バナナの皮を剥くように ～薔薇色の少年～

126 試練⑪

　画面に映し出されているのは、どうやら痴漢たちの集まる闇サイトの会話のようだ。

　しかも、男専門の、ゲイサイト、である。

　これも希京の仕業だということは、十分に考えられる。

　もしかして、あのバスの痴漢の常連たちは、こうして、SNSで希京が募ったのかも･･･。

　おぞましい想像だった。

　見ず知らずの変質者たちに課し切られた市営バスー。

　そんなものに、乗らねばならないとは。

　しかも、この恰好で。

　４か所の性感帯にそれぞれ性具を装着し、バイブレーターの振動が絶えず与える快感に耐えながら･･･。

　なのに、不思議と嫌悪感は感じない。

　いや、それどころかー。

　正直に白状すると、文字を追うにつれ、僕はすさまじく興奮し始めていた。

　過去ログにさかのぼるにつれ、明らかにヨミが犠牲になったあの行きのバス、そしてその帰りのバスで僕自身が生贄にされた時のものと思われる会話が、今もなお克明に残っていることに気づかされたからである。

　－あのアルビノのかわい子ちゃんに、もう一回、出させたいー

　ああ、あの時だ。

　痴漢たちに囲まれて裸に剥かれたヨミが、乳首を弄られ、股間を弄られた挙句、射精しながら僕の膝の上に崩れ落ちた、あの時･･･。

　そして次のこれはー。
　
　ーワイの好みはあの細マッチョのほうや。やつのバナナ、勃起させて思いっきり扱き捲りたいー

　乳首と股間に、何者かの手の感触が生々しくよみがえった。

　四方八方から伸びる痴漢たちの手が、筋肉を浮き彫りにした僕の全身を這い回りー。

　皮を剥かれた亀頭に指が･･･。

　最初はひりつく痛み。

　でもそれが、汁が溢れてコーティングされるにしたがって、得も言われぬ快感に変わり･･･。

　ひくついてしまう、

　まるで、バナナの皮を剥くように、亀頭を根元まで剥き出しにされて･･･。

　けれどその指は、仮性包茎の亀頭を扱いなれているのかー。

　い、いい･･･。

　ああ、そこ、弱いのに･･･。

　文字が喚起するイメージに、性具から来る快感が合わさって、僕は束の間、陶然となるー。