バナナの皮を剥くように ～薔薇色の少年～

104 耐え難き誘惑⑭

「う･･･」

　僕は絶句し、恥辱で耳朶まで赤くなった。

　確かにそうだった。

　あの時ー。

　実父希京の邸宅の居間で、僕は全裸になることを強要され、あまつさえ犬の恰好さえ、させられて･･･。

　躰を点検すると称して下半身を弄られた挙句、肛門に指を挿入されて快感のあまり射精し失神したあの日･･･。

　どっちに言われたのだっただろう？

　希京か、ヨミか。

　家に帰ったら、剃毛しておくように、と。

　どちらかにそう、確かに言われた気がする･･･。

　言われてみれば、ヨミの言う通りだった。

　僕の股間は、汚らしい陰毛の叢と化している。

　マネキン人形のそれのような、ツルスベのヨミの股間とは大違いだ。

　こんなごわごわの剛毛の中、ヨミみたいに肌の弱いアルビノにフェラさせるのは、ほとんど拷問に近い。

「そ、剃るよ」

　うなだれ、僕は小声でつぶやいた。

「どうしたら、いい？」

「じゃあ、さっそくやろうか。今から」

　あっけらかんとした口調で、ヨミが言った。

「僕が手伝ってあげる。剃刀がなければ、近くのコンビニで買って来ればいい」