【R-18】17歳の寄り道

六楓(Clarice)

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第10章、結愛編

【3】結愛の春休み

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後日、遥のフリーな日を教えてもらって、会う事になった。
寮までバイクで迎えに来てくれて、また二人乗り。

桜の季節は少し先だけれど、道を走っているとピンクの梅の花がたくさん咲いて、遥につかまりながら、「わあ…」と声が漏れた。

私の学校の寮と遥の家のちょうど真ん中あたりには、広大な公園があり、会ったものの行くあてのなかった私たちは急遽コンビニでお弁当を買ってふらっと寄ってみた。

湖のほとりにあるベンチに二人腰をおろした。天気がいいと、気分も晴れる。
ちらりと遥の方を見ると、視線は遠くにあった。湖のもっと向こうの方。私といるのに、まるで一人でいるような寂しい横顔。

「遥、もうすぐ誕生日だね?何欲しい?」
遥の誕生日は4月2日。春生まれだ。

「何かくれんの」
「うん。彼女いない遥のために。なんで彼女と別れたの?あの子でしょ、真面目そうな」
遠くに向けていた遥の視線が、私に戻った。

「俺が余裕なかったからだよ。あいつがしんどい時に追い詰めるようなこと言ったの」

遥が?
一体、どんな……
私の期待顔に気付いた遥は、苦笑した。

「こんな話聞きたいか?遥、ちっせー!って引くんじゃね」
「聞きたい。教えて」

遥の好きな人の話は、聞いてみたい。


ここの景色が美しいからか、もしくはただ気が向いただけか。
遥はつらつらと話をしてくれた。

彼女に何があったかは伏せられたけれど、聞いているうちに、まだ遥が彼女を好きだって気持ちが伝わってきて、胸が苦しくなった。
そして、ふつふつと沸く、彼女への嫌悪感。

「私。その子キライ」

膨れて宣言する私に、遥は苦笑する。

「ふっ。同属嫌悪じゃね?」
「やだっ、やめてよっ。私は浮気なんかしないもんっ」
「ちょっと似てるよ。無意識に人を振りまわして、心配かけるところが……」

やだやだ。やめてやめて。
私は、二股なんてかけないもん。

「でもそんなの、絶対エッチしてるって誰でも思うよ、前科があるんだもん。信じ切れないよ。先生も先生だよ、ロリコンじゃん」

憤慨していると、遥はくっくっと笑っていた。

「あー、おもしれ。結愛メッチャキレてる」
「なんで笑うのっ」

昔は私も――何を差し置いても小林先輩が私の一番だった。
遥のことも大事だったけど……先輩しか見えなくて。

でも、今は……。

もし、私が遥の傷を癒せるなら、今まで助けてくれた分、力になりたいって思う。

私でいいじゃん。そんな子じゃなくていいじゃん。遥、私のこと好きだったじゃん――と、喉まで出掛かるが、困らせるのは目に見えているので我慢する。

遥がその子を庇えば庇うほど、私の感情は乱れて行く。
まだそんなに好きなのに、何で行動に移さないの?


遥を悲しませるような子は、大っきらい。
二股かけるような女は、大っきらい。
あんな純情そうな顔して。
そんな女に似てるって言われたくない。
膝の上で拳を作っていると、遥が笑った。

「結愛、ありがとう。心配してくれて」

少し痩せて大人びた遥が、私の髪を撫でた。
学年一つしか違わないのにいつもお兄さんぶる。


二人で、親の帰りを待ちながらお留守番してた時、ホットケーキを焼いてくれたこと。
先輩の話を、げんなりしながらも聞いてくれてたこと。
一緒に宿題したこと。
ちょっとだけエッチな遊びをしたこと。
くだらないことで笑い合ったこと。

先輩に動画を撮られた時、先輩を殴りに行くって泣きながら怒ってくれたこと。

遥が優しくしてくれたこと、今でもずっと覚えてる。
だから、絶対に幸せでいてほしい。



時間はあっという間に過ぎ、もうすぐ17時になる。
また寮の前の道で下ろしてもらい、ヘルメットを返した。

「遥……また遊んでくれる?」
「いいよ。でも事前に連絡な」
「うん。また、連絡する」
「おう。じゃあな」

遥が帰って行く。
その後ろ姿を見届けながら、私はある決心をしていた。
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