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7. 此処っておかしくない? でもホットケーキを焼いたので美味しく食べます。
しおりを挟むリーナ9歳です。
リーナ・アプリコット。
9歳
加護『液体』レベル7
加護『隠蔽』レベル4
『液体』レベルが7になったら液状小麦粉、卵液、砂糖水が出せるようになった。手の甲に選択肢が現れるので視線で選ぶことができる。しかも、濃度の選択ができたので液状小麦粉の濃度を限界の90%まで上げてみた。
これはもう、90%の小麦粉にミルクを混ぜて卵液を入れて砂糖水をちょっとだけ入れてホットケーキ。ベーキングパウダーがないと膨らまないけど、代用品でミルクとレモン果汁で何とかしてみよう。と思ったら液状小麦粉の下にホットケーキミックスと小さく()書きがあった。
もう、ホットケーキミックスがあったら天下無敵。何でもできてしまう。ワーイ。
『液体』レベル6の時にミルクはミルク(母乳)と牛乳と何故かヤギ乳の選択ができるようになっていたので今はひたすら牛乳を飲んでいる。やっぱり牛乳は美味しい。未だに、お茶が出てこないのは不思議だけど、お茶は奥が深いし種類も多いからレベルが高いのかもしれない。
でも、この世界のお茶は紅茶だし、侍女見習いも乳母もいい加減なお茶の入れ方しているし、私にはお茶を出してくれないから普段、彼女たちの前では水を飲んでいるふりをしている。
『隠蔽』の加護のおかげで 美味しくない水に固いパンと冷めたスープも食べたふりで全部消せるから問題はない。大体、朝は冷めた食事をトレーに並べて出してきて自分たちは居間で温かい食事を取っているっておかしくない!? お昼は出てこないし、夕飯は時々パンとスープが部屋に置いてある。
私の住んでいるところは別館だけど渡り廊下で別館用のキッチンにつながっていて、そこからワゴンで食事が運ばれてくる。別館は5軒あるけど3軒が間をあけて本館寄りに建っていてその後方に別館用のキッチンと倉庫が配置してある。そこから長い渡り廊下でもう一つの別館があって、そのさらに後方に私のいる別館が建っている。
もうね、姥捨て山に置かれている気分。お母さまが昔、私が生まれて間もない頃はたまに来ていたけど馬車で来てたんだよ。
食事はきちんと運ばれてくるけど、届いたころにはすっかり冷めているからここの別館のキッチンでまた温めなおして乳母たちは食べているみたい。私の為に作られた貴族の子供用食事と乳母たちの為の食事はこの別館にいる侍女が下女に指図して温めている。
私の口には入らないけどね。
此処のキッチンにもバナナとか他の食料も置いてあるけどそんなに量はないからあまり貰わないようにしている。ばれたら怖いし。
でも、バナナは本当に無造作に沢山置いてあるからいつでも自由に食べて良いみたいで皆、オヤツ代わりに食べている。おかげで小さい時、私が取っても気づかれなかったのね。
ここの別館には私しか子供がいないけど、侍女は1人、下女は2人、護衛の騎士が一人と下男が一人に乳母と侍女見習いのシオがいる。
これだけの大人がいて、皆で育児放棄ってどう考えてもおかしいけど、幼女の私にはどうする事もできない。
誰か一人くらい変だなって思わないのかな?
「どう思う? お兄様」
「うん。確かにおかしいよね」
「でしょう。『液体」の加護がなければ私、死んでいるかもよ」
「うーん。死にそうになったら慌てて何とかしようとしたかもしれないし、流石に医者を呼ぶから虐待がばれるかも」
「私、いてもいなくてもいい子みたいだから」
「いや、一人の子供に面倒みる大人が6人だから領主、いや父親としては世話をしているつもりじゃないかな。貴族なんて我が子の面倒は見ないものだよ。俺だっていまだに誰も様子を見に来ないし……。服とかは年齢に合わせたものが届くし、季節に合わせた母さん用の服もいつの間にか置いてあるけど。母さんがいなくなったのも気が付かれてないのかもしれない。それに俺、今だにリーナと母さん以外としゃべった事ないんだよ」
「えーと、その、お母さん、愛人だったの?」
「いや、たまたまのお手付きで子供ができて、男児だったからキープされている感じかな。俺が生まれて此処に移されてから一度も会ってないって言っていた」
「うーん。不誠実だね」
「ほんとだよ」
「でも、お母さん、何処行っちゃたんだろうね?」
お兄様の住んでいる森の平屋は3間しかないけどキッチンと居間が一つになっていて結構広い。日本でいう2LDKの大き目の平屋でとても居心地がよい。そこのキッチンでホットケーキを焼いて二人で食べている。
お兄様のお母さんは突然、神隠しにあったようにお兄様の目の前で消えたそうだ。お母さんは「待って!」とお兄様に手を伸ばしながらあっという間に跡形もなく消えてしまったので、お兄様にはどうしようもなかったそうだ。
「でもさ、リーナのおかげで食料には困らないから助かるよ」
「そうでしょう! なんたって食料倉庫も別館のキッチンも入り放題だし、私の加護で色々出せるしね」
「この世界にない米、というかお粥がたべられるのも嬉しいよな」
「お粥がご飯になってくれるといいんだけど……」
「そこはな~」
「加護が『液体』だもんね」
「俺なんかパンの木だから……」
「使わないとレベル、上がらないよ」
「パンなんて一日に一つあればいいし、レベルを上げてもしょうがないからな。それに俺はステータスが見えないし」
「そんな事、言わずにちょっと頑張ってみて。レベルが上がると日本のパンになるかもよ」
「マジか。ちょっと頑張ってみようかな」
という会話があって、お兄様が頑張ってみた結果、パンが進化したらしい。
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