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第伍章 喧嘩するほど、沼に嵌る

5節目 姉妹の再会

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『お願いがあるんだ…妹の、マリアーナに合わせて欲しい。』
セレンさんは私の肩を掴み、真剣な目で言った。 
「いや、でもぉ…ここから遠いよ…?」
と私は、机に置かれたお米のお菓子のような、せんべいのような物体を食んでいた。
ムシャムシャボリボリ美味しいなぁこれと考えてるとシンが『あ、それなら俺のスキル《俊足者ハシルヒト》でいかだを早く動かせるんじゃね?』と言った。
そういえばスキルがあるじゃん!
「いいアイディアじゃん!そうするか。よし、みんないかだに乗ろう?」と
私は早速行動に移すことにした。

筏に乗ったが、さすがに9人は多すぎるのでアリサ、クウマ、ソラを残して旅に出た。沈んじゃうからね仕方ないね。
また殺風景な泥沼を何時間も何日も見るはずだったのがシンによって無くなることを想像するとすごくありがたく感じた。たまには有能だな!
でも結局数時間かけて海賊の街マリュアスタウンに着いた。んーさすがに遅いね。
着いた時に『ほわぁ、懐かしい匂い。』とセレンさんは呟いてた。
シンは血の匂いにむせて、サクラは吐きそうになってるし、レオンはなんかもう既に手遅れ。あれ、カリスどこ…?あと私は何故か普通だった……え?血の匂いになれたのかな…?確かに大狼キングウルフとか鋼鉄蜘蛛アイアンスパイダーを最近倒してたけどそれで慣れるもんなのかな?(※ユキの鼻があまり良くないだけです。)…まぁいっか!とかそんなくだらないこと考えていると、マリアーナさんが出迎えてくれた。
『あら!この前の子達じゃn………セレン…。』
何故か悲しそうな顔をしつつ、顔を軽く振って、またお家血腥い女の園に引導してもらった。

とりあえずマリアーナさんの家に着いた。
もちろん、セレンさんも一緒だ。
『あの、……………マリィ、喧嘩しちゃってごめん………ボクが悪かったよ。』
とセレンさんは弱々しく謝った。
アリアーナさん、怒りそうだなぁ…と思ったら
『いいわ………というか、私も悪かったわ…ごめんなさい、セレン。』とこちらも意外と弱々しく謝った。
一件落着だった……あれ?なんだか一瞬脳内で漢字変換された気がするが気のせいかな………まぁいっか!(超楽観主義)
みんな呼び出されて、マリアーナさんは大声で喋った。(残っていた三人衆はいつの間にか来ていたらしい。)
『折角だし、みんな泊まっていけるかしら?というか、1回お泊まり会…やってみたかったのよね…!!』と笑顔で言った。
海賊グループのボスというより、1人の高校生にも見える。
セレンさんもよく見ると釣られて笑顔になった。…なんか見覚えのある笑顔…んー、まぁいいか。
それからやはり一泊することにした。
セレンさんのご飯は…まぁ、お察しの通りかもしれないけど、マリアーナさんはマジでプロ級だった。
というか、めちゃめちゃ美味かった。
みんな声を揃えて『美味しい!』を連呼していた。なんか新興宗教みたいな雰囲気になったが気にしない。
そしてさすが女子というか…まぁ色々と雑談をした。
というか、内容が9割恋愛相談コイバナだった。というかちゃっかりセレンさんも混じってる…根は女の子なのか…?
男子はとりあえず別室に行った。ちなみにカリスもここだと男なので別室だ。まぁ恥ずかしいしね。
そしてついに始まってしまった。司会というか、仕切っていたのはマリアーナさんだ。謎すぎるけどなんかそうなった。
『まず、ユキちゃんは好きな人いるの?』
と真っ先に振られた。
「え、ええ!?え、ま、ええ?………い、いまそん。」
なんだか噛み噛みになってしまった。
案の定『ホントにいないのか?』とアリサがにやにやしながら聞いてくる。
それに乗ったサクラも
『ねぇねぇ、いるんでしょ~?えへへ。』とこちらもにやにやする。
とりあえず正直に答えるしかないかな。
「私の好きな人は……。」

そこからあまり覚えてない。
頭が痛い。恥ずかしさと、何故かジュースじゃなくて果実酒ワインが出されてたので、酔ってしまった。いやどゆこと?…あ、マリアーナさん酔ってたわ。
そしていつの間にか、パジャマで布団の中にいた。横にはサクラ達が寝てた。
…あれ、パジャマ持ってない気が………。

そう言えば、この世界に来てから何日だったんだろう…。
ふと疑問に思いながら、布団に潜ってた。
暖かい布団だ。何日ぶりだろう。
私が来たのはここの時間で誕生日の日だ。
誕生日は3月5日だ。
今日は6月30日だね。
つまり3ヶ月くらいは経ったことになるなぁ。ほんと、だいぶ長い旅だなぁ。
今頃サクラもニュースになってると思うし…。
スマホ表示だと11月30日かぁ。なんか不思議だなぁ。
お兄ちゃんは…大丈夫かな?
そんな事考えてたら、涙が出てきた。
夜空を見て黄昏てたからかもしれないけど…。
みんなが起きないように嗚咽を無理やり押さえ込み、横になる。
せめて夢でなら、会えるかもね。
「おやすみ。」
そう小さな声で呟き、眠りに落ちた。

………何故か『…』と、聞こえた気がした。
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