去させたからね」
アンネさんは誇らしげだ。そんな偉業が成し遂げられるギルドなんて凄いよ。
「ま、ギルマスは変人ですけどね~」
「あはは…」
それは…何て言って良いのか分からないよ。
そんな感じでワイワイと過ごして更に5日。
子供達は魔法の基礎魔法はほぼ完璧になって、理論についても人に教えられるくらいにまで習熟した。
同時にやって良い事と悪い事。正しい力の使い方についてを教え続けた。
「まさかこんなに早く魔法を覚えてくれるとは思っていませんでした」
アニエスさんは子供達の成長の速さに驚いていた。
理論を教えていた年長の子達は既に15位階の魔法までなら使えるらしい。因みに以前用心棒的な立ち位置でやって来た魔術師の人が使った《チャームパーソン》は6位階。
飛行魔法の《フライト》は13位階だし、15位階といったら《ヴォルカニックレイヴ》とかパルクアートンを一撃で倒した《エアロボム》とかなんだよ。
この世界なら大魔導師と言われてもおかしくないレベルまで育ってしまっている。
これってちょっとマズくない?
「身体能力が追いついていないから戦場に連れて行くのは危険だし、冒険者させるのも同じ理由で無理だね。どうしてもなりたいなら私が基礎訓練をやってもいいけど」
シャーナさんがそう言うと何人かの子が「やりたい!」と手を挙げた。
「基礎理論が理解できていれば魔法を教える先生とかも出来そうですね」
「学校か。魔法学校なら王都にあるけど、正直ここの子供とは比較にならないくらいレベルが低いよ」
ユキさんの提案にシャーナさんが答える。
「国に目をつけられそう」
「優秀な人材は囲いたがる人が一定数はいますからね。注意しないと」
そう話しているのはアンネさんとアニエスさん。
「でもそれって召し抱えられるって事ですよね~?かなり待遇が良いんじゃないですかね?」
レフィさんの言う通りだけど、元孤児の子達に何をさせるかが心配だよ。
「ここまデの実力者なラば、我らト同等の額で雇われナければおかシい」
バルバさんはここの子達の実力を高く評価してくれている。
そんな話をしていたら冒険者ギルドのマスターのサージさんが2人の護衛と共に訪ねて来た。
「この孤児院の事を代官の手のものがグラーベン侯爵に情報を流したらしく、今こちら向かって来ているらしいのだ」
サージさんの表情は暗い。
「侯爵?ええと、こうこうはくしだんだから…伯爵の次に偉い人?」
ほのかさんは貴族の事とかあまり馴染みが無いからね。
「その通り。グラーベン家はこの地の領主、スタンフォード伯爵家が属している派閥のトップにあたる。何でも侯爵自身が自慢の軍艦を駆ってこちらに向かって来ているそうだ」
「狙いは魔石ですか?」
「恐らくそうだろう。あそこの軍艦は魔道力船だからな。魔石は貴重な動力源だ」
また厄介な事を…。
「どうする?沈める?」
「いやいやいや…それはダメですよ。戦争を始める気ですか?」
ほのかさんの提案を慌てて否定する。
「でも面倒な事になりそうですよ~?海上なら目撃者はいないし、ラウト・オセアーンに海の底に引き摺り込まれた事にすれば穏便にすむんじゃないですかね?」
「全然穏便ではないですよ」
レフィさんの提案にはユキさんが否定してくれていた。
そんな事したら船に乗っている人全員殺す事になっちゃうよ。
「交渉しますか」
「でもこちらに交渉材料がありません」
アニエスさんの提案が一番良いんだけど、こちらに切れる札がないんだよね。
「恫喝するくらいしかない。或いは私達の力を思い知らせる」
アンネさんまで過激な…。
「こればかりは伯爵には相談できんぞ。侯爵に逆らえる立場にないからな」
サージさんも腕を組んで悩んでいた。
「孤児院ごと出て行く?前にそんな提案してたよね?」
「まあ…出来ますけど」
侯爵相手に出て行くとなると他の派閥の勢力圏に移動するか、そもそもモサキスカ王国を出奔するかだよね。
「さっきの話なのですが、この本は交渉材料にならないでしょうか?」
アニエスさんが手に持っているのは自筆の魔法指南書『叡智の書』だ。
「でも折角アニエスさんが書いたのに…」
「また書けばいいだけですから。それに魔法の素養がなければ分かりやすいだけのただの本です」
じゃあそれで交渉してみようか。
うーん…。
「まあいいんじゃないですかね。元の世界では『洋々たる賢人』なんて呼ばれてたりしますし」
「その二つ名は恥ずかしいです…。私よりも優れた人なんて沢山いるのですから」
レフィさんが言った二つ名をアニエスさんは気に入ってないみたいだね。
『洋々たる賢人』カッコいいなぁ。
私なんて首刈り少女から始まって、理不尽な破壊者とかダイレクトに魔王なんて言われてたんですよ…。
「ミナさんは今は『幼き女神』でしたよね?」
「う…そんなに子供かな私…」
ユキさんがフォローしてくれるけど、その名前も引っ掛かるんだよなぁ…。
「事実だからしょうがないだろ」
そう言って私の頭をクシャクシャと撫でるテュケ君。
「むー…」
その扱いには不満だけど、事実なんだよね。
「ちなみにレフィさんとアンネさんには何か二つ名があるんですか?」
「えーと…まあ一応」
この反応はレフィさんも自分の二つ名を気に入ってないんだね。
「レフィは物真似をする死神」
「アンネさんはいいですよね。『原精の守護者』なんて格好いい名前がついていますから」
アンネさんに二つ名を言われて不満そうなレフィさん。
やっぱりみんな凄い人なんだね。
「一応ウチのギルドはドゥームに与する勢力を撃破してほぼ全部星から退去させたからね」
アンネさんは誇らしげだ。そんな偉業が成し遂げられるギルドなんて凄いよ。
「ま、ギルマスは変人ですけどね~」
「あはは…」
それは…何て言って良いのか分からないよ。
そんな感じでワイワイと過ごして更に5日。
子供達は魔法の基礎魔法はほぼ完璧になって、理論についても人に教えられるくらいにまで習熟した。
同時にやって良い事と悪い事。正しい力の使い方についてを教え続けた。
「まさかこんなに早く魔法を覚えてくれるとは思っていませんでした」
アニエスさんは子供達の成長の速さに驚いていた。
理論を教えていた年長の子達は既に15位階の魔法までなら使えるらしい。因みに以前用心棒的な立ち位置でやって来た魔術師の人が使った《チャームパーソン》は6位階。
飛行魔法の《フライト》は13位階だし、15位階といったら《ヴォルカニックレイヴ》とかパルクアートンを一撃で倒した《エアロボム》とかなんだよ。
この世界なら大魔導師と言われてもおかしくないレベルまで育ってしまっている。
これってちょっとマズくない?
「身体能力が追いついていないから戦場に連れて行くのは危険だし、冒険者させるのも同じ理由で無理だね。どうしてもなりたいなら私が基礎訓練をやってもいいけど」
シャーナさんがそう言うと何人かの子が「やりたい!」と手を挙げた。
「基礎理論が理解できていれば魔法を教える先生とかも出来そうですね」
「学校か。魔法学校なら王都にあるけど、正直ここの子供とは比較にならないくらいレベルが低いよ」
ユキさんの提案にシャーナさんが答える。
「国に目をつけられそう」
「優秀な人材は囲いたがる人が一定数はいますからね。注意しないと」
そう話しているのはアンネさんとアニエスさん。
「でもそれって召し抱えられるって事ですよね~?かなり待遇が良いんじゃないですかね?」
レフィさんの言う通りだけど、元孤児の子達に何をさせるかが心配だよ。
「ここまデの実力者なラば、我らト同等の額で雇われナければおかシい」
バルバさんはここの子達の実力を高く評価してくれている。
そんな話をしていたら冒険者ギルドのマスターのサージさんが2人の護衛と共に訪ねて来た。
「この孤児院の事を代官の手のものがグラーベン侯爵に情報を流したらしく、今こちら向かって来ているらしいのだ」
サージさんの表情は暗い。
「侯爵?ええと、こうこうはくしだんだから…伯爵の次に偉い人?」
ほのかさんは貴族の事とかあまり馴染みが無いからね。
「その通り。グラーベン家はこの地の領主、スタンフォード伯爵家が属している派閥のトップにあたる。何でも侯爵自身が自慢の軍艦を駆ってこちらに向かって来ているそうだ」
「狙いは魔石ですか?」
「恐らくそうだろう。あそこの軍艦は魔道力船だからな。魔石は貴重な動力源だ」
また厄介な事を…。
「どうする?沈める?」
「いやいやいや…それはダメですよ。戦争を始める気ですか?」
ほのかさんの提案を慌てて否定する。
「でも面倒な事になりそうですよ~?海上なら目撃者はいないし、ラウト・オセアーンに海の底に引き摺り込まれた事にすれば穏便にすむんじゃないですかね?」
「全然穏便ではないですよ」
レフィさんの提案にはユキさんが否定してくれていた。
そんな事したら船に乗っている人全員殺す事になっちゃうよ。
「交渉しますか」
「でもこちらに交渉材料がありません」
アニエスさんの提案が一番良いんだけど、こちらに切れる札がないんだよね。
「恫喝するくらいしかない。或いは私達の力を思い知らせる」
アンネさんまで過激な…。
「こればかりは伯爵には相談できんぞ。侯爵に逆らえる立場にないからな」
サージさんも腕を組んで悩んでいた。
「孤児院ごと出て行く?前にそんな提案してたよね?」
「まあ…出来ますけど」
侯爵相手に出て行くとなると他の派閥の勢力圏に移動するか、そもそもモサキスカ王国を出奔するかだよね。
「さっきの話なのですが、この本は交渉材料にならないでしょうか?」
アニエスさんが手に持っているのは自筆の魔法指南書『叡智の書』だ。
「でも折角アニエスさんが書いたのに…」
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じゃあそれで交渉してみようか。
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