バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

文字の大きさ
上 下
129 / 205

128 試練⑬

しおりを挟む
 フード姿の男は全部で4人。

 バス停に近づくと、男たちが動き出し、僕を取り囲んだ。

 ほかに客はなかった。

 僕はさっき見たサイトの投稿を思い出した。

 ーきょうは貸切や。やりたい放題だぜー

 公営のバスを貸し切るなんてこと、はたして可能なのだろうか。

 あるいは、これから来るのは、市バスに擬態した、希京が差し向けた”私バス”とでもいうべきものなのだろうか。

 僕を囲んだ男たちは無言だった。

 一言もしゃべらず、コートの裾をめくって、中に手を入れて来た。

 ひと呼吸遅れて、他の三人の手も伸びる。

 胸を、下腹を、尻を、撫でられた。

 不思議と嫌悪感はなかった。

 むしろ、気持ちいいとさえ、いえた。

 身体があの時の愉楽を覚えているのかもしれなかった。

 希京の家と、帰りの痴漢バスでの経験。

 その後、別の日に、訪れたヨミに躰をまさぐられ、逝かされたことー。

 そんな経験が、明らかに僕を変えつつあった。

 快感に筋肉が収縮しー。

 躰を弄られる感触に、危うく吐息が漏れそうになる。

 そのうちに、ひとりがサッとてをひっこめた。

 驚いたような眼で、僕の顏を覗き込む。

 仕掛けに気づいたのだ。

 ふたつの乳首と陰茎の裏に装着された、ミニローターの存在に。

 むろん、本当はもう一つ、肛門に差し込まれたアナルスティックもあるのだが・・・。

 僕の躰から手を引き、フードの下の顔を見合わせる男たち。

 その目に、ケダモノめいた光が浮かぶ。

 と。

 そこへ、ブレーキ音を響かせて、バスがやってきた。

 見上げると、窓から鈴なりになった乗客たちが、僕を見下ろしていた。

 予想通りだった。

 全員男で、黒いフード付きのコートを着ているようだ。

 ”快楽の園”

 中世ヨーロッパの有名画家の絵画のタイトルが頭に浮かんだ。

 そう。

 このバスは紛れもなく、僕にとっての”快楽の園”なのだ・・・。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...