お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない

第二十四章 葉月の揺れ動く気持ち

西沢さんに嫉妬したの？

私、それで自殺をしたの？

そこへ、西沢がマンションから戻った。

「葉月、どうした？汗かいて、今タオル持ってきてやるからな」

葉月は西沢の手を掴んだ。

「どうした？」

「西沢さん、ごめんなさい、私、すごくご迷惑をかけてしまって……」

西沢の手を掴んでいる葉月の手は小刻みに震えていた。

「葉月、大丈夫だよ、迷惑とは思っていない、俺を頼ってくれて嬉しい」

「だって、私、死んでたかもしれないんですよ」

「葉月」

「思い出したんです、全て」

西沢は驚いた。

「そうか、でも葉月は俺の目の前にいる、なんの問題もない」
葉月は看護師さんが言っていた西沢の女性のことを聞いてみた。

「西沢さん、恋人いたんですね」

「恋人？」

「隠さなくてもいいです」

「別に隠してないよ」

「だって、看護師さんが西沢さんは女性と一緒だったって」

「ああ、西沢組管轄のキャバクラのキャバ嬢だろう」

「キャバ嬢？」

「俺も男だからな、キャバ嬢くらい抱くさ」

葉月は顔を真っ赤にして、俯いた。

そうだよね、西沢さんは極道の組長で、男なんだから、女の人いっぱいいるよね。

「私が西沢さんの側にいたら、困りますよね」

「なんでだよ」

「だって……」

「すまん、お前の言ってることわかんねえや」

葉月は自分でも自分の気持ちがわからなかった。

冨樫を愛してる、でももう冨樫は由子さんと夫婦で、子供もいる。

どうすることも出来ないのはわかってる。

西沢さんは自分を心配してくれて、迷惑ってわかってるけど、頼らずにはいられない。

いつも私を妹のように守ってくれる。

なぜ、抱かないんだろうと不思議だった。

勝手に女性の影がないと決めつけていた。

いるよね、男だもん。

それがなぜだか、いやだった。

私、どうしちゃったんだろう。

いつも側にいて守ってくれる西沢さんが気になるの？

好きになったのかな。

キャバ嬢を抱いてるって、それに対して嫉妬してるの？

「葉月、何か欲しいもの有れば、言ってくれ、なんかいるか、果物とか、
ゼリーなら食っても大丈夫だって、医者が言ってたからな」

「ミックスゼリーが食べたいです」

「よし、今度来た時買ってきてやる」

俺は葉月の記憶が戻ったと聞いて、俺から離れていくんじゃないかと心配になった。

ところがその部分にはあまり触れずに、俺の女の話に突っ込んで聞いてきた。

確かにたまたまキャバ嬢に送ってもらい、病院にきたことはある。

だが、俺はそんなに器用じゃねえ。

葉月を好きで、平気で他の女は抱けねえ。