闇の記憶

姫川 林檎

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記憶喪失の少年

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今日から春陽に家事をお願いする。
いつもはしなきゃいけない家事をしなくていい分時間に余裕がある、早く店に行って手伝えばいいのだがもう少し春陽と一緒に居たい。しかし、春陽は仕事がある一緒に手伝いたいが任せたので邪魔をする訳には行かないだろう。

俺は仕方なく春陽に任せて後ろ髪を思いっ切り引かれながら店に向かう。店では常連さん達が飲み物を買いに来てくれていた。

「あれ?店長今朝は早いじゃんどうしたです?洗濯干すの忘れてない?」

「忘れてませんよ。今日からは春陽が洗濯してくれるので早く入れる様になったんです。」

「そのわりには機嫌が悪いじゃん。」
「春陽君と一緒に居れないからじゃない?」
「はるひ君って誰です?」
「店長の新しい家族だよ。」
「結婚したの!?」
「してないらしい。」
「未だ子供だって聞いたよ。」
「ロリコンだ!」
「Ωの男の子だって」
「じゃあ!ショタだ!」
「その子を囲んでいるの!?」
「えっ!それって・・。」

「「「「「犯罪だよね♪お巡りさ~ん」」」」」

「皆さん楽しそうですね・・・。好き勝手言って朝の珈琲の販売止めようかなぁ?」

「「「「「わぁ!すいませんでした!止めないで!!」」」」」

「ったく。やめませんよ。俺で遊ぶからです・・・はい、お待たせしました。さっさと会計して仕事行ってください。」

まったく皆で遊びやがって。確かに春陽と一緒に居れなくて顔に出てたかも知れないけど・・・。
今日はじぃさんが休みだからいつもなら俺は家事をしてから入る為駿二がマシンのみの提供だが、今日からは俺も早く入れるのでマシン以外のも飲めるを理解した常連は嬉しそうだ。マシンでもマシンに合わせて豆を焙煎しているし、このマシンは俺が探し回ってやっと見つけた奴なのでこれはこれで美味しいが話は別である。

朝から面倒な常連の相手をするのは勘弁して欲しいが、どこか嬉しそうに出て行く常連を見ていると一寸は嬉しく思うのも確かにある。


やっと昼休みだ。誰かが休みだとやっぱり一寸大変だなぁ、けど忙しいのはランチタイムだけだしなぁ。新しい子を入れるのもなぁどうしようかね。高校生じゃ意味なし大学生も毎日は無理だし・・・。

人員をどうしようかと悩みながら母屋に戻るとソファで春陽はレシピ本を見ていた。

「ただいま。」

「お帰りなさい。」

「洗濯は大丈夫そう?」

「はい、大丈夫です。・・・あっあの、今日は服だけでしたけど、シーツとはいいんですか?」

「大変じゃない?大丈夫なら天気のいい日はお願いしてもいいかな?」

「はい!あっでも・・・皆さんの部屋に入っても大丈夫ですか?」

「それは大丈夫だよ。じゃあお願いね。」

「はい。」

春陽は仕事が増えて嬉しそうだ。
これから体力が増えたら家事をもっとお願いするのもいいかもしれない。そうすれば俺も仕事に集中出来る、家事と仕事の両立は中々難しい。やろうと思えば家事はする事がいっぱい在るからなぁ・・・専業主婦は意外と忙しいそこに子育てが入れば自分の時間なんてないだろうから。

春陽は未だ未だ体力が無いから徐々に増やしていこう。

「今夜のメニュー決まった?」

「いえ、未だです。」

「そっか、けど無理して難しいのを作らなくていいからな?徐々に慣れて作るのが楽しくなってから挑戦すればいいから。」

「はい。・・・あの。」

「何?」

もじもじしている姿も可愛いなぁ。
何か足りない材料でもあるのかな?

「眞一さんは好き嫌いありますか?」

「俺?」

コク

ヤバイ少し頬を赤くして聞いて来るなんて何て愛らしいんだ!
今なら春陽が作ってくれたならゲテモノでも食べる自信がある!!

「ごほん。えっと、俺は基本的に好き嫌いはないから何でも食べれる。けど、好きな物と聞かれればやっぱり肉かな?野菜たっぷりの料理も嬉しいけど、肉が多いければテンション上がるかな。肉は牛も羊も鶏も好きだけど、1番好きなのは豚かな特に白身が好きだなぁ。」

「白身?」

「脂身の事だよ。甘くて美味しいから好きなんだよ。参考になった?」

「!・・・はい。」

何故そこで赤くなる!
春陽は日に日に可愛くなっているのは俺の気のせいではない気がする。これでは1人で買い物に行かせられないではないか!!許されるならどこかに春陽を閉じ込めて誰にも会わせたくない、だけどこの可愛い春陽を皆に見せつけたい!どうすればいいんだ!?


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