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かすみの決意②
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他の男の名前を口にした時、拓真を怒らせた事を……
その時、大館は拓真が嫉妬したんだと指摘した。
まさか、この間、気が緩んで本郷の胸で泣いたのを見られたのではないか。
かすみは拓真に迷惑をかけないように、頑張っているのだが、それが拓真にとって、
気に入らなかったって事だったのか。
かすみは甘えるのが下手なのだ。
もっと甘えていいのかな。
かすみは様子をみることにした。
次の日、拓真が病室にやってきた。
「拓真さん」
「かすみ、大丈夫か」
「はい、大丈夫です」
すると拓真の顔色が変わった。
「お前は俺の前ではいつでも大丈夫なんだな」
かすみははじめての拓真の反応にちょっとびっくりした。
「他の男の前では、辛いとか寂しいとか言うが、俺はそんな言葉を言われたことなどない、
俺はお前にとってなんだ」
「拓真さん」
「大丈夫ならもう帰る」
そう言って、拓真は病室を後にした。
かすみははっきりわかった。
本郷くんに嫉妬したんだ、もっと甘えていいんだと。
次の日、かすみは敢えて拓真が忙しい時間に電話した。
拓真のスマホの画面にはかすみの文字が……
「かすみ、どうかしたのか」
「拓真さん、会いたいです」
「かすみ、すぐ行く」
拓真はこれから会議があるにもかかわらず、車を走らせた。
「社長、どちらに行かれるのですか、社長」
拓真は大館の言葉を振り切って、病院へ向かった。
「かすみ、どうした、何かあったのか」
拓真はかすみを抱きしめた。
「どこか痛いのか、大丈夫か」
拓真の慌てようは半端なかった。
「拓真さん、落ち着いてください、痛いところはありません、拓真さんにあいたくなったんです」
かすみは自分の言っている言葉に、恥ずかしくなって顔が真っ赤になるのを感じた。
「拓真さん、ギュッとしてください」
「かすみ、かすみ、かわいい、何度でもギュッとしてやる」
拓真はかすみにキスの雨を降らした。
「拓真さん、もう、ダメです、誰かきたら困るから」
「俺とかすみは夫婦なんだから、セックスしてたって文句言われることはない」
「もう、拓真さんは、病院のベッドではダメですよ」
その時、かすみの表情が歪んだ。
「どうした、どこか痛いのか」
「お腹が……」
俺はすぐにナースコールをした。
かすみはマジで面会謝絶になった。
俺はずっとかすみのベッドの側で、かすみの手を握っていた。
それから、かすみの笑顔を見ることが出来なくなった。
しばらくして、拓真は担当医師村上から呼び出された。
「春日部さん、奥様はだいぶ体力が低下しております、また臓器に転移が見つかりました、
これ以上の手術は寿命を縮めることになります、ですから……」
拓真は村上の言葉を最後まで聞かずに言葉を重ねた。
「かすみはあとどのくらい生きられますか」
「三ヶ月くらいかと……」
「そうですか」
「でも、根気よく治療をしていけば」
「あんなに辛く、苦しい思いをさせることは、この先かすみにとってどうなんでしょうか」
拓真はかすみを退院させることにした。
「かすみ、退院しよう」
「先生の許可が降りたんですか」
「ああ、マンションに戻って、二人の時間を過ごそう」
「拓真さん、嬉しいです」
この時、かすみはわかっていた、自分の命がわずかだと言う事を……
でも、まさか、拓真も一緒に命を消すつもりだと言うことまでは想像が出来なかった。
かすみ、俺はお前のいない世界で生きていけない。
お前がこの世界から消えるなら、俺も一緒に消える。
その時、大館は拓真が嫉妬したんだと指摘した。
まさか、この間、気が緩んで本郷の胸で泣いたのを見られたのではないか。
かすみは拓真に迷惑をかけないように、頑張っているのだが、それが拓真にとって、
気に入らなかったって事だったのか。
かすみは甘えるのが下手なのだ。
もっと甘えていいのかな。
かすみは様子をみることにした。
次の日、拓真が病室にやってきた。
「拓真さん」
「かすみ、大丈夫か」
「はい、大丈夫です」
すると拓真の顔色が変わった。
「お前は俺の前ではいつでも大丈夫なんだな」
かすみははじめての拓真の反応にちょっとびっくりした。
「他の男の前では、辛いとか寂しいとか言うが、俺はそんな言葉を言われたことなどない、
俺はお前にとってなんだ」
「拓真さん」
「大丈夫ならもう帰る」
そう言って、拓真は病室を後にした。
かすみははっきりわかった。
本郷くんに嫉妬したんだ、もっと甘えていいんだと。
次の日、かすみは敢えて拓真が忙しい時間に電話した。
拓真のスマホの画面にはかすみの文字が……
「かすみ、どうかしたのか」
「拓真さん、会いたいです」
「かすみ、すぐ行く」
拓真はこれから会議があるにもかかわらず、車を走らせた。
「社長、どちらに行かれるのですか、社長」
拓真は大館の言葉を振り切って、病院へ向かった。
「かすみ、どうした、何かあったのか」
拓真はかすみを抱きしめた。
「どこか痛いのか、大丈夫か」
拓真の慌てようは半端なかった。
「拓真さん、落ち着いてください、痛いところはありません、拓真さんにあいたくなったんです」
かすみは自分の言っている言葉に、恥ずかしくなって顔が真っ赤になるのを感じた。
「拓真さん、ギュッとしてください」
「かすみ、かすみ、かわいい、何度でもギュッとしてやる」
拓真はかすみにキスの雨を降らした。
「拓真さん、もう、ダメです、誰かきたら困るから」
「俺とかすみは夫婦なんだから、セックスしてたって文句言われることはない」
「もう、拓真さんは、病院のベッドではダメですよ」
その時、かすみの表情が歪んだ。
「どうした、どこか痛いのか」
「お腹が……」
俺はすぐにナースコールをした。
かすみはマジで面会謝絶になった。
俺はずっとかすみのベッドの側で、かすみの手を握っていた。
それから、かすみの笑顔を見ることが出来なくなった。
しばらくして、拓真は担当医師村上から呼び出された。
「春日部さん、奥様はだいぶ体力が低下しております、また臓器に転移が見つかりました、
これ以上の手術は寿命を縮めることになります、ですから……」
拓真は村上の言葉を最後まで聞かずに言葉を重ねた。
「かすみはあとどのくらい生きられますか」
「三ヶ月くらいかと……」
「そうですか」
「でも、根気よく治療をしていけば」
「あんなに辛く、苦しい思いをさせることは、この先かすみにとってどうなんでしょうか」
拓真はかすみを退院させることにした。
「かすみ、退院しよう」
「先生の許可が降りたんですか」
「ああ、マンションに戻って、二人の時間を過ごそう」
「拓真さん、嬉しいです」
この時、かすみはわかっていた、自分の命がわずかだと言う事を……
でも、まさか、拓真も一緒に命を消すつもりだと言うことまでは想像が出来なかった。
かすみ、俺はお前のいない世界で生きていけない。
お前がこの世界から消えるなら、俺も一緒に消える。
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