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1『セイン』
1 第二章第八話「暗殺」
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カイ暗殺を目論む集団はエイラのシールドを前に立ち往生していた。
暗殺者1:
「おい、どうすんだよ! こんなシールドがあったんじゃ奴に近づけねえだろ!」
リーダー:
「こっちだってこれは想定外なんだよ!」
リーダーが喚き散らす。それを見て仲間はそれぞれ不安そうな面持ちだった。
この暗殺集団、計画があまりに稚拙だったのであった。
暗殺者2:
「何て作戦だよ! こんなんならついてくるんじゃなかったぜ!」
リーダー:
「何だと!? てめぇ調子に乗んじゃ―――」
リーダーと仲間達が喧嘩になりそうなその時だった。
???:
「おーい、おまえら。何やってんだー」
その声に暗殺者達は思わず体を固めてしまう。そしてゆっくりとその声の聞こえた空中へ視線を向けた。そこには彼らのターゲットであるカイが浮かんでいたのだ。
カイはシールドを挟んで彼らの目の前まで下りてくる。
カイ:
「おまえら、レイデンフォートの国民か? 何か困ってるなら助けるけど。ああ、そっか、このシールドが邪魔なんだな。今おれがエイラに解除してきてもらってくるわ」
固まっている暗殺者達をおいて、カイが一人で勝手に納得してエイラの元へ向かおうとする。それに気づいたリーダーが慌ててカイへと声をかけた。
リーダー:
「あ、あの!」
カイ:
「ん?」
カイが声をかけられて後ろを振り向く。本当はその手に持っている剣はなんだ、とか魔力ないのにどうして空から、とか色々疑問があったのだが、エイラの元に戻られるのはマズいのだ。彼らにとって今の状況は千載一遇のチャンスであった。
どうやってシールドからカイを出そうか考えていた時、カイが険しい顔で彼らへと視線を向けていた。
カイ:
「てかさ、さっきからおまえ達なんか殺気飛ばし過ぎじゃね?」
暗殺者達:
「っ!」
カイの言葉に暗殺者達はどよめいた。
リーダー:
「(こいつ、馬鹿王子だと思っていたが、出来る奴なのか……!)」
カイ:
「ここに来る前に何かに襲われたのか? おれは敵じゃないから安心しろ」
リーダー:
「(前言撤回、ただの馬鹿王子だ)」
暗殺者達は安堵して思考を巡らす。そしてようやくいい考えが思いついたのかリーダーが前に出た。
リーダー:
「実はそうなんです。森で魔物に襲われまして負傷者が……。しかし我々だけでは背負って移動できる人数ではなく、手を貸してくれる人を探していたんです」
魔物に襲われて、人に殺意を向ける人などいるだろうか。仲間達の頭に同じような疑問が浮上したが、カイには浮上しなかったらしい。
カイ:
「まじでか!? じゃあ、ちょっと待ってろ! 今もう少し人数を呼んでくる!」
リーダー:
「あ、ま、待ってください! ちょうどあと一人いれば全員運べたんです! ですので、あなたのお力をお貸しいただければ!」
そんな都合のいい話があるだろうか。そう仲間達の頭に疑問が浮かぶ。そもそもの話に無理があるのだ。だが、その無理にもカイは気付かない。
カイ:
「分かった! どこだ!」
そうしてカイは見事にリーダーの思惑通りシールドの外に出た。そしてそのまま暗殺者達の横を通って前に出る。背中ががら空きだった。
その瞬間をリーダーは見逃さない。リーダーはナイフを取り出してカイの頭部めがけて振り下ろした。
………………………………………………………………………………
それはイデア達がお風呂を満喫していた時だった。突然エイラが勢いよく立ち上がったのだ。
ミーア:
「んー、どうしたの、エイラ? もしかしてまたお兄ちゃんが近くにいるのー?」
完全にだらけきったミーアがエイラに尋ねる。だが、エイラの表情は厳しいものだった。
エイラ:
「カイ様がシールドから出ました……!」
イデア&ミーア&ラン&メリル:
「っ!」
突然のことに全員動揺が隠せないでいた。
ミーア:
「何で!? どういう理由で!?」
エイラ:
「分かりません。ですが、このシールドは中から出れても外からは入れないので、どっちにしても向かう必要があります。しかし、カイ様もそのことは分かっているはずなんですが馬鹿なんですかね。ていうか馬鹿でした」
イデア:
「とにかく、カイの元へ急ぎましょう! 何か嫌な予感がします!」
イデアがさっさと風呂を出て服を着る。そしてすごい剣幕でエイラに尋ねた。
イデア:
「カイはどこから出たんですか!」
エイラ:
「え、えっと、あちらです」
イデア:
「カイ、今行きます!」
エイラの指さした方向へとイデアが走り出す。慌ててエイラとランがその後を追った。その途中エイラが振り返ってミーア達へと叫ぶ。
エイラ:
「ミーア様達はダリルに伝えてください! もしかしたら思ったより大事かもしれません!」
ミーア:
「わ、分かった!」
メリル:
「行こう!」
そしてミーアとメリルはダリル達の元へと足を向けた。
………………………………………………………………………………
ダリルとコルンは今がどんな状況なのか知るはずもなく二人で戦っていた。未だコルンの手にはセインらしき武器は握られていない。
ダリルが息を切らしながらコルンへと話しかける。
ダリル:
「セイン無しでこの力……。まだセインを使わないおつもりですか?」
コルン:
「いいえ、そろそろ使おうと思っていました。間違いなく今のままでは勝てないですからね」
そう言うと、コルンは自分の胸に手を伸ばした。その瞬間、まばゆい光がコルンの胸から放たれ、そこからコルンが何かを引き抜く。すると、コルンの手には赤黒いナイフのような短剣が握られていた。
それを見てダリルが感心するように呟く。
ダリル:
「それがあなたの……」
コルン:
「はい。ランから頂いたものです」
コルンがその短剣を構える。ダリルも嬉しそうに剣を構えていた。
コルン:
「では、本気で行きます!」
ダリル:
「望むところです!」
そして、両者が激突する瞬間だった。二人に声がかけられたのだ。
ラン:
「コルン! ダリル! 」
コルン:
「ん、なんだ、今ちょうどいい―――」
ミーア:
「お兄ちゃんに何かあったみたい!」
ダリル:
「何だと!?」
突然の事態にまったくわけがわからないダリルとコルン。
コルン:
「ダリルさん、どうやら……」
ダリル:
「はい、手合わせは終わりのようですね」
二人は頷き合うと、急いでミーア達の元へと駆け寄った。
………………………………………………………………………………
カイは自分へと迫っている凶刃に一切気が付いていなかった。そしてリーダーのナイフがカイへと到達するその瞬間、別のナイフがそれを阻んだ。甲高い金属同士がぶつかる音が鳴り響き、カイは後ろを振り返った。
カイ:
「え、なに!?」
カイが後ろを振り返って驚いていた。何故か目の前で仲間同士がナイフで鍔迫り合いをしていたのだ。凶刃を防いだのは暗殺者の一人だったのである。
リーダー:
「何故邪魔をする!」
暗殺者3:
「ようやく気が付いたよ! 俺達のやろうとしていることは間違っている!」
リーダー:
「何を言っている! さっきまで共に殺そうとしていたじゃないか!」
カイを助けた暗殺者は一瞬その言葉に怯んだが、すぐに強い意志の灯った目でリーダーを睨んだ。
暗殺者3:
「確かにさっきまでは殺そうとしていた。だがな! この人は俺達の言っていることを一切疑わず助けようとしてくれたんだ! この人が王子だろうと違かろうとそんなことはもうどうでもいい! こんな良い人を殺すのは間違っている!」
するとその時、仲間の一人がリーダーに体当たりを喰らわせた。
リーダー:
「うっ!」
倒れ込むリーダー。そのリーダーへと体当たりをかました仲間の一人が叫ぶ。
暗殺者4:
「俺もヘンリーの言う通りだと思う!」
ヘンリー:
「ロン!」
ロン:
「ヘンリー、カイ様をお守りするぞ!」
ヘンリー:
「っ、ああ!」
そしてヘンリーとロンがカイを守るように立ち塞がる。
暗殺者達が二つに分かれ、一触即発の状況の中、カイは全く理解が出来ていなかった。
カイ:
「あのさ、どういうことなの!?」
ヘンリー:
「カイ様、いいからお下がりください! ここは我々が―――」
その時だった。
エイラ:
「その必要はありません」
カイ:
「っ、エイラか!」
カイが視線を向けるとエイラとイデア、ランが風の絨毯に乗ってシールドの境界線に姿を現していた。
イデア:
「カイ、無事ですか!」
カイ:
「いや無事だけどこりゃどういう……。ていうか、もしかして皆風呂から上がったばっかりか? その、あれだ、皆髪濡れてるぞ」
カイの言う通りイデア達の髪は濡れており、さらに頬は上気している。イデアの顔に張りついた髪の毛に色気を感じたカイは、頬を少し染めて視線を逸らしていた。
エイラ:
「何悠長な事言っているんですか」
自分が暗殺されそうになっていることに気付かず、そんな他愛もないことを言ってのけるカイにエイラがため息交じりに呟く。
そんな中、エイラの登場にリーダー達は慌てふためいていた。
リーダー:
「や、やべえ、逃げるぞ!」
エイラの登場で暗殺者達は失敗を悟ったのだ。カイの横を颯爽と駆けて逃げようとする暗殺者達。だが、それを阻むように突如目の前に炎の壁が出現した。
ダリル:
「逃げられると思うなよ」
そしてその炎の中からダリルが現れた。いつの間にかシールドを出て後ろに回っていたのだ。さらに左右からはミーアとコルン、メリルが暗殺者を囲んでいる。
リーダー:
「……駄目だ。もう逃げ場が、ない」
そう言ってリーダーがナイフを地面へ放り投げて手を挙げた。降参したのである。リーダーが降参したのを見て仲間達が次々と武器を放棄して手を挙げていく。
それを見てヘンリーとロンは安堵の息をついた。そして手元から武器を放棄していく。
とりあえず事態が終息へ向かったのを理解して、エイラは全員に声をかけた。
エイラ:
「とりあえず、シールドの中に入りましょうか。ダリルの火に魔物が寄ってきますから」
エイラの提案を呑まない人はその場にいなかった。
………………………………………………………………………………
カイ:
「で、どういうことなんだ?」
シールドの中に入って、元の場所に戻ってからカイが尋ねる。カイはまだ分かっていなかったのだ。その質問にはヘンリーが答えた。ちなみに暗殺者達はヘンリーとロンも含め全員がエイラの作った魔法拘束具で捕らえられている。
ヘンリー:
「カイ様は王族と呼ばれていますが、魔力や何もかも王族のそれとは違いました」
カイ:
「何もかも!?」
ヘンリー:
「そんな人を王族として慕うことは私達には出来ませんでした。そしていつしか暗殺計画が立てられたのです」
カイ:
「あ、暗殺ぅ!?」
カイはようやく自分が暗殺されそうになったことに気付いたのだった。
カイ:
「おれ、暗殺されそうだったの!?」
エイラ:
「いっそ、暗殺されればよかったんじゃありません? 来世に期待しましょうよ。来世は魔力が使えるかもしれませんよ」
カイ:
「死を進めるのやめて!?」
カイ達の茶番を無視して、ですが、とヘンリーが言葉を続ける。
ヘンリー:
「ですがカイ様は王族かどうかはおいといて、とても優しい方だということが今回の件で分かりました」
カイ:
「だからおれを守ったのか」
イデア:
「よく、カイを守ってくださいました。本当にありがとうございます」
イデアが深々とヘンリーとロンに頭を下げる。だが、二人は慌てて首を横に振った。
ロン:
「私達に礼などやめてください。所詮私達はカイ様を殺そうとしました。カイ様を守った程度でこの罪は消えません」
やがて、ヘンリーとロンが膝をついてイデアよりさらに深々と頭を下げた。
ヘンリー&ロン:
「本当に申し訳ありませんでした。私達は牢に入ります」
カイ:
「……」
謝罪を受けて、カイは何やら腕を組んで悩んでいた。
カイ:
「んー……」
イデア:
「カイ、どうしたの?」
カイ:
「いや、ちょっとな。……よし、決めた!」
すると、カイが笑顔でヘンリーとロンへと声を発した。
カイ:
「ヘンリーとロンだっけか、おまえ達に兵士見習いの役職を与える!」
ヘンリー&ロン:
「……え?」
罵倒を浴びせられるものだと思っていた二人は、思わず顔を上げて驚いていた。一方カイは目を閉じて頷きながら話を続けている。
カイ:
「悪いけど、おれ達これから行かなきゃいけないところあるから、そいつらをレイデンフォートまで連れて行けないんだ。だからおまえ達に命じる! そいつらをレイデンフォート城まで連れて行ってくれ!」
ヘンリー:
「なっ、しかし、我々は……!」
カイ:
「おまえ達は見た目で人を判断してはいけないと分かったんだろ? 相手の中身を見て判断できたんだろ? 仲間を裏切ってまで自分の正義を貫いたんだ。もうあんた達は大丈夫! きっといい兵士になれるさ!」
カイの言葉にヘンリーとロンは言葉を失っており、エイラはため息をついていた。
エイラ:
「まったく、カイ様は甘いですね」
カイ:
「悪いが譲らんぞ。それに、おれ達がレイデンフォートに戻れないのも事実だろ」
エイラ:
「別に悪いと言ってません。今回は特に意見もありませんし」
カイ:
「いつも意見がなければいいんだけど」
エイラ:
「それは無理ですよ。カイ様の発言一つ一つに私は文句がありますから」
カイ:
「一つ一つ!?」
驚くカイを無視してエイラがヘンリーとロンに話しかける。
エイラ:
「あの方達にかけた魔法は《スネークリング》と言って、万が一無理やりそれを外した場合そのままこの世とおさらばになる魔法です。ですので逃げようとはしないと思いますが一応は気を付けてください。そして城に戻ったらこのことをゼノ様に起こった出来事を報告してください」
ロン:
「ゼノ様、にですか?」
エイラ:
「はい。あの人、会おうと思ったら会えますから」
カイ:
「王とは思えないな」
エイラ:
「ゼノ様なら分かってくれるでしょうから、兵士見習いとして雇ってくれるかもしれません。まぁ、元の仕事がいいならそちらでもいいですけど。あ、間違ってもライナス様とデイナ様には見つからないように。見つかっても適当にはぐらかすのですよ。分かりましたか?」
ヘンリー&ロン:
「わ、分かりました……!」
長く喋ったエイラにカイがため息をつく。
カイ:
「おまえはお母さんか」
エイラ:
「そこまでうるさく言った覚えはないのですが。全て必要な情報ですよ」
ようやく話が終わってカイ達は一息つく。
カイ:
「とりあえず、まだ夜だからヘンリー達も出発は明日の早朝だな」
エイラ:
「あの方達は魔法で作った牢にでも放り込んでおきましょう」
ダリル:
「じゃ、男性陣はお風呂でも入ってくるか」
カイ:
「そうだな」
そう言ってカイとダリル、コルンが立ち上がる。すると、カイがまだ膝をついているヘンリーとロンへと声をかけた。
カイ:
「ほら、二人共行くぞ」
ヘンリー:
「え、私達もですか?」
カイ:
「何言ってんだ、当たり前だろ? おまえ達がいなきゃおれは今頃死んでたんだ。むしろこれくらいじゃ返せない借りがあるわけだし」
ヘンリー:
「そんな。むしろ私達の方が返せない借りがあります。本当に今回はすみませんでした」
そうやって再び頭を下げようとする二人だったが、その襟をダリルが掴んでそのまま立たせる。ダリルは笑顔で二人に言った。
ダリル:
「ほら、カイがいいって言ってるんだ。さっさと行こう。私も早くお風呂に入りたいんだ。」
ヘンリー&ロン:
「え、ちょっ、ちょっと!」
そうして、男性陣(ヘンリーとロンを含む)は風呂に入り、その後就寝の時間になった。周囲の見張りは男性陣の誰かがやることになり、ダリルは手綱を引いてもらうから除き、ヘンリーとロンにもレイデンフォート王国へ向かう途中で眠ってしまわないように寝てもらった。結局残ったカイとコルンが見張り番となった。
カイ:
「王子すらも見張り番にするなんてな。平等に扱うのは良い事だと思うけど、おれの場合はむしろ下に見られている気がしなくもないのは何故だろう」
カイがほんの少しの悲しさと共に独り言ちていると、コルンがボソッと呟いた。
コルン:
「……貴様はなかなかいい奴のようだ」
カイ:
「なんだ、今更気付いたのかよ」
コルン:
「どうやら民に慕われているらしいな」
カイ:
「おいおい、暗殺未遂とはいえ実行されているんだぜ? 慕われているとか嫌味かよ」
苦笑してカイが返すが、コルンは本当に感心していた。
コルン:
「今回、貴様が直接何かしたわけではないのだろう。だが、それでも貴様は民の心を変えた。それは人の上に立つ者には必要な才能だ。そういう者でないと民はついていかない」
コルンの言葉に照れたようで、カイは頬を掻いていた。
カイ:
「そんなおだてんなよ。おれはまだそんな人間じゃないよ。でも、いつかそうなれればいいなとは思ってるけど」
コルン:
「……なれるさ、カイならな」
そして二人に沈黙が流れる、と思ったがカイが首を傾げた。
カイ:
「……あれ、今、初めて名前で呼んでくれた?」
コルン:
「気のせいだ」
カイが嬉しそうにコルンの方を見るが、コルンはカイと目を合わせようとはしない。
カイ:
「なんだよー、照れんなよ!」
コルン:
「別に照れてなどいない!」
カイがコルンの肩に手を置いては、コルンがそれを払う。それを何度も繰り返していた。
じゃれ合うカイとコルン。少し二人の仲が深まった夜だった。
暗殺者1:
「おい、どうすんだよ! こんなシールドがあったんじゃ奴に近づけねえだろ!」
リーダー:
「こっちだってこれは想定外なんだよ!」
リーダーが喚き散らす。それを見て仲間はそれぞれ不安そうな面持ちだった。
この暗殺集団、計画があまりに稚拙だったのであった。
暗殺者2:
「何て作戦だよ! こんなんならついてくるんじゃなかったぜ!」
リーダー:
「何だと!? てめぇ調子に乗んじゃ―――」
リーダーと仲間達が喧嘩になりそうなその時だった。
???:
「おーい、おまえら。何やってんだー」
その声に暗殺者達は思わず体を固めてしまう。そしてゆっくりとその声の聞こえた空中へ視線を向けた。そこには彼らのターゲットであるカイが浮かんでいたのだ。
カイはシールドを挟んで彼らの目の前まで下りてくる。
カイ:
「おまえら、レイデンフォートの国民か? 何か困ってるなら助けるけど。ああ、そっか、このシールドが邪魔なんだな。今おれがエイラに解除してきてもらってくるわ」
固まっている暗殺者達をおいて、カイが一人で勝手に納得してエイラの元へ向かおうとする。それに気づいたリーダーが慌ててカイへと声をかけた。
リーダー:
「あ、あの!」
カイ:
「ん?」
カイが声をかけられて後ろを振り向く。本当はその手に持っている剣はなんだ、とか魔力ないのにどうして空から、とか色々疑問があったのだが、エイラの元に戻られるのはマズいのだ。彼らにとって今の状況は千載一遇のチャンスであった。
どうやってシールドからカイを出そうか考えていた時、カイが険しい顔で彼らへと視線を向けていた。
カイ:
「てかさ、さっきからおまえ達なんか殺気飛ばし過ぎじゃね?」
暗殺者達:
「っ!」
カイの言葉に暗殺者達はどよめいた。
リーダー:
「(こいつ、馬鹿王子だと思っていたが、出来る奴なのか……!)」
カイ:
「ここに来る前に何かに襲われたのか? おれは敵じゃないから安心しろ」
リーダー:
「(前言撤回、ただの馬鹿王子だ)」
暗殺者達は安堵して思考を巡らす。そしてようやくいい考えが思いついたのかリーダーが前に出た。
リーダー:
「実はそうなんです。森で魔物に襲われまして負傷者が……。しかし我々だけでは背負って移動できる人数ではなく、手を貸してくれる人を探していたんです」
魔物に襲われて、人に殺意を向ける人などいるだろうか。仲間達の頭に同じような疑問が浮上したが、カイには浮上しなかったらしい。
カイ:
「まじでか!? じゃあ、ちょっと待ってろ! 今もう少し人数を呼んでくる!」
リーダー:
「あ、ま、待ってください! ちょうどあと一人いれば全員運べたんです! ですので、あなたのお力をお貸しいただければ!」
そんな都合のいい話があるだろうか。そう仲間達の頭に疑問が浮かぶ。そもそもの話に無理があるのだ。だが、その無理にもカイは気付かない。
カイ:
「分かった! どこだ!」
そうしてカイは見事にリーダーの思惑通りシールドの外に出た。そしてそのまま暗殺者達の横を通って前に出る。背中ががら空きだった。
その瞬間をリーダーは見逃さない。リーダーはナイフを取り出してカイの頭部めがけて振り下ろした。
………………………………………………………………………………
それはイデア達がお風呂を満喫していた時だった。突然エイラが勢いよく立ち上がったのだ。
ミーア:
「んー、どうしたの、エイラ? もしかしてまたお兄ちゃんが近くにいるのー?」
完全にだらけきったミーアがエイラに尋ねる。だが、エイラの表情は厳しいものだった。
エイラ:
「カイ様がシールドから出ました……!」
イデア&ミーア&ラン&メリル:
「っ!」
突然のことに全員動揺が隠せないでいた。
ミーア:
「何で!? どういう理由で!?」
エイラ:
「分かりません。ですが、このシールドは中から出れても外からは入れないので、どっちにしても向かう必要があります。しかし、カイ様もそのことは分かっているはずなんですが馬鹿なんですかね。ていうか馬鹿でした」
イデア:
「とにかく、カイの元へ急ぎましょう! 何か嫌な予感がします!」
イデアがさっさと風呂を出て服を着る。そしてすごい剣幕でエイラに尋ねた。
イデア:
「カイはどこから出たんですか!」
エイラ:
「え、えっと、あちらです」
イデア:
「カイ、今行きます!」
エイラの指さした方向へとイデアが走り出す。慌ててエイラとランがその後を追った。その途中エイラが振り返ってミーア達へと叫ぶ。
エイラ:
「ミーア様達はダリルに伝えてください! もしかしたら思ったより大事かもしれません!」
ミーア:
「わ、分かった!」
メリル:
「行こう!」
そしてミーアとメリルはダリル達の元へと足を向けた。
………………………………………………………………………………
ダリルとコルンは今がどんな状況なのか知るはずもなく二人で戦っていた。未だコルンの手にはセインらしき武器は握られていない。
ダリルが息を切らしながらコルンへと話しかける。
ダリル:
「セイン無しでこの力……。まだセインを使わないおつもりですか?」
コルン:
「いいえ、そろそろ使おうと思っていました。間違いなく今のままでは勝てないですからね」
そう言うと、コルンは自分の胸に手を伸ばした。その瞬間、まばゆい光がコルンの胸から放たれ、そこからコルンが何かを引き抜く。すると、コルンの手には赤黒いナイフのような短剣が握られていた。
それを見てダリルが感心するように呟く。
ダリル:
「それがあなたの……」
コルン:
「はい。ランから頂いたものです」
コルンがその短剣を構える。ダリルも嬉しそうに剣を構えていた。
コルン:
「では、本気で行きます!」
ダリル:
「望むところです!」
そして、両者が激突する瞬間だった。二人に声がかけられたのだ。
ラン:
「コルン! ダリル! 」
コルン:
「ん、なんだ、今ちょうどいい―――」
ミーア:
「お兄ちゃんに何かあったみたい!」
ダリル:
「何だと!?」
突然の事態にまったくわけがわからないダリルとコルン。
コルン:
「ダリルさん、どうやら……」
ダリル:
「はい、手合わせは終わりのようですね」
二人は頷き合うと、急いでミーア達の元へと駆け寄った。
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カイは自分へと迫っている凶刃に一切気が付いていなかった。そしてリーダーのナイフがカイへと到達するその瞬間、別のナイフがそれを阻んだ。甲高い金属同士がぶつかる音が鳴り響き、カイは後ろを振り返った。
カイ:
「え、なに!?」
カイが後ろを振り返って驚いていた。何故か目の前で仲間同士がナイフで鍔迫り合いをしていたのだ。凶刃を防いだのは暗殺者の一人だったのである。
リーダー:
「何故邪魔をする!」
暗殺者3:
「ようやく気が付いたよ! 俺達のやろうとしていることは間違っている!」
リーダー:
「何を言っている! さっきまで共に殺そうとしていたじゃないか!」
カイを助けた暗殺者は一瞬その言葉に怯んだが、すぐに強い意志の灯った目でリーダーを睨んだ。
暗殺者3:
「確かにさっきまでは殺そうとしていた。だがな! この人は俺達の言っていることを一切疑わず助けようとしてくれたんだ! この人が王子だろうと違かろうとそんなことはもうどうでもいい! こんな良い人を殺すのは間違っている!」
するとその時、仲間の一人がリーダーに体当たりを喰らわせた。
リーダー:
「うっ!」
倒れ込むリーダー。そのリーダーへと体当たりをかました仲間の一人が叫ぶ。
暗殺者4:
「俺もヘンリーの言う通りだと思う!」
ヘンリー:
「ロン!」
ロン:
「ヘンリー、カイ様をお守りするぞ!」
ヘンリー:
「っ、ああ!」
そしてヘンリーとロンがカイを守るように立ち塞がる。
暗殺者達が二つに分かれ、一触即発の状況の中、カイは全く理解が出来ていなかった。
カイ:
「あのさ、どういうことなの!?」
ヘンリー:
「カイ様、いいからお下がりください! ここは我々が―――」
その時だった。
エイラ:
「その必要はありません」
カイ:
「っ、エイラか!」
カイが視線を向けるとエイラとイデア、ランが風の絨毯に乗ってシールドの境界線に姿を現していた。
イデア:
「カイ、無事ですか!」
カイ:
「いや無事だけどこりゃどういう……。ていうか、もしかして皆風呂から上がったばっかりか? その、あれだ、皆髪濡れてるぞ」
カイの言う通りイデア達の髪は濡れており、さらに頬は上気している。イデアの顔に張りついた髪の毛に色気を感じたカイは、頬を少し染めて視線を逸らしていた。
エイラ:
「何悠長な事言っているんですか」
自分が暗殺されそうになっていることに気付かず、そんな他愛もないことを言ってのけるカイにエイラがため息交じりに呟く。
そんな中、エイラの登場にリーダー達は慌てふためいていた。
リーダー:
「や、やべえ、逃げるぞ!」
エイラの登場で暗殺者達は失敗を悟ったのだ。カイの横を颯爽と駆けて逃げようとする暗殺者達。だが、それを阻むように突如目の前に炎の壁が出現した。
ダリル:
「逃げられると思うなよ」
そしてその炎の中からダリルが現れた。いつの間にかシールドを出て後ろに回っていたのだ。さらに左右からはミーアとコルン、メリルが暗殺者を囲んでいる。
リーダー:
「……駄目だ。もう逃げ場が、ない」
そう言ってリーダーがナイフを地面へ放り投げて手を挙げた。降参したのである。リーダーが降参したのを見て仲間達が次々と武器を放棄して手を挙げていく。
それを見てヘンリーとロンは安堵の息をついた。そして手元から武器を放棄していく。
とりあえず事態が終息へ向かったのを理解して、エイラは全員に声をかけた。
エイラ:
「とりあえず、シールドの中に入りましょうか。ダリルの火に魔物が寄ってきますから」
エイラの提案を呑まない人はその場にいなかった。
………………………………………………………………………………
カイ:
「で、どういうことなんだ?」
シールドの中に入って、元の場所に戻ってからカイが尋ねる。カイはまだ分かっていなかったのだ。その質問にはヘンリーが答えた。ちなみに暗殺者達はヘンリーとロンも含め全員がエイラの作った魔法拘束具で捕らえられている。
ヘンリー:
「カイ様は王族と呼ばれていますが、魔力や何もかも王族のそれとは違いました」
カイ:
「何もかも!?」
ヘンリー:
「そんな人を王族として慕うことは私達には出来ませんでした。そしていつしか暗殺計画が立てられたのです」
カイ:
「あ、暗殺ぅ!?」
カイはようやく自分が暗殺されそうになったことに気付いたのだった。
カイ:
「おれ、暗殺されそうだったの!?」
エイラ:
「いっそ、暗殺されればよかったんじゃありません? 来世に期待しましょうよ。来世は魔力が使えるかもしれませんよ」
カイ:
「死を進めるのやめて!?」
カイ達の茶番を無視して、ですが、とヘンリーが言葉を続ける。
ヘンリー:
「ですがカイ様は王族かどうかはおいといて、とても優しい方だということが今回の件で分かりました」
カイ:
「だからおれを守ったのか」
イデア:
「よく、カイを守ってくださいました。本当にありがとうございます」
イデアが深々とヘンリーとロンに頭を下げる。だが、二人は慌てて首を横に振った。
ロン:
「私達に礼などやめてください。所詮私達はカイ様を殺そうとしました。カイ様を守った程度でこの罪は消えません」
やがて、ヘンリーとロンが膝をついてイデアよりさらに深々と頭を下げた。
ヘンリー&ロン:
「本当に申し訳ありませんでした。私達は牢に入ります」
カイ:
「……」
謝罪を受けて、カイは何やら腕を組んで悩んでいた。
カイ:
「んー……」
イデア:
「カイ、どうしたの?」
カイ:
「いや、ちょっとな。……よし、決めた!」
すると、カイが笑顔でヘンリーとロンへと声を発した。
カイ:
「ヘンリーとロンだっけか、おまえ達に兵士見習いの役職を与える!」
ヘンリー&ロン:
「……え?」
罵倒を浴びせられるものだと思っていた二人は、思わず顔を上げて驚いていた。一方カイは目を閉じて頷きながら話を続けている。
カイ:
「悪いけど、おれ達これから行かなきゃいけないところあるから、そいつらをレイデンフォートまで連れて行けないんだ。だからおまえ達に命じる! そいつらをレイデンフォート城まで連れて行ってくれ!」
ヘンリー:
「なっ、しかし、我々は……!」
カイ:
「おまえ達は見た目で人を判断してはいけないと分かったんだろ? 相手の中身を見て判断できたんだろ? 仲間を裏切ってまで自分の正義を貫いたんだ。もうあんた達は大丈夫! きっといい兵士になれるさ!」
カイの言葉にヘンリーとロンは言葉を失っており、エイラはため息をついていた。
エイラ:
「まったく、カイ様は甘いですね」
カイ:
「悪いが譲らんぞ。それに、おれ達がレイデンフォートに戻れないのも事実だろ」
エイラ:
「別に悪いと言ってません。今回は特に意見もありませんし」
カイ:
「いつも意見がなければいいんだけど」
エイラ:
「それは無理ですよ。カイ様の発言一つ一つに私は文句がありますから」
カイ:
「一つ一つ!?」
驚くカイを無視してエイラがヘンリーとロンに話しかける。
エイラ:
「あの方達にかけた魔法は《スネークリング》と言って、万が一無理やりそれを外した場合そのままこの世とおさらばになる魔法です。ですので逃げようとはしないと思いますが一応は気を付けてください。そして城に戻ったらこのことをゼノ様に起こった出来事を報告してください」
ロン:
「ゼノ様、にですか?」
エイラ:
「はい。あの人、会おうと思ったら会えますから」
カイ:
「王とは思えないな」
エイラ:
「ゼノ様なら分かってくれるでしょうから、兵士見習いとして雇ってくれるかもしれません。まぁ、元の仕事がいいならそちらでもいいですけど。あ、間違ってもライナス様とデイナ様には見つからないように。見つかっても適当にはぐらかすのですよ。分かりましたか?」
ヘンリー&ロン:
「わ、分かりました……!」
長く喋ったエイラにカイがため息をつく。
カイ:
「おまえはお母さんか」
エイラ:
「そこまでうるさく言った覚えはないのですが。全て必要な情報ですよ」
ようやく話が終わってカイ達は一息つく。
カイ:
「とりあえず、まだ夜だからヘンリー達も出発は明日の早朝だな」
エイラ:
「あの方達は魔法で作った牢にでも放り込んでおきましょう」
ダリル:
「じゃ、男性陣はお風呂でも入ってくるか」
カイ:
「そうだな」
そう言ってカイとダリル、コルンが立ち上がる。すると、カイがまだ膝をついているヘンリーとロンへと声をかけた。
カイ:
「ほら、二人共行くぞ」
ヘンリー:
「え、私達もですか?」
カイ:
「何言ってんだ、当たり前だろ? おまえ達がいなきゃおれは今頃死んでたんだ。むしろこれくらいじゃ返せない借りがあるわけだし」
ヘンリー:
「そんな。むしろ私達の方が返せない借りがあります。本当に今回はすみませんでした」
そうやって再び頭を下げようとする二人だったが、その襟をダリルが掴んでそのまま立たせる。ダリルは笑顔で二人に言った。
ダリル:
「ほら、カイがいいって言ってるんだ。さっさと行こう。私も早くお風呂に入りたいんだ。」
ヘンリー&ロン:
「え、ちょっ、ちょっと!」
そうして、男性陣(ヘンリーとロンを含む)は風呂に入り、その後就寝の時間になった。周囲の見張りは男性陣の誰かがやることになり、ダリルは手綱を引いてもらうから除き、ヘンリーとロンにもレイデンフォート王国へ向かう途中で眠ってしまわないように寝てもらった。結局残ったカイとコルンが見張り番となった。
カイ:
「王子すらも見張り番にするなんてな。平等に扱うのは良い事だと思うけど、おれの場合はむしろ下に見られている気がしなくもないのは何故だろう」
カイがほんの少しの悲しさと共に独り言ちていると、コルンがボソッと呟いた。
コルン:
「……貴様はなかなかいい奴のようだ」
カイ:
「なんだ、今更気付いたのかよ」
コルン:
「どうやら民に慕われているらしいな」
カイ:
「おいおい、暗殺未遂とはいえ実行されているんだぜ? 慕われているとか嫌味かよ」
苦笑してカイが返すが、コルンは本当に感心していた。
コルン:
「今回、貴様が直接何かしたわけではないのだろう。だが、それでも貴様は民の心を変えた。それは人の上に立つ者には必要な才能だ。そういう者でないと民はついていかない」
コルンの言葉に照れたようで、カイは頬を掻いていた。
カイ:
「そんなおだてんなよ。おれはまだそんな人間じゃないよ。でも、いつかそうなれればいいなとは思ってるけど」
コルン:
「……なれるさ、カイならな」
そして二人に沈黙が流れる、と思ったがカイが首を傾げた。
カイ:
「……あれ、今、初めて名前で呼んでくれた?」
コルン:
「気のせいだ」
カイが嬉しそうにコルンの方を見るが、コルンはカイと目を合わせようとはしない。
カイ:
「なんだよー、照れんなよ!」
コルン:
「別に照れてなどいない!」
カイがコルンの肩に手を置いては、コルンがそれを払う。それを何度も繰り返していた。
じゃれ合うカイとコルン。少し二人の仲が深まった夜だった。
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