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92. それから
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「お兄様! どこ! どこに行ったの!?」
「アーク? まさか消えた?」
「まさか、目の前で消えるとは……」
お兄様はこのダンジョンの広間、どこを見渡してもいなかった。本当に目の前でフッと消え失せてしまった。
まるで、そう、まるで……
「あーっ、多分異次元、龍の国に召喚されたんだ」
「まさかの、このタイミングで」
「ほら、卵のお母さんもこう、フッと消えたって言っていたじゃないか。あっちの世界は寿命が長いから割とノンビリしているけど、何とか子供を手元に戻そうとしていたんだと思う」
「召喚先は龍の国の王宮だろうから心配はいらない」
ブラックさんとグリーンさんは異次元に行った事があるらしい。
「でもさ、彼は卵のお母さんから生まれたみたいだけど、父親が人間だったら、人間のような気がする」
「人間だったら帰ってくるのも、というか人間だったら次元の裂け目も通れるはずだし帰ってこれる」
「だとすると、この裂け目は完全に塞いでしまうわけにはいかないな」
お兄様、お母様に召喚されたのなら、取り合えず安全ではあるけれど、でも、でも、こんな急に居なくなるなんて。心の準備というものがあるじゃない。
いつも側にいたお兄様がいないなんて、この喪失感。もの凄く寂しい。
私が落ち込んでいると、いつの間にかアルファント殿下に抱き込まれていた。暖かい。
「リーナ。泣かないで。アークはきっと帰ってくるよ。アークはお腹が空いたら帰ってくるから」
「そうですよ。アークはとんでもない食いしん坊ですから。リーナ様のご飯が食べたくて何とか帰ってくると思います」
「帰ってきます。きっと」
殿下とランディ様、トーリスト様が気遣わし気に声をかけてくれた。でも、
「お兄様のアイテムボックスには食料が山のように入っているんです。しかも、何かあった時の為にとか言って、アイテムボックスを3つも持っていてその中にはお餅つきの道具まで入っているし、殿下から送ってこられたもち米とお米は殆どがお兄様のアイテムボックスの中なんです」
「えっ、じゃぁ、しばらくはあっちでも大丈夫なのか。じゃぁ、ゆっくり帰ってくる?」
「餅つき?!」
「餅、ついていたのか?」
ブラックさんとグリーンさんが殿下の発したお餅という言葉に食いついてきた。
「お兄様の趣味はお餅つきです。お部屋の中でも暇さえあればお餅つきしていましたから」
「それで、しょっちゅう、餅関係のオヤツが出てきてたのか」
「お餅、おいしいですよね。私はあべかわ餅が好きです」
「アンコロ餅です」
ブラックさんとグリーンさんは情けない顔をした。
「俺たち、餅はまだ食ってない」
「畜生! アーク、早く帰ってこい! 俺は雑煮が食いたいぞ!」
「つきたての餅に納豆だ!」
「納豆はまだ無いです」
「えっ、そう。残念……」
「砂糖醤油に海苔巻いた奴」
「それは大丈夫です」
「ああ、早く食いたい」
「それは無理かもしれない」
お兄様の声がした。ちょっと声が低い? 幻? いや、誰?
其処に立っていたのはお兄様によく似た青年。お兄様のお兄様? お兄様より3つくらい年上に見える。お兄様が成長するとこんなに恰好良くなるんだって感じの青年だった。
「えーと、わからないかな。俺、俺、アークだよ」
「はっ? アーク?」
「この一瞬で年、取ったのか?」
「いや、こっちは時間、経ってないけど、俺はあっちで3年過ごしているから」
「3年?」
「そうだよ。突然飛ばされて、苦労したんだから。それより、アイテムボックスの食料が尽きてさ、餅も米もないんだよ。スッカラカン。リーナの出し汁もなくなってさ。俺、もう飢えちゃって」
「餅も米もないのか?」
「無いのか!」
「ああ、うん。ごめん。食いつくした」
「お兄様……」
「リーナ、会えて嬉しい。ついでに殿下も会いたかった、です」
「お兄様、良かった。帰ってこられて」
「ああ、アーク。本当に良かった。居なくなったのは一瞬だったけどな」
「はははっ、いや、本当に苦労したんですよ。それで、リーナ、その虹色の髪は『隠蔽の加護』で隠せるんじゃないか。レベル、結構高くなっているだろ?」
「ああ、そうね。そうすれば、私が聖女だって人に知られずにすむわ」
試しに『隠蔽の加護』で隠蔽してみると見事に元の髪色に戻った。良かった。艶のある金髪は気に入っていたから。お兄様の話によると、お兄様は龍王の卵から生まれたお母様の子、だけどお父様が人間なので、一応、今は人間なんですって。
人間だから、召喚された時に異次元の端にある人間の居住地に飛ばされてしまって、そこでしばらく過ごしてから龍国に向かったのだけど、龍国は険しい山の向こうに在ってしかも龍王の王宮はそびえたつ山の上。
凄く苦労して王宮のお母様に会って、そして、逆召喚してもらおうとしたのだけれど、既にもう異次元に来てから2年半ほど経っていたので、元の時間軸に戻してもらう為に試行錯誤してたら3年、経ってしまったとの事。
でも、時間が戻ったので、もうしばらくしたら元の姿に戻るかもしれない、という話をしていたらお兄様が少しづつ縮んで私の知っている元のお兄様に戻った。
お洋服が少しダブついているけど、見ているうちに今の体型にフィットして違和感はなくなった。龍国の最高装備らしい。
「おお、元のアークだ」
「恰好良かったのに残念だったな」
「でも、その装備、国宝級だぞ。いいなぁ」
「あっ、貰ったんです」
「アーク、身体が戻ったんなら、食料も戻ってないか?」
「いや、食料はダメだって言っていました。ん、やはり、ないですね」
「でも、お兄様が居るだけでいいわ」
「俺も戻れてうれしい」
お兄様が帰ってきたので安心して王宮の神殿に戻った。これからの事を話しあう為に。
結局、茶ピンクさんとピンクさんはそのまま封印して異次元との栓の役目をしてもらう事になった。後、100年ほどは大丈夫なはずだから、邪気が溜まるまでに異次元との行き来が安全にできるようにする予定。
そして、アルファント殿下から打ち明けられたのは、殿下のお母様は『予言の加護』を持っていて次期王が聖女と結ばれないとこの世界が揺らいで滅亡するかもしれない、という予言が降りてきて、神殿長や一部の高位貴族はその事を認識していたので、アルファント殿下は、立太子ができていなかったとの事。
つまり、私が聖女になったのですべて解決。結婚して、殿下が王位を継いだ後も世界は安定する事になる。
私の加護は『水魔法の加護』の上位互換という事で皆の中で周知され、その名称は秘匿される事となった。
それは万が一の事があったら困るから。
茶ピンクさんが何処からあの古代宣誓の魔道具を持ってきたのかはわからないけど、用心に越したことはない。
という事でこれから先は成人の儀は人前ではなく、個別で行われる事となった。つまり、私の加護が『液体の加護』だとばれる事はないのです。だから、逃げなくても大丈夫。
「良かったな。リーナ」
「有り難う。お兄様。後はお兄様のお口にチャックをしておけば大丈夫ね」
「おう。美味しいものを詰め込んで、俺の口封じをしてくれたら良いから」
「でも、お兄様、龍王になるのね」
「ああ、やだやだ。人の人生が終わったらあっちへ飛んで卵から始まるんだ。で、永い、永い龍生の始まり。アイテムボックスに山ほど、リーナのご飯を詰め込んでもやがては尽きる。その後はどうやって生きていけばいいんだ」
「だから、頑張って二つの世界が交流できるようにして、最低でも異次元の食事情を引き上げて、美味しいモノが食べられるようにしなくちゃ」
「うん。がんばる! 美味しいものを食う為に!」
お兄様は人の人生が終わったら龍の卵になるけど、頑張って楽しく生きてほしいと思う。
月日が経ち、そして、迎えた結婚式。
私はアルファント殿下の元に嫁ぐ。色々、あったけど殿下にはとても大切にされて愛される事を知った。
私は多分、女神の欠片があるからまた、生まれ変わるだろうけど前の記憶はなくても良い。でも、記憶がなくてもアルファント殿下と又、出会えたらいいなと思う。
アルファント、私も貴方を愛しています。
※ 完結しました。これまでのお付き合い、有り難うございました。
「アーク? まさか消えた?」
「まさか、目の前で消えるとは……」
お兄様はこのダンジョンの広間、どこを見渡してもいなかった。本当に目の前でフッと消え失せてしまった。
まるで、そう、まるで……
「あーっ、多分異次元、龍の国に召喚されたんだ」
「まさかの、このタイミングで」
「ほら、卵のお母さんもこう、フッと消えたって言っていたじゃないか。あっちの世界は寿命が長いから割とノンビリしているけど、何とか子供を手元に戻そうとしていたんだと思う」
「召喚先は龍の国の王宮だろうから心配はいらない」
ブラックさんとグリーンさんは異次元に行った事があるらしい。
「でもさ、彼は卵のお母さんから生まれたみたいだけど、父親が人間だったら、人間のような気がする」
「人間だったら帰ってくるのも、というか人間だったら次元の裂け目も通れるはずだし帰ってこれる」
「だとすると、この裂け目は完全に塞いでしまうわけにはいかないな」
お兄様、お母様に召喚されたのなら、取り合えず安全ではあるけれど、でも、でも、こんな急に居なくなるなんて。心の準備というものがあるじゃない。
いつも側にいたお兄様がいないなんて、この喪失感。もの凄く寂しい。
私が落ち込んでいると、いつの間にかアルファント殿下に抱き込まれていた。暖かい。
「リーナ。泣かないで。アークはきっと帰ってくるよ。アークはお腹が空いたら帰ってくるから」
「そうですよ。アークはとんでもない食いしん坊ですから。リーナ様のご飯が食べたくて何とか帰ってくると思います」
「帰ってきます。きっと」
殿下とランディ様、トーリスト様が気遣わし気に声をかけてくれた。でも、
「お兄様のアイテムボックスには食料が山のように入っているんです。しかも、何かあった時の為にとか言って、アイテムボックスを3つも持っていてその中にはお餅つきの道具まで入っているし、殿下から送ってこられたもち米とお米は殆どがお兄様のアイテムボックスの中なんです」
「えっ、じゃぁ、しばらくはあっちでも大丈夫なのか。じゃぁ、ゆっくり帰ってくる?」
「餅つき?!」
「餅、ついていたのか?」
ブラックさんとグリーンさんが殿下の発したお餅という言葉に食いついてきた。
「お兄様の趣味はお餅つきです。お部屋の中でも暇さえあればお餅つきしていましたから」
「それで、しょっちゅう、餅関係のオヤツが出てきてたのか」
「お餅、おいしいですよね。私はあべかわ餅が好きです」
「アンコロ餅です」
ブラックさんとグリーンさんは情けない顔をした。
「俺たち、餅はまだ食ってない」
「畜生! アーク、早く帰ってこい! 俺は雑煮が食いたいぞ!」
「つきたての餅に納豆だ!」
「納豆はまだ無いです」
「えっ、そう。残念……」
「砂糖醤油に海苔巻いた奴」
「それは大丈夫です」
「ああ、早く食いたい」
「それは無理かもしれない」
お兄様の声がした。ちょっと声が低い? 幻? いや、誰?
其処に立っていたのはお兄様によく似た青年。お兄様のお兄様? お兄様より3つくらい年上に見える。お兄様が成長するとこんなに恰好良くなるんだって感じの青年だった。
「えーと、わからないかな。俺、俺、アークだよ」
「はっ? アーク?」
「この一瞬で年、取ったのか?」
「いや、こっちは時間、経ってないけど、俺はあっちで3年過ごしているから」
「3年?」
「そうだよ。突然飛ばされて、苦労したんだから。それより、アイテムボックスの食料が尽きてさ、餅も米もないんだよ。スッカラカン。リーナの出し汁もなくなってさ。俺、もう飢えちゃって」
「餅も米もないのか?」
「無いのか!」
「ああ、うん。ごめん。食いつくした」
「お兄様……」
「リーナ、会えて嬉しい。ついでに殿下も会いたかった、です」
「お兄様、良かった。帰ってこられて」
「ああ、アーク。本当に良かった。居なくなったのは一瞬だったけどな」
「はははっ、いや、本当に苦労したんですよ。それで、リーナ、その虹色の髪は『隠蔽の加護』で隠せるんじゃないか。レベル、結構高くなっているだろ?」
「ああ、そうね。そうすれば、私が聖女だって人に知られずにすむわ」
試しに『隠蔽の加護』で隠蔽してみると見事に元の髪色に戻った。良かった。艶のある金髪は気に入っていたから。お兄様の話によると、お兄様は龍王の卵から生まれたお母様の子、だけどお父様が人間なので、一応、今は人間なんですって。
人間だから、召喚された時に異次元の端にある人間の居住地に飛ばされてしまって、そこでしばらく過ごしてから龍国に向かったのだけど、龍国は険しい山の向こうに在ってしかも龍王の王宮はそびえたつ山の上。
凄く苦労して王宮のお母様に会って、そして、逆召喚してもらおうとしたのだけれど、既にもう異次元に来てから2年半ほど経っていたので、元の時間軸に戻してもらう為に試行錯誤してたら3年、経ってしまったとの事。
でも、時間が戻ったので、もうしばらくしたら元の姿に戻るかもしれない、という話をしていたらお兄様が少しづつ縮んで私の知っている元のお兄様に戻った。
お洋服が少しダブついているけど、見ているうちに今の体型にフィットして違和感はなくなった。龍国の最高装備らしい。
「おお、元のアークだ」
「恰好良かったのに残念だったな」
「でも、その装備、国宝級だぞ。いいなぁ」
「あっ、貰ったんです」
「アーク、身体が戻ったんなら、食料も戻ってないか?」
「いや、食料はダメだって言っていました。ん、やはり、ないですね」
「でも、お兄様が居るだけでいいわ」
「俺も戻れてうれしい」
お兄様が帰ってきたので安心して王宮の神殿に戻った。これからの事を話しあう為に。
結局、茶ピンクさんとピンクさんはそのまま封印して異次元との栓の役目をしてもらう事になった。後、100年ほどは大丈夫なはずだから、邪気が溜まるまでに異次元との行き来が安全にできるようにする予定。
そして、アルファント殿下から打ち明けられたのは、殿下のお母様は『予言の加護』を持っていて次期王が聖女と結ばれないとこの世界が揺らいで滅亡するかもしれない、という予言が降りてきて、神殿長や一部の高位貴族はその事を認識していたので、アルファント殿下は、立太子ができていなかったとの事。
つまり、私が聖女になったのですべて解決。結婚して、殿下が王位を継いだ後も世界は安定する事になる。
私の加護は『水魔法の加護』の上位互換という事で皆の中で周知され、その名称は秘匿される事となった。
それは万が一の事があったら困るから。
茶ピンクさんが何処からあの古代宣誓の魔道具を持ってきたのかはわからないけど、用心に越したことはない。
という事でこれから先は成人の儀は人前ではなく、個別で行われる事となった。つまり、私の加護が『液体の加護』だとばれる事はないのです。だから、逃げなくても大丈夫。
「良かったな。リーナ」
「有り難う。お兄様。後はお兄様のお口にチャックをしておけば大丈夫ね」
「おう。美味しいものを詰め込んで、俺の口封じをしてくれたら良いから」
「でも、お兄様、龍王になるのね」
「ああ、やだやだ。人の人生が終わったらあっちへ飛んで卵から始まるんだ。で、永い、永い龍生の始まり。アイテムボックスに山ほど、リーナのご飯を詰め込んでもやがては尽きる。その後はどうやって生きていけばいいんだ」
「だから、頑張って二つの世界が交流できるようにして、最低でも異次元の食事情を引き上げて、美味しいモノが食べられるようにしなくちゃ」
「うん。がんばる! 美味しいものを食う為に!」
お兄様は人の人生が終わったら龍の卵になるけど、頑張って楽しく生きてほしいと思う。
月日が経ち、そして、迎えた結婚式。
私はアルファント殿下の元に嫁ぐ。色々、あったけど殿下にはとても大切にされて愛される事を知った。
私は多分、女神の欠片があるからまた、生まれ変わるだろうけど前の記憶はなくても良い。でも、記憶がなくてもアルファント殿下と又、出会えたらいいなと思う。
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