闇の記憶

姫川 林檎

文字の大きさ
上 下
23 / 35
記憶喪失の少年

23

しおりを挟む
今日から春陽に家事をお願いする。
いつもはしなきゃいけない家事をしなくていい分時間に余裕がある、早く店に行って手伝えばいいのだがもう少し春陽と一緒に居たい。しかし、春陽は仕事がある一緒に手伝いたいが任せたので邪魔をする訳には行かないだろう。

俺は仕方なく春陽に任せて後ろ髪を思いっ切り引かれながら店に向かう。店では常連さん達が飲み物を買いに来てくれていた。

「あれ?店長今朝は早いじゃんどうしたです?洗濯干すの忘れてない?」

「忘れてませんよ。今日からは春陽が洗濯してくれるので早く入れる様になったんです。」

「そのわりには機嫌が悪いじゃん。」
「春陽君と一緒に居れないからじゃない?」
「はるひ君って誰です?」
「店長の新しい家族だよ。」
「結婚したの!?」
「してないらしい。」
「未だ子供だって聞いたよ。」
「ロリコンだ!」
「Ωの男の子だって」
「じゃあ!ショタだ!」
「その子を囲んでいるの!?」
「えっ!それって・・。」

「「「「「犯罪だよね♪お巡りさ~ん」」」」」

「皆さん楽しそうですね・・・。好き勝手言って朝の珈琲の販売止めようかなぁ?」

「「「「「わぁ!すいませんでした!止めないで!!」」」」」

「ったく。やめませんよ。俺で遊ぶからです・・・はい、お待たせしました。さっさと会計して仕事行ってください。」

まったく皆で遊びやがって。確かに春陽と一緒に居れなくて顔に出てたかも知れないけど・・・。
今日はじぃさんが休みだからいつもなら俺は家事をしてから入る為駿二がマシンのみの提供だが、今日からは俺も早く入れるのでマシン以外のも飲めるを理解した常連は嬉しそうだ。マシンでもマシンに合わせて豆を焙煎しているし、このマシンは俺が探し回ってやっと見つけた奴なのでこれはこれで美味しいが話は別である。

朝から面倒な常連の相手をするのは勘弁して欲しいが、どこか嬉しそうに出て行く常連を見ていると一寸は嬉しく思うのも確かにある。


やっと昼休みだ。誰かが休みだとやっぱり一寸大変だなぁ、けど忙しいのはランチタイムだけだしなぁ。新しい子を入れるのもなぁどうしようかね。高校生じゃ意味なし大学生も毎日は無理だし・・・。

人員をどうしようかと悩みながら母屋に戻るとソファで春陽はレシピ本を見ていた。

「ただいま。」

「お帰りなさい。」

「洗濯は大丈夫そう?」

「はい、大丈夫です。・・・あっあの、今日は服だけでしたけど、シーツとはいいんですか?」

「大変じゃない?大丈夫なら天気のいい日はお願いしてもいいかな?」

「はい!あっでも・・・皆さんの部屋に入っても大丈夫ですか?」

「それは大丈夫だよ。じゃあお願いね。」

「はい。」

春陽は仕事が増えて嬉しそうだ。
これから体力が増えたら家事をもっとお願いするのもいいかもしれない。そうすれば俺も仕事に集中出来る、家事と仕事の両立は中々難しい。やろうと思えば家事はする事がいっぱい在るからなぁ・・・専業主婦は意外と忙しいそこに子育てが入れば自分の時間なんてないだろうから。

春陽は未だ未だ体力が無いから徐々に増やしていこう。

「今夜のメニュー決まった?」

「いえ、未だです。」

「そっか、けど無理して難しいのを作らなくていいからな?徐々に慣れて作るのが楽しくなってから挑戦すればいいから。」

「はい。・・・あの。」

「何?」

もじもじしている姿も可愛いなぁ。
何か足りない材料でもあるのかな?

「眞一さんは好き嫌いありますか?」

「俺?」

コク

ヤバイ少し頬を赤くして聞いて来るなんて何て愛らしいんだ!
今なら春陽が作ってくれたならゲテモノでも食べる自信がある!!

「ごほん。えっと、俺は基本的に好き嫌いはないから何でも食べれる。けど、好きな物と聞かれればやっぱり肉かな?野菜たっぷりの料理も嬉しいけど、肉が多いければテンション上がるかな。肉は牛も羊も鶏も好きだけど、1番好きなのは豚かな特に白身が好きだなぁ。」

「白身?」

「脂身の事だよ。甘くて美味しいから好きなんだよ。参考になった?」

「!・・・はい。」

何故そこで赤くなる!
春陽は日に日に可愛くなっているのは俺の気のせいではない気がする。これでは1人で買い物に行かせられないではないか!!許されるならどこかに春陽を閉じ込めて誰にも会わせたくない、だけどこの可愛い春陽を皆に見せつけたい!どうすればいいんだ!?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

トップアイドルα様は平凡βを運命にする

新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

孤独な蝶は仮面を被る

緋影 ナヅキ
BL
   とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。  全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。  さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。  彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。  あの日、例の不思議な転入生が来るまでは… ーーーーーーーーー  作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。  学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。  所々シリアス&コメディ(?)風味有り *表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい *多少内容を修正しました。2023/07/05 *お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25 *エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷
BL
完結済み・番外編更新中 ◆ 国立天風学園にはこんな噂があった。 『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』 もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。 何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。 『生徒たちは、全員首輪をしている』 ◆ 王制がある現代のとある国。 次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。 そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って…… ◆ オメガバース学園もの 超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

処理中です...