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「望郷の画家・橋本龍美展」 ~神も、庶民も、バケモノも~
しおりを挟む新潟県立近代美術館。
新潟の中心(地理的)、長岡市に置かれている。
長岡まつり・大花火大会と云えば、ピンとくる人もいるかもしれない。
新潟市住民からすれば、無駄に広い県内面積のお陰で遠い。
(新潟市~三条市・見附市~長岡市)
一般道で行けば、約二時間、高速道路を走れば一時間足らずで行ける
普通車、ETC利用で片道1800円(時間帯・休日割引が適用されているかは不明)
これは、企画展の一回分のチケット代と同等になる。
そこまでケチる必要は無いのだが、
別に急ぐ必要はなく、道中も混まず、運転も苦ではないので、
「行き」は一般道で向かっている。
8時に出発し、10時過ぎには着く。
5月20日
GWの美術館巡りの余韻が一段落したので訪問。
開館一時間後、開催終了近くの為か、来館者は10人もいなかった様子。
GWに巡った美術館とは違い、毎回毎回、快適に鑑賞できている。
地方美術館の大きな利点の一つだ。
「望郷の画家・橋本龍美展」
~神も、庶民も、バケモノも~
「望郷」と記されている通り、「橋本龍美」は加茂市出身の日本画家。
ジャンルで云えば、「和」になるんだろうけど、
日本画とかではなく、洋画になるのだろう――
説明下手なので、是非「橋本龍美」で検索してもらいたい。
どうだろう、
おそらくは、魑魅魍魎たちと云った作品が目に入るだろう。
「核」となるのは、幼少の時に毎晩、乳母に聞かされた「夜噺」。
薄暗く、ローソクの灯りが揺らめくなか、
囲炉裏を囲んでの怪談なんて、雰囲気満天ではないか。
その夜噺が、自己の確立に苦しんでいる時に、脳裏に浮かんだという。
『バケモノがいっぱいて、話している』
その様子を描き、新作家賞に輝いた。
(残念なことに、この作品は、現在行方不明)
これを皮切りに、独特の妖かし雰囲気の作品が描かれた。
ベタな作者紹介はこれくらいにして、ぐだぐだな鑑賞所感。
まず、初期の作品が4点展示。
洋画風で、人物や花が描かれていた。
この時点では、まだテーマが定まってはいなかった模様。
いよいよ、「夜噺」の世界が始まる。
がらりと変わった画風で描かれた、
祭りの様子の化け地蔵・天狗に山伏?たち。
どれも、妖しく異様としか云えない中にも、
もっとよく見たいと『怖いもの見たさ』感覚が生まれる。
「見世物」は、まさに昔の見世物小屋といった、
妖怪なんて生易しいモノじゃなく、
不気味な魑魅魍魎たちが描かれている。
お金が無くて、安い黒と白の絵具しか買えなく、
それ故のモノトーンが、一層の迫力がある。
年数と共に色彩も付くが、独特の雰囲気は変わらないどころか、
一層の深み、怪奇おどろおどろ――
「祭之詩」
と題材を聞けば、多少は楽しげな雰囲気と思われるかもしれないが、
そこは期待を裏切らない。
副題とでも云えばよいのか、「蛇娘」と続く。
西洋で想像すれば、メドゥーサやラミア、
東洋だとナーガが脳裏に浮かぶだろう。
まぁ、そんなファンタジーの「蛇娘」ではないのは、想像はつくだろう。
当時の見世物小屋には、
現代では考えられない・人道倫理的にアウトな興行が、毎夜行われてたそうな。
そこに「蛇娘」という演目があったのか分からないが、
あったとすれば奇怪な見世物が行われていたのは、容易に想像がつく。
これまでの作品とは、別ベクトルの畏怖を持つ女性。
無表情で蛇を口に含む、あるいは両手で蛇を弄ぶ。
取り巻く人外も、女性?たち。
まさに、ジャパニック・ホラーの作品だ。
「風之唄」
穏やかな題材で、描かれているのはお地蔵さま。
やはり、少し変わった様子ではあるが――
お地蔵さまは、地蔵菩薩であり、仏である。
道端にひっそり佇み、地域を見守る――
少なからず、こういう感じを抱いていると思う。
都会の人は見る機会は少ないかもしれないが、
地方・田舎だとわりと目撃する機会は多い。
人里・お供え物や人の手がある、
お地蔵さまは、描かれていない。
では、何が描かれているかと云うと――
旧道・登山道、主に鬱蒼とした山林に、
ポツンと忘れ去られた、お地蔵さま。
雨風に晒され、無残に朽ち果て、
苔が生え、蔦が絡みつく。
果てには、忘れ去られた「恨み・妬み」、
仏にあるまじき、禍々しい意志が芽生える。
そんな、魂を持ったお地蔵さまを、
一瞬でも脳裏に浮かんだのだろうか?
橋本龍美氏が夜噺から、聞き想像したのとは違うかもしれない。
そんなこんな「おぢぞうさん」シリーズ。
ここで展示作品はガラッと変わり、「望郷」へと移った。
若干のタッチは残っているキツネをはじめとする、小動物が潜む野山。
市中・長屋での人々の生活の様子……
このあたりになると、私の嗜好から離れてしまう。
つまりは、ここで悪文が終わる。
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