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第34話 夏休みの楽しい家族計画。親が頑張れば子も頑張るもんだよ! その5

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それじゃぁ水着を買いに行こう!!
「あ、いいね。行こうよ!」
「うんうん、行こう!」
と、3人の意見がまとまったところで、行動を開始する。まぁ正直に言うともう勉強に飽きたというのが本音。

今日もおひさまカンカン。外はゆらぁ―と、湯気が立つような暑さだ。
それでも今日これから行くことにした。
朋絵の家での勉強会はこれにて解散。いったん自分の家に戻って着替えをしてから出かけようということになった。

「それじゃ」て、外に出ると”むあっと”熱気が体を包み込む。
マジ、暑いなぁ――――。
美奈子んちは朋絵の家のすぐ近くだから、さっと言ってさっと準備できそうだけど、私は電車で一駅なんだよね。
時間にしてみたらそんなにかからないんだけど、なんとなくめんどくさいよね。

電車の中はクーラーが効いていて、少しはほっとつけられる。
でもなんだろ。意外と今日はこの時間、混んでいるよねぇ。
まぁラッシュという訳じゃないんだけど。人の姿は見るだけで、なんとなく暑さを感じてしまう。

高校生かなぁ―、制服姿の女子が数人まばらにいるのがなぜか目に映る。まぁ高校も夏休みなんだろうね。でも夏休みでも制服着て出かけるのは、超まじめ。あ、もしかして学校? だったら制服だよねぇなんていうのを意味もなく考えながら、流れる車窓をしばし目に入れる。

これと言って何かがあるわけでもないけど、座るところもないんだもん。いらぬ視線を送って変なのに絡まれたらいやだし、外を眺めているのが一番だね。
と、言っても気になる視線が私を見つめている気配がしているんだよ。

なぁんかぬめぇ―――――とした感じの視線がねぇ――――。

関わらない。無視! それが一番いい。
薄着になれば感じるこの視線は女子には、夏の風物詩みたいなもんだと割り切るしかないだろう。

それにしても気になる。ちらっとあたりを見てみても、そんな変な人はいない……と、思うけど。
よくさぁ―、サラリーマン風のおじさんから、じっと見つめられることはあるんだけど、今はそんな人はいないんだよねぇ。

ま、気にしても仕方がない。と、もうじき駅に着く。電車を降りればあとはこのぬめぇ―とした視線からは解放される。……いやいや、解放されなかったみたい。
後をつけられているが改札を抜けた時にはっきりと分かった。

少し、歩く速度を落として、相手との距離を縮めたあたりで、くるりときびすを返す。

さぁて、どんなおじさんなんだろう? とにらめつけるようにその相手を凝視した。
……で、驚いたのは逆にこっち。目に映ったのは、なんとかわいらしい女子高生さん。

「あっ!」と思わずその子が声を漏らして、すっと俯いた。
「あのぉ―、何か私に御用ですか?」
思わず声をかけちゃった。

「あっ、いえ、その、……き、今日はものすごく暑いですねぇ――――――あは、あはははははは」

やばい、いってもうたか? すんごい焦っているのがよくわかる。
そしてすっと隙を抜くように私の前から立ち去った。いったい何なんだろう?

単なる私の自意識過剰? でも同姓から、あんな視線を向けられるとは。
絶対にあの子、私を見ていた。

いったいなんだろうね。

そんなちょっとした出来事も夏にはよくある……あっていいのか? よくわからないけど。じゃないのかと思いつつ、家に帰ると、友香ねぇさんがリビングでパソコンに向かいながら煙草を吸い「ううううううううっ!!」と唸っていた。

「ありゃ、今日は居たの?」
「ふぅ―、そうねぇ、居たのよ」
「なんか悩んでそうだけど、お仕事?」
「………お仕事。ていうか副業」

「副業って、仕事増やすの?」
「へへへ、ちょっとねぇ、これからに向けてさぁ――、自宅でも出来る収入源を増やそうかと」
「ほぉ―、それはそれは。で、何しようとしてんの?」

「家庭教師」
「ほへっ? 家庭教師?」
「うん家庭教師。英語の家庭教師」

「あっなるほど! 英語だったら大丈夫だよねぇ」
そう言うと、いきなり友香ねぇさんは顔を上げ「ううううううううっ!」と半泣き状態になった。

「ねぇいったいどうしたのよ?」
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