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第五章「キラキラ?チクチク?どっちなの⁉︎」
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そういえば南さんも、わたしと一緒でクラスの副委員長に立候補してた気がする。わたしがパーで彼女がグーだったから、副委員長になれたんだ。
「利用?わたしが夕日ヶ丘君を?」
「だ、だってそうでしょ?みんなは朝日さんをこわがるけど、彼はそうしないから。でもそれは優しいからで、ホントはイヤだと思う!」
「そうだよ!夕日ヶ丘君もホントは、サヤとやりたかったよ!」
「二人は五年生の時だって、一緒にクラス委員してたんだから!」
あの時は、自分のことしか考えてなかった。わたしは、夕日ヶ丘君と一緒にクラス委員をやりたかった。でも、夕日ヶ丘君は違う。そんなことは、当たり前。
「五年生の時、一緒に……」
うん?それって、六年生でも一緒じゃなきゃいけない理由には、ならないような?
「ど、どうしてにらむの⁉︎」
「にらんでないよ」
考えてたから、つい眉間にシワが寄っちゃった。
「と、とにかく!これ以上夕日ヶ丘君の優しさを、利用したりしないで!」
「サヤの方が、夕日ヶ丘君を助けられると思う!」
「サヤになにかしたら、ゆ、許さないんだからね!」
南さんのお友だちさん、めちゃくちゃ震えてる。わたしのことこわいのに、南さんのために頑張ってるんだ。
……いいなぁ、そんな友だちがいてくれるって。
「行こ、サヤ!」
「こわかったぁ……っ」
「よく頑張ったよ!」
言うだけ言って、彼女たちは走って行っちゃった。わたしはなにも言い返せないまま、さっき言われたことが頭の中で勝手にグルグル回ってた。
「朝日さん、どこ行ってたんだよ。今からクラス委員で、挨拶いかなきゃいけないって知ってただろ?」
教室に戻ると、夕日ヶ丘君にコソッと耳打ちされる。わたしは無意識に、パッと距離を取ってしまった。
「ごめん、遅くなっちゃって。行こうか、挨拶!」
今日話を聞かせてくれる消防士さんや防災センターのスタッフさんに、クラス委員が代表で挨拶に行く。すっかり忘れてた、ホントにごめんなさい。
「なんかあった?」
「ううん、なんにもないよ?先生に頼まれごとしてただけ!」
「……だったらいいけど」
あんなこと言えないし、言うつもりもない。あれから考えてだけど、南さんは夕日ヶ丘君のことが好きなんだ。だからわたしのことが許せないって。
── 夕日ヶ丘君の優しさを、利用したりしないで!
確かに、彼女たちの言う通りかもしれない。わたしは最初、夕日ヶ丘君のあのキラキラスマイルを真似したかったから、副委員長に立候補した。南さんみたいに、純粋に夕日ヶ丘君を思う気持ちじゃなくて、自分のために。それが彼を利用してるって言うんなら、言い訳出来ない。
じゃあ、今は?最初はそうだったとしても、今わたしはどう思ってるんだろう。ただ、笑顔の勉強がしたいだけ?だったらなんで、そのキラキラスマイルを見ると、胸の中がチクチクするんだろう。
「……ねぇ、やっぱなんかあったでしょ?」
「ち、ちょっと緊張してるのかも!」
ダメだ、これ以上考えてたら夕日ヶ丘君にバレちゃう!カンがするどいっていうか、わたしより全然頭いいし、ウソついたってすぐ見抜かれそうだもん。
だからわたしは顔を隠して、なるべく夕日ヶ丘君と目を合わせないことにした。うん、これがいちばんいい。
「利用?わたしが夕日ヶ丘君を?」
「だ、だってそうでしょ?みんなは朝日さんをこわがるけど、彼はそうしないから。でもそれは優しいからで、ホントはイヤだと思う!」
「そうだよ!夕日ヶ丘君もホントは、サヤとやりたかったよ!」
「二人は五年生の時だって、一緒にクラス委員してたんだから!」
あの時は、自分のことしか考えてなかった。わたしは、夕日ヶ丘君と一緒にクラス委員をやりたかった。でも、夕日ヶ丘君は違う。そんなことは、当たり前。
「五年生の時、一緒に……」
うん?それって、六年生でも一緒じゃなきゃいけない理由には、ならないような?
「ど、どうしてにらむの⁉︎」
「にらんでないよ」
考えてたから、つい眉間にシワが寄っちゃった。
「と、とにかく!これ以上夕日ヶ丘君の優しさを、利用したりしないで!」
「サヤの方が、夕日ヶ丘君を助けられると思う!」
「サヤになにかしたら、ゆ、許さないんだからね!」
南さんのお友だちさん、めちゃくちゃ震えてる。わたしのことこわいのに、南さんのために頑張ってるんだ。
……いいなぁ、そんな友だちがいてくれるって。
「行こ、サヤ!」
「こわかったぁ……っ」
「よく頑張ったよ!」
言うだけ言って、彼女たちは走って行っちゃった。わたしはなにも言い返せないまま、さっき言われたことが頭の中で勝手にグルグル回ってた。
「朝日さん、どこ行ってたんだよ。今からクラス委員で、挨拶いかなきゃいけないって知ってただろ?」
教室に戻ると、夕日ヶ丘君にコソッと耳打ちされる。わたしは無意識に、パッと距離を取ってしまった。
「ごめん、遅くなっちゃって。行こうか、挨拶!」
今日話を聞かせてくれる消防士さんや防災センターのスタッフさんに、クラス委員が代表で挨拶に行く。すっかり忘れてた、ホントにごめんなさい。
「なんかあった?」
「ううん、なんにもないよ?先生に頼まれごとしてただけ!」
「……だったらいいけど」
あんなこと言えないし、言うつもりもない。あれから考えてだけど、南さんは夕日ヶ丘君のことが好きなんだ。だからわたしのことが許せないって。
── 夕日ヶ丘君の優しさを、利用したりしないで!
確かに、彼女たちの言う通りかもしれない。わたしは最初、夕日ヶ丘君のあのキラキラスマイルを真似したかったから、副委員長に立候補した。南さんみたいに、純粋に夕日ヶ丘君を思う気持ちじゃなくて、自分のために。それが彼を利用してるって言うんなら、言い訳出来ない。
じゃあ、今は?最初はそうだったとしても、今わたしはどう思ってるんだろう。ただ、笑顔の勉強がしたいだけ?だったらなんで、そのキラキラスマイルを見ると、胸の中がチクチクするんだろう。
「……ねぇ、やっぱなんかあったでしょ?」
「ち、ちょっと緊張してるのかも!」
ダメだ、これ以上考えてたら夕日ヶ丘君にバレちゃう!カンがするどいっていうか、わたしより全然頭いいし、ウソついたってすぐ見抜かれそうだもん。
だからわたしは顔を隠して、なるべく夕日ヶ丘君と目を合わせないことにした。うん、これがいちばんいい。
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