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第3章、碧編
【1】春の観測会
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私が休んだその日以降、遥が学校に来る事はなかった。
もうお母さんの街に行っているのか、まだここの家にいるのか…
バタバタしている事は確かだろうから、こちらからは聞けなかった。
それでも、たまにヘンなLINEスタンプだけが送られてきたりする。
それが、“俺の事忘れるな”って意味に思えて、愛おしかった。
遥は、ああ見えて意外と泣き虫だから、彼が泣きたい時は、そばにいられなくても、心だけは寄り添っていたい。
遠く離れても会いに行けるように、バイトを探すことにした。
一度会いに行けば諭吉数枚が軽く吹っ飛ぶ。バイトを始める事には母が反対するだろうけど、どうしても交通費は稼ぎたい。
私は近所の張り紙を探したり、アルバイト情報を見たりして過ごしていた。
ゴールデンウィークの合間に、観測会が行われた。
村上先生の車で行くカレーの材料の買い出しには、高田部長と美咲ちゃんが行っていた。
「あれ?美咲ちゃん、じゃんけん負けてたっけ?」
と聞くと、美咲ちゃんは、小首を傾げてうふふと笑うだけだった。
カレーは、家庭科調理室を借りて調理する。デザートは炭酸ジュースで作るゼリー。それを食べた後は、陽が落ちるまで天文の話や、親睦会などを行う。
村上先生には、「白川、包丁使ったことあるの?」とからかわれて赤っ恥をかかされ………料理は得意ではない。
前と何も変わらない先生の態度。
間違ってても迷っていても、「それがお前だ」と認めてくれる。そんな村上先生を敬い慕う気持ちは変わらない。
先生が、私にとって特別な人である事は揺るがなかった。
カレーとデザートを食べ終えて、みんなで洗いものをして、部室に移動する。
部室からも、ある程度観測できるそうだが、天文に疎い私は話を聞いてもちんぷんかんぷんで…。
美咲ちゃんもあまり詳しくないようで、二人で笑い合った。
観測の話や、春の星座の話を聞いている時だった。
「あ、私、鍵持ってきちゃってました」と、美咲ちゃんがポケットの中から調理室の鍵を出した。
「返しに行ってきます」
「ついて行こうか?廊下もそろそろ暗いし…」
「大丈夫です~。一人で行ってきます」
美咲ちゃんは笑顔で席を立ち、部室を出ていった。
村上先生は……と部室内を見回すが、いつの間にかいない。
職員室にいるのかな。そうだとしたら美咲ちゃんと一緒に戻ってくるかもしれないし、暗い校舎内も安心かも。
しかし、美咲ちゃんはしばらく経っても戻って来なかった。
おかしいな。美咲ちゃん、どうしたんだろう…
何かあったのかな。
いい加減様子を見に行こうかと思った時、村上先生が部室に入ってきた。
「屋上開けますよ。各自、貴重品は持って」と指示を出す先生。
「先生、美咲ちゃんは?」
みんな席を立ち始めている中、先生に尋ねたが首を傾げている。
「小谷?知らないけど…どうしたんだ?」
「調理室の鍵返しに行ったきりで…。ちょっと見てきます」
「ああ、気をつけて、俺も後で行くよ」
階段を下りながら美咲ちゃんに電話を掛けた。一応廊下にも灯りはついているのだが、古びた校内はホラー映画に出てきそうな怖さがある。
いくら掛けても繋がらない電話に、胸騒ぎがした。
1階にある調理室まで行っても、誰もいない。
まさか家に帰ったなんて事はないだろうし。職員室で他の先生と話してたり?
いろいろと可能性を考えながら歩いていたら、ふわりと煙草のにおいを感じた。
嫌な予感がした。
この前千晴が、小林先輩たちに呼び出されたと話していたからだ。
藤田先生が近くにいて事なきを得たらしいけれど、美咲ちゃんももしかして!
あの秘密基地――夜になって、あんな所に連れ込まれたら誰も気付いてはくれない。
私は、体育館裏まで走った。
どんどん煙草の匂いが強くなる。
角を曲がったら、そこには小林先輩と、顔の知らない大柄な先輩と、美咲ちゃんがいた。
「あっ、碧先輩っ…」
美咲ちゃんが泣きそうな顔で走ってきた。小林先輩たちは、ニヤニヤしながらこっちを見ていて、そのふざけた態度に腸が煮えくりかえってきた。
「美咲ちゃんに何してるんですか!?」
小林先輩は、咥えていた煙草を地面に吐き、踏みながら火を消した。
「うるせーなぁ…お前には情けをかけて、ターゲット外にしてやってんだからいいじゃん。そのミサキちゃんは結構乗り気だったよ」
……ターゲット?乗り気?
私の後ろで震えている美咲ちゃんに、
「美咲ちゃん、先生呼んできて。誰でもいいから」と言うと、彼女は目に涙を溜めながら走りだした。
「碧ちゃん、かっこいー♪じゃあ碧ちゃんが代わりに咥えてよ」
大柄が、汚らわしい己の局部を指差しながら、へらへらと笑う。
美咲ちゃんに何させてたの…!?
ゾッと背筋が凍った。
大柄は、スマホを弄るとわざとらしく溜息をつく。
「楽しい撮影ごっこだよ。もー撮れなかったじゃんー。あの子いい顔してたのにー。ほら、早く咥えろって」
ズボン越しに自分のいかがわしいものをまさぐっている大柄。
立ち上がり、ゆっくりと近づいてきたが、小林先輩が制した。
「もういいよ、そいつは。タイプじゃねえし全然勃たねえわ」
そう言って小林先輩は柵に足を掛けて、ひらりと柵の向こうの雑木林に降り立つ。大柄も柵を悠々と乗り越えた。
「に、逃げる気ですかっ」
「バイバーイ、碧ちゃん」
大柄は腑に落ちない顔をしていたが、小林先輩たちは繁茂して手入れのなっていない草木の中に消えていった。
足は震え、鼓動はまだ早鐘を打つように忙しなく、今になってどっと汗が噴き出してきた。
最低だ…あんな奴ら。
撮影ごっこと称して、撮っているのか…
千晴と美咲ちゃんは、そのターゲットだったの…?
「―――白川!」
大きな呼び声にハッとし振り向いた。村上先生の声だ。その後ろを藤田先生、新任の堤先生が駆け寄ってきた。
「あ…先生…」
村上先生は、それは心配そうな顔をして私を見つめる。
「何もなかったか?」
「はい、私は……」
すると、藤田先生の低音が耳に飛び込んできた。
「――小林か?」
「はい、あと体格のいい人が…」
「平沼だな」
藤田先生も村上先生と同じように、深刻そうに溜息をつき、身を屈めて地面に落ちていた吸殻を手に取った。
「バカだなぁあいつらは……」
本人たちは単なる遊びかもしれないが、全国に報道される事件にもなりかねない、学園の継続が危ぶまれるような出来事に、そこにいた全員が言葉を失くし、卑劣さに落胆した。
なにより、一人の女子高生の未来を潰しかねない。
千晴は助かったけれど、美咲ちゃんは実際どんな被害を受けたのか…事実は彼女と奴らしか分からない。
その後すぐ、美咲ちゃんは先生方に呼び出され、事情を聞かれていたようだが、「何もされていません」と答えているのが見えた。
「観測会は終盤だけど…屋上行きますか?せっかくだし。帰りは二人とも車で送るよ」
村上先生の提案。美咲ちゃんの方を見ると小さく頷いていたので、私も屋上から星を見て帰ることにした。
屋上に着くと、何も知らない高田部長が美咲ちゃんに話しかけ、セットした天体望遠鏡を見るように言っていた。
まだ、さっきの胸騒ぎと焦燥が残っている。
美咲ちゃんは私よりもっとだろうと思うのに、私から見える美咲ちゃんは気丈でいつもと変わらなかった。
フェンスを握りながら空を見上げていたら、村上先生が隣に来た。
「藤田先生たち、あいつらの処分を検討するらしいよ。とりあえず喫煙の証拠はあるからね。小谷は何もなかったようだけど…」
「…………」
何もなかったのかな。私たちには推測することしかできないが。
「白川は大丈夫か?」
「はい…何もなかったので」
「そうか。浅野、今日はお母さんの地元にいるよ。連絡取ってる?」
首を振ったら、お前らは…と苦笑していた。
もうお母さんの街に行っているのか、まだここの家にいるのか…
バタバタしている事は確かだろうから、こちらからは聞けなかった。
それでも、たまにヘンなLINEスタンプだけが送られてきたりする。
それが、“俺の事忘れるな”って意味に思えて、愛おしかった。
遥は、ああ見えて意外と泣き虫だから、彼が泣きたい時は、そばにいられなくても、心だけは寄り添っていたい。
遠く離れても会いに行けるように、バイトを探すことにした。
一度会いに行けば諭吉数枚が軽く吹っ飛ぶ。バイトを始める事には母が反対するだろうけど、どうしても交通費は稼ぎたい。
私は近所の張り紙を探したり、アルバイト情報を見たりして過ごしていた。
ゴールデンウィークの合間に、観測会が行われた。
村上先生の車で行くカレーの材料の買い出しには、高田部長と美咲ちゃんが行っていた。
「あれ?美咲ちゃん、じゃんけん負けてたっけ?」
と聞くと、美咲ちゃんは、小首を傾げてうふふと笑うだけだった。
カレーは、家庭科調理室を借りて調理する。デザートは炭酸ジュースで作るゼリー。それを食べた後は、陽が落ちるまで天文の話や、親睦会などを行う。
村上先生には、「白川、包丁使ったことあるの?」とからかわれて赤っ恥をかかされ………料理は得意ではない。
前と何も変わらない先生の態度。
間違ってても迷っていても、「それがお前だ」と認めてくれる。そんな村上先生を敬い慕う気持ちは変わらない。
先生が、私にとって特別な人である事は揺るがなかった。
カレーとデザートを食べ終えて、みんなで洗いものをして、部室に移動する。
部室からも、ある程度観測できるそうだが、天文に疎い私は話を聞いてもちんぷんかんぷんで…。
美咲ちゃんもあまり詳しくないようで、二人で笑い合った。
観測の話や、春の星座の話を聞いている時だった。
「あ、私、鍵持ってきちゃってました」と、美咲ちゃんがポケットの中から調理室の鍵を出した。
「返しに行ってきます」
「ついて行こうか?廊下もそろそろ暗いし…」
「大丈夫です~。一人で行ってきます」
美咲ちゃんは笑顔で席を立ち、部室を出ていった。
村上先生は……と部室内を見回すが、いつの間にかいない。
職員室にいるのかな。そうだとしたら美咲ちゃんと一緒に戻ってくるかもしれないし、暗い校舎内も安心かも。
しかし、美咲ちゃんはしばらく経っても戻って来なかった。
おかしいな。美咲ちゃん、どうしたんだろう…
何かあったのかな。
いい加減様子を見に行こうかと思った時、村上先生が部室に入ってきた。
「屋上開けますよ。各自、貴重品は持って」と指示を出す先生。
「先生、美咲ちゃんは?」
みんな席を立ち始めている中、先生に尋ねたが首を傾げている。
「小谷?知らないけど…どうしたんだ?」
「調理室の鍵返しに行ったきりで…。ちょっと見てきます」
「ああ、気をつけて、俺も後で行くよ」
階段を下りながら美咲ちゃんに電話を掛けた。一応廊下にも灯りはついているのだが、古びた校内はホラー映画に出てきそうな怖さがある。
いくら掛けても繋がらない電話に、胸騒ぎがした。
1階にある調理室まで行っても、誰もいない。
まさか家に帰ったなんて事はないだろうし。職員室で他の先生と話してたり?
いろいろと可能性を考えながら歩いていたら、ふわりと煙草のにおいを感じた。
嫌な予感がした。
この前千晴が、小林先輩たちに呼び出されたと話していたからだ。
藤田先生が近くにいて事なきを得たらしいけれど、美咲ちゃんももしかして!
あの秘密基地――夜になって、あんな所に連れ込まれたら誰も気付いてはくれない。
私は、体育館裏まで走った。
どんどん煙草の匂いが強くなる。
角を曲がったら、そこには小林先輩と、顔の知らない大柄な先輩と、美咲ちゃんがいた。
「あっ、碧先輩っ…」
美咲ちゃんが泣きそうな顔で走ってきた。小林先輩たちは、ニヤニヤしながらこっちを見ていて、そのふざけた態度に腸が煮えくりかえってきた。
「美咲ちゃんに何してるんですか!?」
小林先輩は、咥えていた煙草を地面に吐き、踏みながら火を消した。
「うるせーなぁ…お前には情けをかけて、ターゲット外にしてやってんだからいいじゃん。そのミサキちゃんは結構乗り気だったよ」
……ターゲット?乗り気?
私の後ろで震えている美咲ちゃんに、
「美咲ちゃん、先生呼んできて。誰でもいいから」と言うと、彼女は目に涙を溜めながら走りだした。
「碧ちゃん、かっこいー♪じゃあ碧ちゃんが代わりに咥えてよ」
大柄が、汚らわしい己の局部を指差しながら、へらへらと笑う。
美咲ちゃんに何させてたの…!?
ゾッと背筋が凍った。
大柄は、スマホを弄るとわざとらしく溜息をつく。
「楽しい撮影ごっこだよ。もー撮れなかったじゃんー。あの子いい顔してたのにー。ほら、早く咥えろって」
ズボン越しに自分のいかがわしいものをまさぐっている大柄。
立ち上がり、ゆっくりと近づいてきたが、小林先輩が制した。
「もういいよ、そいつは。タイプじゃねえし全然勃たねえわ」
そう言って小林先輩は柵に足を掛けて、ひらりと柵の向こうの雑木林に降り立つ。大柄も柵を悠々と乗り越えた。
「に、逃げる気ですかっ」
「バイバーイ、碧ちゃん」
大柄は腑に落ちない顔をしていたが、小林先輩たちは繁茂して手入れのなっていない草木の中に消えていった。
足は震え、鼓動はまだ早鐘を打つように忙しなく、今になってどっと汗が噴き出してきた。
最低だ…あんな奴ら。
撮影ごっこと称して、撮っているのか…
千晴と美咲ちゃんは、そのターゲットだったの…?
「―――白川!」
大きな呼び声にハッとし振り向いた。村上先生の声だ。その後ろを藤田先生、新任の堤先生が駆け寄ってきた。
「あ…先生…」
村上先生は、それは心配そうな顔をして私を見つめる。
「何もなかったか?」
「はい、私は……」
すると、藤田先生の低音が耳に飛び込んできた。
「――小林か?」
「はい、あと体格のいい人が…」
「平沼だな」
藤田先生も村上先生と同じように、深刻そうに溜息をつき、身を屈めて地面に落ちていた吸殻を手に取った。
「バカだなぁあいつらは……」
本人たちは単なる遊びかもしれないが、全国に報道される事件にもなりかねない、学園の継続が危ぶまれるような出来事に、そこにいた全員が言葉を失くし、卑劣さに落胆した。
なにより、一人の女子高生の未来を潰しかねない。
千晴は助かったけれど、美咲ちゃんは実際どんな被害を受けたのか…事実は彼女と奴らしか分からない。
その後すぐ、美咲ちゃんは先生方に呼び出され、事情を聞かれていたようだが、「何もされていません」と答えているのが見えた。
「観測会は終盤だけど…屋上行きますか?せっかくだし。帰りは二人とも車で送るよ」
村上先生の提案。美咲ちゃんの方を見ると小さく頷いていたので、私も屋上から星を見て帰ることにした。
屋上に着くと、何も知らない高田部長が美咲ちゃんに話しかけ、セットした天体望遠鏡を見るように言っていた。
まだ、さっきの胸騒ぎと焦燥が残っている。
美咲ちゃんは私よりもっとだろうと思うのに、私から見える美咲ちゃんは気丈でいつもと変わらなかった。
フェンスを握りながら空を見上げていたら、村上先生が隣に来た。
「藤田先生たち、あいつらの処分を検討するらしいよ。とりあえず喫煙の証拠はあるからね。小谷は何もなかったようだけど…」
「…………」
何もなかったのかな。私たちには推測することしかできないが。
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「はい…何もなかったので」
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