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第十三章
ミクの不調 1
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エラは扉を開くと同時に掌を前に突き出して、プラズマボールを連続で放ってきた。
その様子を見ながら古淵は話を続ける。
『アレンスキーさんの話では、プラズマボールの一発や二発ではキラさんの憑代を破壊できない。なので、キラさんの分身体を見つけたら、間髪を入れずに最低十発は連射すると彼女は言っておりました』
キラの分身と戦ったNo.5の記憶から、そう判断したようだな。
実際、マシンガンのように撃ち出されたプラズマボールを浴びて、キラの分身体は消滅した。
『もっとも、この戦い方では魔力の消耗もそうとう激しいみたいなので、本人もあまりやりたくないと言っていましたが……ところで、エラさんが一番警戒していた式神使いの女の子の姿がありませんが……』
ミクの事も知っている! では、ミクの式神への対策も立てているのか?
「ミクは、ちょっと遅刻しているようだ」
『遅刻? 何か、出てこられない事情でもあるのですか?』
船酔いで寝込んでいるなどとは言えんし……恥とかではなくて、こっちの弱点を教えるわけにはいかない。
「ノーコメントだ」
『という事は、式神使いの女の子は、出てこられないのですね。それは困ったな』
「なんで、あんたが困る?」
古淵はそれに答えないで、しばらく黙り込んでいた。
どうやら、レムと話をしているようだ。
『おや? どうやら間に合ったようですね』
なにが? と聞こうとしたが、映像を見てすぐに分かった。
金色の龍……オボロが《アクラ》の上にいたのだ。
ミク! 大丈夫なのか?
映像を拡大してオボロの上に跨っているミクの様子を見ると、服装がいつものセーラー服ではなくジャージ。ベッドから無理に出てきたのか?
オボロの角が輝き、光の玉……プラズマボールを下に向かって発射した。
一方 《アクラ》の上にいたエラも、プラズマボールを撃ち返す。
映像をさらに拡大して、ミクの顔を見るといつもの余裕がない。蒼白な顔をしている。
「やめさせないと」
『なぜです?』
僕の呟きを聞いた古淵は、意外そうな声で聞いてきた。
「なぜって……」
『ああ! もしかして、心配されているのですか? エラさんがあの女の子の能力を打ち破る手段を用意していると。そんな心配はありません。中の人も、あの女の子を殺すつもりはない。むしろこの戦いで、エラさんには死んでもらう予定です。だから、この戦いを邪魔するような事はしないでください』
「という事は、最初からミクとエラを戦わせるのが目的だったのか!?」
『始まってしまった以上、もう隠す必要はないでしょう。あなたのおっしゃる通りです。僕としては当初 《アクラ》は帝国艦隊を切り離して逃げる事を提案したのですがね。中の人が、それを許さなかったのですよ。ミクさんと言いましたか。あの式神使いの女の子とエラさんを戦わせて、その能力を見極めたいようです』
「それじゃあ、フーファイターのエネルギーを無駄遣いして、島に不時着させたのは……」
『最初からその為のお膳立てですよ。矢納さんはこの事を知らなかったのですけどね。だから、僕は『フローティングアンテナの下に潜水艦がいるはず、確実に破壊するには対消滅爆雷を三発ぐらい使った方がいい』とアドバイスしました。その結果、フーファイターは帰還に必要なエネルギーがなくなり、島に不時着することになったのです。自然な形で。当初ので予定では、ここで式神使いの女の子とエラさんを戦わせるはずでした。あそこなら《アクラ》を危険に晒す事もなく、無事に戦いのデータを取って、エラさんと矢納さんの始末ができたのですが……』
しかし、ミクが現れなかった。
当然だ。船酔いで寝込んでいたのだから……
その様子を見ながら古淵は話を続ける。
『アレンスキーさんの話では、プラズマボールの一発や二発ではキラさんの憑代を破壊できない。なので、キラさんの分身体を見つけたら、間髪を入れずに最低十発は連射すると彼女は言っておりました』
キラの分身と戦ったNo.5の記憶から、そう判断したようだな。
実際、マシンガンのように撃ち出されたプラズマボールを浴びて、キラの分身体は消滅した。
『もっとも、この戦い方では魔力の消耗もそうとう激しいみたいなので、本人もあまりやりたくないと言っていましたが……ところで、エラさんが一番警戒していた式神使いの女の子の姿がありませんが……』
ミクの事も知っている! では、ミクの式神への対策も立てているのか?
「ミクは、ちょっと遅刻しているようだ」
『遅刻? 何か、出てこられない事情でもあるのですか?』
船酔いで寝込んでいるなどとは言えんし……恥とかではなくて、こっちの弱点を教えるわけにはいかない。
「ノーコメントだ」
『という事は、式神使いの女の子は、出てこられないのですね。それは困ったな』
「なんで、あんたが困る?」
古淵はそれに答えないで、しばらく黙り込んでいた。
どうやら、レムと話をしているようだ。
『おや? どうやら間に合ったようですね』
なにが? と聞こうとしたが、映像を見てすぐに分かった。
金色の龍……オボロが《アクラ》の上にいたのだ。
ミク! 大丈夫なのか?
映像を拡大してオボロの上に跨っているミクの様子を見ると、服装がいつものセーラー服ではなくジャージ。ベッドから無理に出てきたのか?
オボロの角が輝き、光の玉……プラズマボールを下に向かって発射した。
一方 《アクラ》の上にいたエラも、プラズマボールを撃ち返す。
映像をさらに拡大して、ミクの顔を見るといつもの余裕がない。蒼白な顔をしている。
「やめさせないと」
『なぜです?』
僕の呟きを聞いた古淵は、意外そうな声で聞いてきた。
「なぜって……」
『ああ! もしかして、心配されているのですか? エラさんがあの女の子の能力を打ち破る手段を用意していると。そんな心配はありません。中の人も、あの女の子を殺すつもりはない。むしろこの戦いで、エラさんには死んでもらう予定です。だから、この戦いを邪魔するような事はしないでください』
「という事は、最初からミクとエラを戦わせるのが目的だったのか!?」
『始まってしまった以上、もう隠す必要はないでしょう。あなたのおっしゃる通りです。僕としては当初 《アクラ》は帝国艦隊を切り離して逃げる事を提案したのですがね。中の人が、それを許さなかったのですよ。ミクさんと言いましたか。あの式神使いの女の子とエラさんを戦わせて、その能力を見極めたいようです』
「それじゃあ、フーファイターのエネルギーを無駄遣いして、島に不時着させたのは……」
『最初からその為のお膳立てですよ。矢納さんはこの事を知らなかったのですけどね。だから、僕は『フローティングアンテナの下に潜水艦がいるはず、確実に破壊するには対消滅爆雷を三発ぐらい使った方がいい』とアドバイスしました。その結果、フーファイターは帰還に必要なエネルギーがなくなり、島に不時着することになったのです。自然な形で。当初ので予定では、ここで式神使いの女の子とエラさんを戦わせるはずでした。あそこなら《アクラ》を危険に晒す事もなく、無事に戦いのデータを取って、エラさんと矢納さんの始末ができたのですが……』
しかし、ミクが現れなかった。
当然だ。船酔いで寝込んでいたのだから……
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