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第十二章

修復中

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 バイザーにメッセージが表示されていた。

『左右脚部の増力機構ブーストシステム及び補助機構アシストシステム、自動修復中。二百秒お待ち下さい』

 三分ちょっとか。今まで、辛うじて足が動いていたのが、修復を始めたので機能を完全停止させたのだな。 

 まあいい。反重力で移動すれば……

「お兄ちゃん」

 声の方を振り向くと、ミクが一人で立っていた。

「ミク。ミールとキラは?」
「役所の中へ入って行ったよ。ミールちゃんの姉弟子さんが停戦命令を無視して戦いをやめないからものだから、本人のところへ直接行くと……」

 停戦命令を無視?

「姉弟子さんは、これはミールちゃんとの私闘だから手出し無用とか言っているそうなの」

 ミールは、なんの恨みを買ったのだ?

「それで、ミールちゃんからの伝言だけど、お兄ちゃんはくれぐれも止めに来ないでほしいって」
「止めに来るな? どうして?」
「分からない。ところで、あれはどうするの? 止めに行くの?」

 ミクは芽依ちゃんと相模原さがみはら月菜るなの言い争いを指さした。その様子をカミラとエラがポカーンと見ている。

 ていうか、コミュ障の芽依ちゃんがよくあんなに舌が回るものだな。まあ、僕もあまり人のことは言えんが……

「止めにいく」
「やめた方がいいよ。あの二人、電脳空間サイバースペースにいる時から、仲が悪かったし」
「そうなのか? 芽依ちゃんって、プライベートではあまり人と争う人には見えないけど」 
「お兄ちゃん。いつまで騙されているの。芽依ちゃんって、普段は猫をかぶっているけど、結構腹黒いよ」
「そうなのか?」
「だから、気が済むまでやらしておこう」
「そうは行かないだろ」
「そもそも、これってお兄ちゃんが態度はっきりさせないからいけないんだよ」
 
 う!

「ミールちゃんを選ぶのか、香子姉を選ぶのか、芽依ちゃんを選ぶのか、レイホーちゃんを選ぶのか」

 いや、僕はもうミールを選ぶつもりだが……

「それとも、あたしを選ぶのか」

 いや、それはないから……

「え! あたしに決めるの。やったあ!」

 こら! こら! こら! まだ何も言っていない。

 うわ!?

 いきなりアクロに持ち上げられた。

「ミク。なんのつもりだ?」
「アクロで運んであげるよ。お兄ちゃん動けないんでしょ」
「それは助かる……て……どこへ?」

 ミクは答えず、芽依ちゃんと相模原月菜が睨み合っているど真ん中に僕を下ろした。

 おい! いきなりこんなところに……せめて心の準備ぐらいさせろ!
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