79 / 184
第二十四章 葉月の揺れ動く気持ち
私は自殺しようとしたの
しおりを挟む
葉月は危機を脱して、一般病棟に移ることが出来た。
しかし、意識はまだ戻らない。
西沢はずっと葉月に付き添った。
可愛い妹のために、兄貴として。
冨樫の野郎、本当にこねえ気か。
そんな矢先、葉月は意識を取り戻した。
目を開けると、病室の天井だとわかった。
私、どうしちゃったの。
ふっと側に目をやると、ベッドに頭を伏せて、葉月の手を握ってくれている男性に気づいた。
「冨樫さん」
その男性は葉月に声に起き上がった。
葉月と目が合って、それは西沢だった。
「西沢さん」
「葉月、よかった、どこか痛いところとか、苦しいところとかないか」
「身体全体が動かせなくて、ちょっと呼吸しずらいです」
「今、ナースコールするからな」
西沢はナースコールをした。
担当医師が病室にやってきて、葉月の診察をした。
「意識が回復してよかったです、あとはゆっくり治療していきましょう」
担当医師と看護師は病室を後にした。
「葉月、本当によかった」
「私、どうしたんですか」
「ああ、怪我したんだ」
「怪我?」
「とにかく、ゆっくり静養してくれ」
「ありがとうございます」
「俺、一旦マンションに戻る、またすぐ来るからな」
西沢は葉月に付き添っていたので、ろくに寝ていないのとシャワーも浴びていなかったので、マンションに戻ることにした。
葉月は飛び降りた時の記憶はない。
由子から聞いたことも全く忘れていた。
そして徐々に回復に向かっていた。
車椅子で、少しは移動出来るようになった。
その時、廊下で、看護師同士の話を聞いてしまった。
「日向葉月さん、自殺しようとしたんですってね、マンションの屋上から飛び降りたなんて、
よく助かったよね」
「本当、地面に叩きつけられてたら、即死だったって、先生が仰ってたわよ」
「怖い、怖い」
「付き添いの西沢さんって、極道なんでしょ、それは日向さん、悩み多いかもね」
「だって、この間は女性と一緒だったもんね」
えっ、私、自殺しようとしたの?
マンションの屋上から飛び降りたなんて。
あっ、頭が痛い。
葉月は急いで、病室に戻った。
ベッドに横になると、自然と眠りに誘われた。
葉月は夢を見ていた。
夢の中で消えていた記憶が蘇ってきた。
『「はじめまして、私は冨樫雅也の婚約者の白金由子です、
雅也さんの元奥様ですよね」
元に力を込めて言われた。
そして葉月の目の前に離婚届を出した。
その離婚届には冨樫のサインが入っていた。
「早く、サインしてちょうだい、そうしないと私と雅也さんが結婚出来ないでしょう」
葉月はわかっているものの、冨樫のサイン済みの離婚届を目の当たりにして、
手が震えていた。
「それに、私のお腹の中には、雅也さんの子供がいるの」
「えっ、冨樫さんの子供?」
葉月は驚きを隠せなかった。
「あなたが早く離婚してくれないと、この子がかわいそうでしょ」
葉月は戸惑っていた。
自分がこの世に生んであげられなかった冨樫の子供を、目の前の由子は授かった。
冨樫はこの女性と本気なんだと見せつけられた思いがした。
新たな生活を考えて、葉月に別れをつげて、新たな家族を作るために、避妊しなかったんだ。
葉月は目の前の離婚届にサインをした。
「これで、雅也さんと夫婦になれるわ、絶対に彼の目の前に現れないでね、
西沢組長にもちゃんと伝えてね、これからは夫婦同伴にしますから」
由子はその場を後にした。』
葉月はうなされていた。
そして、目が覚めた。
しかし、意識はまだ戻らない。
西沢はずっと葉月に付き添った。
可愛い妹のために、兄貴として。
冨樫の野郎、本当にこねえ気か。
そんな矢先、葉月は意識を取り戻した。
目を開けると、病室の天井だとわかった。
私、どうしちゃったの。
ふっと側に目をやると、ベッドに頭を伏せて、葉月の手を握ってくれている男性に気づいた。
「冨樫さん」
その男性は葉月に声に起き上がった。
葉月と目が合って、それは西沢だった。
「西沢さん」
「葉月、よかった、どこか痛いところとか、苦しいところとかないか」
「身体全体が動かせなくて、ちょっと呼吸しずらいです」
「今、ナースコールするからな」
西沢はナースコールをした。
担当医師が病室にやってきて、葉月の診察をした。
「意識が回復してよかったです、あとはゆっくり治療していきましょう」
担当医師と看護師は病室を後にした。
「葉月、本当によかった」
「私、どうしたんですか」
「ああ、怪我したんだ」
「怪我?」
「とにかく、ゆっくり静養してくれ」
「ありがとうございます」
「俺、一旦マンションに戻る、またすぐ来るからな」
西沢は葉月に付き添っていたので、ろくに寝ていないのとシャワーも浴びていなかったので、マンションに戻ることにした。
葉月は飛び降りた時の記憶はない。
由子から聞いたことも全く忘れていた。
そして徐々に回復に向かっていた。
車椅子で、少しは移動出来るようになった。
その時、廊下で、看護師同士の話を聞いてしまった。
「日向葉月さん、自殺しようとしたんですってね、マンションの屋上から飛び降りたなんて、
よく助かったよね」
「本当、地面に叩きつけられてたら、即死だったって、先生が仰ってたわよ」
「怖い、怖い」
「付き添いの西沢さんって、極道なんでしょ、それは日向さん、悩み多いかもね」
「だって、この間は女性と一緒だったもんね」
えっ、私、自殺しようとしたの?
マンションの屋上から飛び降りたなんて。
あっ、頭が痛い。
葉月は急いで、病室に戻った。
ベッドに横になると、自然と眠りに誘われた。
葉月は夢を見ていた。
夢の中で消えていた記憶が蘇ってきた。
『「はじめまして、私は冨樫雅也の婚約者の白金由子です、
雅也さんの元奥様ですよね」
元に力を込めて言われた。
そして葉月の目の前に離婚届を出した。
その離婚届には冨樫のサインが入っていた。
「早く、サインしてちょうだい、そうしないと私と雅也さんが結婚出来ないでしょう」
葉月はわかっているものの、冨樫のサイン済みの離婚届を目の当たりにして、
手が震えていた。
「それに、私のお腹の中には、雅也さんの子供がいるの」
「えっ、冨樫さんの子供?」
葉月は驚きを隠せなかった。
「あなたが早く離婚してくれないと、この子がかわいそうでしょ」
葉月は戸惑っていた。
自分がこの世に生んであげられなかった冨樫の子供を、目の前の由子は授かった。
冨樫はこの女性と本気なんだと見せつけられた思いがした。
新たな生活を考えて、葉月に別れをつげて、新たな家族を作るために、避妊しなかったんだ。
葉月は目の前の離婚届にサインをした。
「これで、雅也さんと夫婦になれるわ、絶対に彼の目の前に現れないでね、
西沢組長にもちゃんと伝えてね、これからは夫婦同伴にしますから」
由子はその場を後にした。』
葉月はうなされていた。
そして、目が覚めた。
0
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説
昨日、課長に抱かれました
美凪ましろ
恋愛
金曜の夜。一人で寂しく残業をしていると、課長にお食事に誘われた! 会社では強面(でもイケメン)の課長。お寿司屋で会話が弾んでいたはずが。翌朝。気がつけば見知らぬ部屋のベッドのうえで――!? 『課長とのワンナイトラブ』がテーマ(しかしワンナイトでは済まない)。
どっきどきの告白やベッドシーンなどもあります。
性描写を含む話には*マークをつけています。
お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。
すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!?
「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」
(こんなの・・・初めてっ・・!)
ぐずぐずに溶かされる夜。
焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。
「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」
「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」
何度登りつめても終わらない。
終わるのは・・・私が気を失う時だった。
ーーーーーーーーーー
「・・・赤ちゃん・・?」
「堕ろすよな?」
「私は産みたい。」
「医者として許可はできない・・!」
食い違う想い。
「でも・・・」
※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。
※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
それでは、お楽しみください。
【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
タイプではありませんが
雪本 風香
恋愛
彼氏に振られたばかりの山下楓に告白してきた男性は同期の星野だった。
顔もいい、性格もいい星野。
だけど楓は断る。
「タイプじゃない」と。
「タイプじゃないかもしれんけどさ。少しだけ俺のことをみてよ。……な、頼むよ」
懇願する星野に、楓はしぶしぶ付き合うことにしたのだ。
星野の3カ月間の恋愛アピールに。
好きよ、好きよと言われる男性に少しずつ心を動かされる女の子の焦れったい恋愛の話です。
※体の関係は10章以降になります。
※ムーンライトノベルズ様、エブリスタ様にも投稿しています。
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
年上幼馴染の一途な執着愛
青花美来
恋愛
二股をかけられた挙句フラれた夕姫は、ある年の大晦日に兄の親友であり幼馴染の日向と再会した。
一途すぎるほどに一途な日向との、身体の関係から始まる溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる