541 / 848
第十四章
ベイス島攻略会議 2
しおりを挟む
「地理的な状況はだいたい把握できたとして、作戦会議に入りたい。まず、戦おうにも敵の戦力が分からない。そこでまず、偵察プランを練ろうと思うがその前にみんなに認識してもらいたい事がある。僕たちの戦闘目的は、レアメタルカートリッジの奪還。それに対して敵の目的はミクの拉致。敵はレアメタルカートリッジで僕たちをおびき寄せた後、戦闘のどさくさに紛れてミクを拉致する事をもくろんでいるものと思われる」
不意にミクが席から立ち上がった。
「あたし、やはり狙われていたのね。美少女は辛いわ」
いや、狙われているのは美少女だからではなくて陰陽師だからなのだが……
「そこで攻撃をかけながら、同時にミクを守る事を考える必要がある」
アーニャが手を上げた。
「常識的に考えるなら、ミクちゃんは《海龍》内から出ないことだわ。式神のコントロールはここからでもできるし。ただ、敵もそれを予想しているはず。ミクちゃんが出てこなければ、私たちにカートリッジとミクちゃんの交換を要求してくる可能性がある。敵には、まだミクちゃんを拉致できる可能性があると思わせながら、カートリッジを奪取するべきと思うけど」
ミールが手をあげた。
「それでは、あたしがミクちゃんの分身を作って身代わりにするというのはどうでしょう?」
いい考えだけど、分身体はデジカメで見破られる。
馬艦長が手をあげた。
「《海龍》にはプリンターもスキャナーもあるわ。即興でアンドロイドを作るというのはどう?」
それはいい手だな。
「あのう」
ミーチャがおずおずと手を上げた。
「ミーチャも何か意見があるのか?」
「はい。カートリッジって、地下深くにあるのですよね?」
「そうだけど」
「ドローンってそんなところにあっても、ここからコントロールできるのですか?」
そんな事に気がつくとは、ここにいる間にミーチャは随分勉強していたようだな。
「それは大丈夫だ。確かにここから直接は無理だが、途中に中継器をおけば問題はない」
「そうですか。それで、あの式神とか分身とかって、ドローンみたいなものですよね。こっちは地下深くでも大丈夫なのですか?」
「それは……」
ん? どうなのだろう? ドローンは電波などでコントロールしているのだが、式神はどうやっているのだ?
「ミク。地下深くでも式神は問題なく動くのか?」
ミクは少し考え込んでから答える。
「普通は地下なんて問題ないけどさ、おじいちゃんに聞いた事があるの。地下に潜った式神が突然動かなくなったって記録があるって」
「それは、憑代が破壊されたとかではないのか?」
ミクは首を横に振る。
「術者が地下に降りると、式神はそこに待機していたって。何かにコントロールを遮られたみたいなの」
式神のコントロールを遮る? そんな事できるのか?
「カイトさん」
ミールの方に視線を向けた。
「あたしもお師匠から聞いた事があります。古い遺跡に分身体を入れたら、分身体のコントロールが途切れた事があったって」
方法は分からないが、式神や分身体のコントロールを遮る手段はあるらしい。
問題はレムがその手段を持っているかどうか?
持っていたら、やっかいなことになるな。
「お兄ちゃん。式神って今では科学者の人たちがかなり研究しているからさ、母船に問い合わせれば何か分かるかも」
「よし。これに関しては母船に問い合わせるとして、先に偵察プランを練ろう」
不意にミクが席から立ち上がった。
「あたし、やはり狙われていたのね。美少女は辛いわ」
いや、狙われているのは美少女だからではなくて陰陽師だからなのだが……
「そこで攻撃をかけながら、同時にミクを守る事を考える必要がある」
アーニャが手を上げた。
「常識的に考えるなら、ミクちゃんは《海龍》内から出ないことだわ。式神のコントロールはここからでもできるし。ただ、敵もそれを予想しているはず。ミクちゃんが出てこなければ、私たちにカートリッジとミクちゃんの交換を要求してくる可能性がある。敵には、まだミクちゃんを拉致できる可能性があると思わせながら、カートリッジを奪取するべきと思うけど」
ミールが手をあげた。
「それでは、あたしがミクちゃんの分身を作って身代わりにするというのはどうでしょう?」
いい考えだけど、分身体はデジカメで見破られる。
馬艦長が手をあげた。
「《海龍》にはプリンターもスキャナーもあるわ。即興でアンドロイドを作るというのはどう?」
それはいい手だな。
「あのう」
ミーチャがおずおずと手を上げた。
「ミーチャも何か意見があるのか?」
「はい。カートリッジって、地下深くにあるのですよね?」
「そうだけど」
「ドローンってそんなところにあっても、ここからコントロールできるのですか?」
そんな事に気がつくとは、ここにいる間にミーチャは随分勉強していたようだな。
「それは大丈夫だ。確かにここから直接は無理だが、途中に中継器をおけば問題はない」
「そうですか。それで、あの式神とか分身とかって、ドローンみたいなものですよね。こっちは地下深くでも大丈夫なのですか?」
「それは……」
ん? どうなのだろう? ドローンは電波などでコントロールしているのだが、式神はどうやっているのだ?
「ミク。地下深くでも式神は問題なく動くのか?」
ミクは少し考え込んでから答える。
「普通は地下なんて問題ないけどさ、おじいちゃんに聞いた事があるの。地下に潜った式神が突然動かなくなったって記録があるって」
「それは、憑代が破壊されたとかではないのか?」
ミクは首を横に振る。
「術者が地下に降りると、式神はそこに待機していたって。何かにコントロールを遮られたみたいなの」
式神のコントロールを遮る? そんな事できるのか?
「カイトさん」
ミールの方に視線を向けた。
「あたしもお師匠から聞いた事があります。古い遺跡に分身体を入れたら、分身体のコントロールが途切れた事があったって」
方法は分からないが、式神や分身体のコントロールを遮る手段はあるらしい。
問題はレムがその手段を持っているかどうか?
持っていたら、やっかいなことになるな。
「お兄ちゃん。式神って今では科学者の人たちがかなり研究しているからさ、母船に問い合わせれば何か分かるかも」
「よし。これに関しては母船に問い合わせるとして、先に偵察プランを練ろう」
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
光のもとで1
葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。
小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。
自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。
そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。
初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする――
(全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます)
10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~
うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。
突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。
なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ!
ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。
※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。
※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる