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第四章「かわいいはセイギ!彼のやさしさと、ちょっとのイヘン⁉︎」

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確かこれ、今子どもに大人気の、ゆるっとしたウサギキャラの「みにふわちゃん」だ。わたしも好きだけど、誰にもナイショにしてる。だって似合わないしさ。
「それかぶってたちょっとはマシでしょ」
「も、もしかしてわざわざ持ってきてくれたの?」
「たまたまカバンに入ってただけ」
 そんなの絶対ウソに決まってる。わたしのために(とまでは言ってないけど)、用意してくれたんだ……。
「うう、うれしい……っ」
「こ、こら泣くな!おれがいじめたみたいだろ!」
「悪役令嬢泣かせたら、どんな人なんだって思われちゃうもんね」
「こわいこと言うなよな。いいから早くつけろって」
 お面なんて、いつぶりだろ。家族で地元のお祭りに行ったら、だいたい屋台をやってる人たちの親分だと思われるから、いつのまにか行かなくなっちゃった。
「どうかな、似合ってる?」
「まぁ、こわくはなくなった」
「へへ、そっか!」
 これなら、笑っても大丈夫。もし緊張してしゃべれなくても、このみにふわちゃんのおかげで、なんとかなりそうな気がしてきた。
「ホントにありがとう、夕日ヶ丘君!」
「はいはい。分かったから、もう泣かないでよ」
「うん!」
 涙はすっかり消えた。もともと悲しい涙じゃなくて、嬉しすぎてガマン出来なくて出ちゃったヤツだし。
「あ、みにふわだ!」
「ホントだ、かわいい!」
「みにふわちゃん、一緒にあそんで!」
 さすが、大人気キャラ。さっきまでとは全然違って、わたしの周りにはあっというまに子どもたちが集まってきた。
「ゆ、夕日ヶ丘くぅん……っ」
「だから、泣くなって言ったろ⁉︎」
「うう……そうだよね、がんばらなきゃ」
 お面してても、夕日ヶ丘君にはお見通しみたい。だってこんなこと、生まれて初めてなんだもん。今までずっと遠くから見てるだけだった場所の真ん中に、自分がいる。キラキラした笑顔に、囲まれてる。
「みにふわちゃん、あれやったら?」
 いつもの笑顔で夕日ヶ丘君が指さしたのは、手作りのゲームコーナー。わたしはお花作るのに失敗して、大量のインセキを生み出しちゃったわけだけど、それをうまく使って「カラフルボール投げ」を作った。夕日ヶ丘君も、手伝ってくれたんだよね。
 紙皿を並べて、そこに点数をつける。ラインに立って、インセキボールをそこめがけて投げる!入った分の得点に応じて、景品がもらえちゃうっていう簡単なゲーム。
 お花紙のボールだから小さい子でも投げやすいし、万が一当たっても痛くない。我ながらいい考えだったって思ってたけど、まさかこうやって一緒に遊べるなんて。
「わぁ、みにふわちゃんじょーず!」
「ホントだ、全部に入ってる!」
「すごいすごい!」
 夕日ヶ丘君のおかげで、一緒忘れられない大切な思い出になったよ。ありがとう、夕日ヶ丘君。
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