お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない

ラヴ KAZU

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第二十三章　由子の企み

葉月、俺の責任だ、すまん

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お前の兄貴になりきれず、葛藤の日々を送っていた。

お前が何に苦しみ、何に悩んでいたかわかっているつもりだった。

それなのに、自ら命を無くすまで、悩んでいたことに気づいてやれなかった。

葉月、葉月、俺を一人にするな。

葉月は意識不明の重体で、予断を許さない状態だった。

植え込みに落下した衝撃で内蔵が破裂しているとのことだった。

でももし、地面に叩きつけられていたのなら、即死だった。

葉月の手術は成功し、命は取り留められた。

でも、安堵出来ない状態だった。

西沢はずっと病院へ泊まっていた。

いつ、急変するかわからないとのことだったからだ。

西沢は冨樫に連絡を入れた。

「冨樫か、葉月がマンションの屋上から飛び降りて、意識不明の重体だ」

「えっ」

冨樫はすぐに状況を理解出来なかった。

「すまん、飛び降りるほど悩んでいたことに気づいてやれなかった」

「病院はどこだ」

「お前のスマホに送る」

冨樫はすぐに病院へ向かう支度を始めた。

そんな様子を見ていた由子は、冨樫を止めた。

「雅也が行ってどうなるの、葉月さんはあなたの元妻よ、今は関係ないでしょ」

「いや、葉月はまだ俺の妻だ、離婚届にサインは貰っていない」

「何言ってるの、葉月さんは離婚届にサインしたのよ、私が見届けて役所に提出したの、
ちゃんと受理されたわ」

「お前、葉月にあったのか」

「ええ、待ち合わせて、サインもらったの、雅也に任せておいたら、いつまで経っても、
私たち夫婦になれないでしょ」

「なんで勝手なことをしたんだ」

冨樫は怒りが頂点に達していた。

「私は雅也に褒められても、怒鳴られることはしてないわ」

「俺との離婚に絶望して、葉月は……」

「妊娠したと告げたの」

冨樫は驚きの表情を見せた。

「どう言うことだ」

「私のお腹の中に雅也さんとの子供がいると親切に教えてあげたのよ」

「妊娠が本当なら、それは俺の子供じゃない」

「将来の話をしたのよ、だって私たち婚姻届を提出すれば、すぐに子供を作れるでしょ」

葉月は自分が俺との子供をこの世に生んであげられなかったことに落ち込んで、

俺と由子の子供の話にショックを受けたのか。

全て俺の責任だ。

冨樫は由子の手を振り払って出口に向かった。

「雅也、行かないで、行かないで、お願い」

「俺は葉月に取って悪い男だ、嫉妬して監禁し、犯して流産させた、そして、
ひどい言葉を吐いて、別れを告げた、俺は葉月を愛する資格はない、でも、
葉月を放っておけない」

由子はキッチンにあるナイフを自分の喉に当てた。

「葉月さんの元にいくと言うなら、私は死ぬわ」

冨樫が振り向くと、由子は死を覚悟した状態だった。

「雅也を失いたくない、行かないで」

冨樫は身体を震わせた。

そうだ、今更俺が行ってどうなるんだ。

葉月を苦しめるだけだ。

それに自分の命を絶とうとしている由子を振り払って、行けるのか、いけるわけがない。

「わかった、俺はお前のそばにいる、だからナイフをこっちに渡せ」

「本当？私を騙したりしないわよね」

「ああ、そんなことはしない、俺を信じろ」

冨樫はゆっくり、由子の手からナイフを取り上げた。

そして、由子を抱きしめた。

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