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第二十四章 葉月の揺れ動く気持ち

私は自殺しようとしたの

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葉月は危機を脱して、一般病棟に移ることが出来た。

しかし、意識はまだ戻らない。

西沢はずっと葉月に付き添った。

可愛い妹のために、兄貴として。

冨樫の野郎、本当にこねえ気か。

そんな矢先、葉月は意識を取り戻した。

目を開けると、病室の天井だとわかった。

私、どうしちゃったの。

ふっと側に目をやると、ベッドに頭を伏せて、葉月の手を握ってくれている男性に気づいた。

「冨樫さん」

その男性は葉月に声に起き上がった。

葉月と目が合って、それは西沢だった。

「西沢さん」

「葉月、よかった、どこか痛いところとか、苦しいところとかないか」

「身体全体が動かせなくて、ちょっと呼吸しずらいです」

「今、ナースコールするからな」

西沢はナースコールをした。

担当医師が病室にやってきて、葉月の診察をした。

「意識が回復してよかったです、あとはゆっくり治療していきましょう」

担当医師と看護師は病室を後にした。

「葉月、本当によかった」

「私、どうしたんですか」

「ああ、怪我したんだ」

「怪我?」

「とにかく、ゆっくり静養してくれ」

「ありがとうございます」

「俺、一旦マンションに戻る、またすぐ来るからな」

西沢は葉月に付き添っていたので、ろくに寝ていないのとシャワーも浴びていなかったので、マンションに戻ることにした。

葉月は飛び降りた時の記憶はない。

由子から聞いたことも全く忘れていた。

そして徐々に回復に向かっていた。

車椅子で、少しは移動出来るようになった。

その時、廊下で、看護師同士の話を聞いてしまった。

「日向葉月さん、自殺しようとしたんですってね、マンションの屋上から飛び降りたなんて、
よく助かったよね」

「本当、地面に叩きつけられてたら、即死だったって、先生が仰ってたわよ」

「怖い、怖い」

「付き添いの西沢さんって、極道なんでしょ、それは日向さん、悩み多いかもね」

「だって、この間は女性と一緒だったもんね」

えっ、私、自殺しようとしたの?

マンションの屋上から飛び降りたなんて。

あっ、頭が痛い。

葉月は急いで、病室に戻った。

ベッドに横になると、自然と眠りに誘われた。

葉月は夢を見ていた。

夢の中で消えていた記憶が蘇ってきた。

『「はじめまして、私は冨樫雅也の婚約者の白金由子です、
雅也さんの元奥様ですよね」
元に力を込めて言われた。
そして葉月の目の前に離婚届を出した。
その離婚届には冨樫のサインが入っていた。
「早く、サインしてちょうだい、そうしないと私と雅也さんが結婚出来ないでしょう」
葉月はわかっているものの、冨樫のサイン済みの離婚届を目の当たりにして、
手が震えていた。
「それに、私のお腹の中には、雅也さんの子供がいるの」
「えっ、冨樫さんの子供?」
葉月は驚きを隠せなかった。
「あなたが早く離婚してくれないと、この子がかわいそうでしょ」
葉月は戸惑っていた。
自分がこの世に生んであげられなかった冨樫の子供を、目の前の由子は授かった。
冨樫はこの女性と本気なんだと見せつけられた思いがした。
新たな生活を考えて、葉月に別れをつげて、新たな家族を作るために、避妊しなかったんだ。
葉月は目の前の離婚届にサインをした。
「これで、雅也さんと夫婦になれるわ、絶対に彼の目の前に現れないでね、
西沢組長にもちゃんと伝えてね、これからは夫婦同伴にしますから」
由子はその場を後にした。』

葉月はうなされていた。

そして、目が覚めた。
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