リアル

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気分はすぐれないものの、まずは、とっかかりを探す必要がある。

記事には、メモ書きや、矢印などがランダムに書かれているように見えた。

目の前にある、大きな電車の事故の記事には『虻』と書かれたメモが貼られており文字に大きなバツがついている。

読んでみるが、もちろん事故の原因は虻ではなかった。


「富澤さんは、僕の事を僕よりも理解していたんですね」


そこから伸びる矢印をたどっていくが、行き着く先は都市伝説のような内容だ。

磁気の狂った森、異世界に続く扉、ゴシップ記事の切り抜きが沢山貼られている。

なんだこれは?


「理解はしてねぇよ。ただ、この1週間くらい不眠症でよぅ。早く終わらせたいんだよ」


次に目に止まったメモには乱雑に『ヘブライ民族=人類』と書かれているが、隣のメモには、数字の羅列。

こんな話と今の俺がどう結びつくというのだ。

唇を噛むと、富澤が笑った。


「その癖、富士八とおんなじだ。噛む場所まで一緒だから、驚いたよ」


ヒントは少ない。富士八はファラオと一緒だったと言っていたのなら、ファラオの記事がメモがあるはずだ。

次の記事は大地震、貼られたメモには『血』と、大きなバツが書かれている。

順々に見ていくが、ファラオなんて言葉は出てこない。


「世界中の大事件の記事だろう?俺には分からんが、ヤツには意味があるようだった」

「どんな意味か聞かなかったんですか」


矢印の先の記事は、神秘の泉の記事に数字が書かれていた。


「聞いても、さっぱり分かんね」


確かに富澤の言う通り、世界中の記事のようだし、時期も時系列もまちまちだ。

記事のいくつかには小さなメモが貼られており、どれにも赤いペンでバツがつけられている。

メモには事件と関連性のありそうな『疫病』という走り書きから、どう関連しているのか分からない『蛙』など様々だ。

それらが複雑に矢印で結ばれているが、その矢印にも、マルやバツが書かれている。


「富士八が死んでから、九重も同じように唇を噛んでいたよ。ちょうど、お前が立ってるところでな」


九重も、この部屋に連れて来たのか。

だったらーー

俺は振り返って富澤に聞いた。


「九重さんは、この部屋の何処に注目しましたか?」

「ああ?確か・・・その辺だ」


富澤が指をさしたのは、ベッドの脇の小さなメモだった。

「・・・これ?」

「それだったと思うぞ」

ひとつだけ、赤ペンでバツが書かれていないメモが残っている。

【災い9】

殴り書きのように書かれたそれには、記事が付いていなかった。

「スマホを借りてもいいですか?」

富澤からスマホを借りると、俺はすぐさま検索をした。



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