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105 耐え難き誘惑⑮
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家じゅうを探索して、ヨミは必要なものをすべてそろえてきた。
「さすが躰が武器だった和夫ママだね。剃毛の道具、全部持ってたよ」
「なんだよ、それ」
むっとして睨み返すと、
「別に悪い意味じゃないよ。死んだ僕のママとおんなじさ。さぞかしきれいで色っぽい女性だったんだろうね」
「ただのクズさ」
僕は吐き捨てた。
「18歳の息子を持つ女が、ラブホで顧客にサービス中、腹上死だなんて、ふつう、ありえないだろ?」
「まあ、でも、うちのママも似たようなものだったけどね。いい年してホストに入れあげ、夫に家を追い出されて挙句の果ては電車に飛び込み自殺。お互い、やれやれだな」
「そうなのか」
「ああ。それがママの最期。悲惨なんてものじゃない」
「だからおまえは・・・」
男が好きになったのか?
そう訊こうとして、思いとどまった。
それはブーメランのように自分自身にも返ってくる、微妙な問いでもあるからだ。
「さあ、そんなことより、早くやろう。お風呂場は狭すぎるから、場所はここでいいかな。床にビニールシートを敷けば、大丈夫だよね。あ、その前に」
ヨミの顏に悪戯っぽい表情が浮かんだ。
「その前に、何?」
「僕も脱ぐよ」
パンツの前ボタンに右手をやり、ヨミがにっと笑った。
「服が濡れちゃうと面倒だからね。全裸になって、君のあそこの毛を剃ることにする」
「さすが躰が武器だった和夫ママだね。剃毛の道具、全部持ってたよ」
「なんだよ、それ」
むっとして睨み返すと、
「別に悪い意味じゃないよ。死んだ僕のママとおんなじさ。さぞかしきれいで色っぽい女性だったんだろうね」
「ただのクズさ」
僕は吐き捨てた。
「18歳の息子を持つ女が、ラブホで顧客にサービス中、腹上死だなんて、ふつう、ありえないだろ?」
「まあ、でも、うちのママも似たようなものだったけどね。いい年してホストに入れあげ、夫に家を追い出されて挙句の果ては電車に飛び込み自殺。お互い、やれやれだな」
「そうなのか」
「ああ。それがママの最期。悲惨なんてものじゃない」
「だからおまえは・・・」
男が好きになったのか?
そう訊こうとして、思いとどまった。
それはブーメランのように自分自身にも返ってくる、微妙な問いでもあるからだ。
「さあ、そんなことより、早くやろう。お風呂場は狭すぎるから、場所はここでいいかな。床にビニールシートを敷けば、大丈夫だよね。あ、その前に」
ヨミの顏に悪戯っぽい表情が浮かんだ。
「その前に、何?」
「僕も脱ぐよ」
パンツの前ボタンに右手をやり、ヨミがにっと笑った。
「服が濡れちゃうと面倒だからね。全裸になって、君のあそこの毛を剃ることにする」
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