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第五章「キラキラ?チクチク?どっちなの⁉︎」

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 ♢♢♢
 
遠足、交流会に続く、次なるイベント。それは、防災訓練だ。ウチの学校の防災訓練は、六年生は学校に一泊する。午前中は、消防士さんや防災センターのスタッフさん達の話を聞いて、午後からは災害を想定した避難経路の確認、みんなでどうしたらいいかの意見交換、それから夕飯作り。夜は各教室で、寝袋で寝る。もちろんワクワクしちゃダメなんだけど、寝袋なんて初めてだから、実は楽しみなんだ。ナイショだけどね。
 あっという間に当日で、朝からドキドキしっぱなし。今度こそ、今度こそは夕日ヶ丘君の足を引っ張らないように、自分の力でクラス委員としての使命を果たさなきゃ!
「上川先生、わたしやりますから」
「えっ?あ、ありがとう」
 先生は指でメガネのブリッジを上げながら、コクコクうなずく。
「では、これを体育館まで運んでもらえますか?」
「分かりました」
「一人で大丈夫かな?同じクラス委員の夕日ヶ丘君と……」
「いえ!一人で!わたしは一人でやれます!本当です!」
 大して重くないダンボールひと箱、夕日ヶ丘君の手を借りるわけにはいかない!
「そ、そうですか。よろしくお願いします」
「はい」
 わたしの気合いが顔に出てたのか、先生のメガネがちょっとくもって見えたのは、気のせい?
「あ、あ、あ、朝日さん!」
「わぁ!」
「ヒィ……ッ!」
 ひとり体育館までダンボールを運んでると、後ろから声をかけられる。めったにないことで思わずビックリすると、なんで声をかけた側に、それ以上のリアクションでビックリされた。
 同じクラスの女子と、そうじゃない子も含めて四人。みんな明らかにわたしにビクビクしてて、どう見ても「友だちになろう」とか言ってくれそうなフンイキじゃない。
「なに?」
 あーもう。またそっけない返事。なんでわたしって、こうなんだろう。夕日ヶ丘君だったらきっと、キラキラ笑顔でカミ対応するのに。
「あ、あのさ。あんまり、夕日ヶ丘君に頼るのは、どうかと思うよ!」
「え?」
「わ、わたし見てたんだ。夕日ヶ丘君が、朝日さんにお面渡すの。遠足の時も迷惑かけてたし、夕日ヶ丘君が優しいからって、利用するのは違うんじゃない?」
 わたしと同じクラスの、南サヤさん。小さくてかわいくて、いつも友だちと楽しそうに話してる。昔からわたしのこと、みんなと同じようにこわがってる感じだったから、こうやって面と向かって話すのは、たぶん初めて。
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