ドクターダーリン【完結】

桃華れい

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第2部

フェーズ8-16

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 ギプスが濡れないように、怪我をしている右手をタオルとビニール袋でしっかりと覆った。
「なんで服着てるんだ」
 Tシャツとショートパンツ姿の私に、涼が不満げに言う。
「涼を洗うだけだから、私まで脱ぐ必要ないでしょ」
「俺だけ脱がせるプレイ? 腹いせに俺が暴れて濡れるかもよ」
 プレイってなんだ。私は本当にただ洗うだけのつもりだ。
「怪我人はおとなしくしていてください」
 右手を上げててもらい、泡立てたボディタオルで涼の肩や胸を洗っていく。
「悪いな」
「涼の役に立ててうれしいよ」
 洗いつづけていると、涼がいたずらっぽく言った。
「彩ちゃん、ここも洗って」
 ちらりとやった目線の先はもちろん決まっている。
「左手は動くんだから自分で洗えるでしょ?」
「ついでついで」
 にやにやしているから、仕方なく洗ってあげる。ボディタオルではなく私の手で優しく泡を塗りつけていく。
「二、三日は運動しないほうがいいんだよな」
「でしょうね」
 何を言いたいのかはわかっている。
「どうすんの、これ」
 私が擦って洗ったせいで涼のそこは大きく反っていた。
「だから自分で洗ってって言ったのに」
「一緒に風呂入ってる時点で不可避」
 堂々と言われても。
「バックなら片手使えなくてもできるけど?」
「ダメ」
 手首より頭のほうの問題だ。頭の包帯もまだ取れていない。昨日の今日ではさすがにまずいだろう。医者なんだから自分でもよくわかってるはずだ。
「あんまり興奮するとよくないんじゃないの?」
「優しくしてくれれば問題ないよ」
 つまり、私にしろと言っているのか。でもこのままだと悶々として眠れなくなってしまうかも。それはそれで困る。怪我の回復のためにもしっかり寝てもらわないと。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
「しょうがないなあ」
 手で擦りつづけながら、私は独り言のように呟いた。
「お願いします」
 シャワーで全身の泡を洗い流したあと、私は膝をついてかがんだ。目の前のそれを手で握り直すとゆっくりと口に含んだ。喉の奥まで咥え、舌で舐め上げる。
「……っ」
 うめきに似た小さな声を涼が上げた。
「頭、痛くない?」
「ああ、大丈夫……」
 強い刺激では負担がかかるかもしれない。様子を見ながらゆっくりとした動きで出し入れする。口でするのは今までにも何度かしてるけど、いつも涼は最後まではさせてくれなくて、仕上げはキスしながら手でしてる。私の実力不足のせいだと思う。
 顎が疲れる。小休止でときどき咥えるのをやめ、顔を傾けて裏筋に唇を這わせたり舐め上げたりした。
「彩……入れたい」
 吐息交じりに涼が言った。私は先端に口づけながら上目遣いに涼を見た。
「今日はこれで我慢して」
「生殺しだな」
「やっぱりこれじゃ満足できないよね」
「気持ちいいです。出そうなくらい」
 少しだけ口に含み、先端を吸う。涼の腰がぴくんと小さく反応した。
「彩だって、欲しいだろ?」
 また見上げて、首を横に振った。
「いらないの!?」
 ショック受けてる。かわいい。
「ただのマッサージだから。涼がよく眠れるようにするための」
 私は施す側だから、気持ちよくなる必要はないの。
「なるほどね」
 納得してくれたようだし、体調に影響もなさそうだから、私は喉の奥まで咥えてやや強めに吸った。
「でも彩……出ちゃうんだけど……」
「ん……」
 「いいよ」の意味で短く答えた。
「彩……」
 涼が怪我をしていないほうの手で私の頭を後ろから押さえた。自ら腰を使い、私の中に押しつけてくる。そんなに動いたら、と心配していると、やがて咥内に生温かい液体が放たれた。
「彩、出して」
 涼が離れながら慌てて言った。私は吐き出さずに飲み込んだ。ちょっと苦い。
「あーあ」
 そう言いながらも涼はどこか満足げだ。
「ダメだった?」
「いや、そんなことないけど」
 ちゃんとできた。うれしい。もしかして今まではあえて外で出すようにしてたのかな?
 涼が左手を貸してくれて、私は立ち上がった。そのまま左手一本で抱き寄せられた。
「オペに入れないことよりも、両手でお前を抱きしめられないことのほうがつらいな」
 片手でも十分だ。気持ちは伝わってくる。足りない右手の分を補うように、私は自分から強く涼に抱きついた。
「あ、びしょ濡れ」
 しまった。服を着ていたのを忘れていた。
「だから着なくてよかったのに」
 仕方ない。明日からは私も脱ぐ、のはやっぱり恥ずかしいからバスタオルだけ巻こう。


 ギプスが取れるまで、家では私が涼の手助けをした。着替え、食事、お風呂など。毎日のお弁当も工夫をした。片手で食べられるようにおにぎりかサンドイッチにして、おかずはフォークやピックで刺して食べられるものが基本だ。家でもそれではつまらないだろうし気が滅入るだろうから、あえて普通に涼の好物などを作った。骨が早く再生するように毎日カルシウム多めの献立だ。
 最初の三日間はお風呂でのマッサージだけで我慢してもらった。本当はマッサージも控えたかったのだけど、一緒にお風呂に入って洗ってあげているせいで困難だった。
 手首を痛めてるのだから無理しないほうがいいのに、「我慢するほうが無理」と言って聞かない。あんなかわいい看護師さんが多くいる病院だ。あんまり我慢させると、「私が全部してあげますから」なんて誘惑された日には浮気してしまうかもしれない。私がしてあげれば問題なし。
 ベッドの上で涼の服を脱がせる。見つめられながら自分も脱いでいく。
「怪我も悪いことばかりじゃない」
 跨る私を見上げながら、怪我をしてから何度目かの同じセリフを涼が言った。こっちは恥ずかしくてたまらないのに、うれしそうににやにやしてる。
「んっ……」
 腰を下ろして飲み込んでいく。涼の口からも快楽の吐息が漏れる。
「いたれりつくせりだな」
 涼の上で腰を前後に揺らす。私の腰を掴んでいた彼の手が、太ももに下りていった。
「動けなくてかわいそうな俺のために、目で楽しませてみない?」
 広げろと言わんばかりに、私の内ももを撫でている。
「もう……」
 仕方なく要望に応えて脚を広げていく、と見せかけて私は涼の上に覆いかぶさった。
「おい、見えないだろ」
「見ちゃダメ」
 動きを止めて至近距離で見つめ合い、唇を重ねた。キスしながら少しだけ腰を揺らす。
「彩……これこそ生殺しなんだけど?」
「激しくしないほうがいいと思って」
 ちょっと意地悪に言ってみる。
「あんまり我慢させると、お前が満足する前に暴発するかもよ。正直、これだけでもかなり気持ちいい。久しぶりだし」
 久しぶりというほどでもないんだけどな。我慢していたから長く感じたんだろう。
 怪我をしていて自由が利かなくて、それだけでもストレスなのに、さらに我慢させるのはかわいそうかな。私は体を起こすと、ヤンキー座りのような格好になってリズミカルに腰を動かした。
「ああ……丸見え」
「あっ……あっ!」
 私の動きに合わせて涼も突き上げてきた。怪我のことを考えたらゆっくりしたほうがいいのに止まらなくて、私は彼に見られながら自ら体を上下させた。
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