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第十三章

かつての仲間7

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『大丈夫です。こんな見え見えの罠はやりませんよ』

 古淵機から送られて来た映像をバイザーの右半分に表示した。左半分は常に古淵の様子を表示している。

 一応、ウイルスチェックもしたが問題は無かった。

 表示された映像は《アクラ》の甲板上。

 帝国兵と分身達ミールズが戦っていた。

 だが、それはいつものように、一方的ではない。

 帝国兵は銃や険ではなく、火炎放射器を武器に使っていたのだ。

『先ほど予想していなかったと言いましたが、僕が予想していなかったのは、もう一隻の潜水艦による待ち伏せです。北村さんの思惑が《アクラ》の拿捕という事は予想していました。その場合、移乗白兵戦に投入するのはナーモ族の分身魔法使いだという事は予想していました』
「確かに《マカロフ》と戦った時はそうしたからな。それで火炎放射器を用意したのか?」
『ええ。カ・モ・ミールさんといいましたね。彼女が分身の憑代に木札を使っているという事は、カルル・エステスからの情報で分かっています。ならば、火炎放射器が有効と思って用意しました』

 ミールの憑代も耐熱素材に変えた方が良さそうだな。 

 火炎放射器を持っている帝国兵は三人。

 三人は船内入り口前に陣取り火炎放射器を構え、分身達ミールズと対峙していた。

 今のところ、降着状態になっているが……

 突然、分身達ミールズの上を何かが飛び越えた。

 キラの分身体!

 帝国兵が火炎放射を浴びせるが、キラの分身体は憑代にチタニウム合金の短剣を使っている。火炎放射器の炎など効果はない。

 一度は炎に中に包まれたキラの分身体は、口裂け女状態になって帝国兵の一人に飛びかかり、首に噛みついた。

 血飛沫をまき散らしながら、帝国兵は倒れる。

『あの女の子は、キラ・ガルキナと言いましたね。かつてはエラ・アレンスキーの部下だったという。彼女の憑代は短剣だと聞いています。おそらく、あなたの事だから、チタニウムかタングステンで複製を作ったのでしょう。だから、火炎放射器は効果がない。しかし……』

 残り二人の帝国兵が、仲間の死体ごとキラに火炎を浴びせるがまったく効果がない。

 キラが反撃に出ようとしたその時、不意に船内出入り口の扉が開く。

 出てきたのは……エラ!
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