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かすみの決意①
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かすみはわかっていた。
自分の命の炎が消えかかっている事を……
三年前、子宮癌が見つかり、子宮全摘出手術を受けることになって、
その時、本郷くんは言ってくれた。
「かすみ、これから二人で生きていこう」
でも、私は本郷くんを縛りたくなかった。
子宮のない女なんて、この先癌が再発するかもって爆弾を抱えている女なんかと
生きていくなんて、そんな辛い人生を送らせたくない。
だから、本郷くんと別れた。
拓真さんとも同じはずだった。
それなのに、拓真さんが狙撃されて、生死を彷徨っている現状を目の当たりにして、
こんな思いを何度もしなければいけないなんて、一緒にいられないなんて思わなかった。
だからこそ一分一秒でも一緒にいたいって思った。
拓真さんも同じ思いなんだと、いつ癌が再発するかもしれない状況なら、
一分一秒でも一緒にいたいって思ってくれているんだと……
拓真さんの思いに甘えて、婚姻届にサインした。
春日部かすみになった。
でも、この選択は本当にあっていたのだろうか。
私の死を目の当たりにして、拓真さんは生きていけるの?
かすみは拓真の知らないところで最後を迎えることに気持ちが傾いていた。
拓真はかすみの病室から離れることはなかった。
「拓真さん、お仕事に行ってください」
「かすみの側にずっといたい」
「拓真さん、あなたは春日部コーポレーション社長で、新堂組組長です、
社員、組員の方、そしてそのご家族の方の生活の責任が、拓真さんの肩に、
かかっています、お仕事してください、私はちゃんと待っていますから」
拓真はかすみの言葉に我に返った。
そうだ、俺は何をやっているんだ。
拓真はそれから仕事に戻った。
仕事の帰りは必ずかすみの病室へ寄る。
そんな毎日が過ぎていった。
そして、卵巣の摘出手術の日がやってきた。
「かすみ、何も心配することはない、全てうまくいくよ」
「拓真さん」
そして手術は無事成功した。
でも抗がん剤治療は苦しく、半端なものではない。
また、この辛い思いをするなんて、私の身体はどうなっちゃってるの?
それからしばらくして、かすみの病室に本郷がお見舞いにきた。
「かすみ、どう具合は」
「本郷くん、ありがとう、大丈夫って言いたいけど、本郷くんにはバレバレだね」
「そうだな、かすみの頑張りがわかるし、辛さもわかってあげられるから」
かすみは拓真の前では辛い思いは我慢していた。
でも本郷の前では、辛さをわかってもらえると言う安心感からか、涙が頬を伝わった。
本郷はかすみを抱きしめた。
頑張っていた気持ちがふっと緩み、かすみは本郷の胸でワンワン泣いた。
そんな様子を少し開いていた病室のドアの外で拓真は見ていた。
頑張って、無理をしているかすみのことは、わかっていた。
もっと甘えて欲しいと感じていた拓真は、その思いが他の男性に向けられていることに、
嫉妬の炎が燃え上がっていた。
かすみ、なんで俺じゃダメなんだ。
俺はお前にとってなんなんだ。
拓真はかすみの病室を面会謝絶にした。
かすみは俺だけのものだ。
ある日、看護師さんが本郷が見舞いに来たのだが、拓真の意向で面会謝絶になっているから、
またくるとの伝言を伝えてくれた。
「面会謝絶ですか」
「ご主人様からの意向だそうですよ、ゆっくり休んで貰いたいとのことらしいです、
優しいご主人様ですね」
「そうですか」
「それで、本郷様が見えたんですが、また来ますって伝えてくださいとのことです」
「ありがとうございます」
かすみはある事を思い出していた。
自分の命の炎が消えかかっている事を……
三年前、子宮癌が見つかり、子宮全摘出手術を受けることになって、
その時、本郷くんは言ってくれた。
「かすみ、これから二人で生きていこう」
でも、私は本郷くんを縛りたくなかった。
子宮のない女なんて、この先癌が再発するかもって爆弾を抱えている女なんかと
生きていくなんて、そんな辛い人生を送らせたくない。
だから、本郷くんと別れた。
拓真さんとも同じはずだった。
それなのに、拓真さんが狙撃されて、生死を彷徨っている現状を目の当たりにして、
こんな思いを何度もしなければいけないなんて、一緒にいられないなんて思わなかった。
だからこそ一分一秒でも一緒にいたいって思った。
拓真さんも同じ思いなんだと、いつ癌が再発するかもしれない状況なら、
一分一秒でも一緒にいたいって思ってくれているんだと……
拓真さんの思いに甘えて、婚姻届にサインした。
春日部かすみになった。
でも、この選択は本当にあっていたのだろうか。
私の死を目の当たりにして、拓真さんは生きていけるの?
かすみは拓真の知らないところで最後を迎えることに気持ちが傾いていた。
拓真はかすみの病室から離れることはなかった。
「拓真さん、お仕事に行ってください」
「かすみの側にずっといたい」
「拓真さん、あなたは春日部コーポレーション社長で、新堂組組長です、
社員、組員の方、そしてそのご家族の方の生活の責任が、拓真さんの肩に、
かかっています、お仕事してください、私はちゃんと待っていますから」
拓真はかすみの言葉に我に返った。
そうだ、俺は何をやっているんだ。
拓真はそれから仕事に戻った。
仕事の帰りは必ずかすみの病室へ寄る。
そんな毎日が過ぎていった。
そして、卵巣の摘出手術の日がやってきた。
「かすみ、何も心配することはない、全てうまくいくよ」
「拓真さん」
そして手術は無事成功した。
でも抗がん剤治療は苦しく、半端なものではない。
また、この辛い思いをするなんて、私の身体はどうなっちゃってるの?
それからしばらくして、かすみの病室に本郷がお見舞いにきた。
「かすみ、どう具合は」
「本郷くん、ありがとう、大丈夫って言いたいけど、本郷くんにはバレバレだね」
「そうだな、かすみの頑張りがわかるし、辛さもわかってあげられるから」
かすみは拓真の前では辛い思いは我慢していた。
でも本郷の前では、辛さをわかってもらえると言う安心感からか、涙が頬を伝わった。
本郷はかすみを抱きしめた。
頑張っていた気持ちがふっと緩み、かすみは本郷の胸でワンワン泣いた。
そんな様子を少し開いていた病室のドアの外で拓真は見ていた。
頑張って、無理をしているかすみのことは、わかっていた。
もっと甘えて欲しいと感じていた拓真は、その思いが他の男性に向けられていることに、
嫉妬の炎が燃え上がっていた。
かすみ、なんで俺じゃダメなんだ。
俺はお前にとってなんなんだ。
拓真はかすみの病室を面会謝絶にした。
かすみは俺だけのものだ。
ある日、看護師さんが本郷が見舞いに来たのだが、拓真の意向で面会謝絶になっているから、
またくるとの伝言を伝えてくれた。
「面会謝絶ですか」
「ご主人様からの意向だそうですよ、ゆっくり休んで貰いたいとのことらしいです、
優しいご主人様ですね」
「そうですか」
「それで、本郷様が見えたんですが、また来ますって伝えてくださいとのことです」
「ありがとうございます」
かすみはある事を思い出していた。
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