25 / 44
第四章「かわいいはセイギ!彼のやさしさと、ちょっとのイヘン⁉︎」
④
しおりを挟む
確かこれ、今子どもに大人気の、ゆるっとしたウサギキャラの「みにふわちゃん」だ。わたしも好きだけど、誰にもナイショにしてる。だって似合わないしさ。
「それかぶってたちょっとはマシでしょ」
「も、もしかしてわざわざ持ってきてくれたの?」
「たまたまカバンに入ってただけ」
そんなの絶対ウソに決まってる。わたしのために(とまでは言ってないけど)、用意してくれたんだ……。
「うう、うれしい……っ」
「こ、こら泣くな!おれがいじめたみたいだろ!」
「悪役令嬢泣かせたら、どんな人なんだって思われちゃうもんね」
「こわいこと言うなよな。いいから早くつけろって」
お面なんて、いつぶりだろ。家族で地元のお祭りに行ったら、だいたい屋台をやってる人たちの親分だと思われるから、いつのまにか行かなくなっちゃった。
「どうかな、似合ってる?」
「まぁ、こわくはなくなった」
「へへ、そっか!」
これなら、笑っても大丈夫。もし緊張してしゃべれなくても、このみにふわちゃんのおかげで、なんとかなりそうな気がしてきた。
「ホントにありがとう、夕日ヶ丘君!」
「はいはい。分かったから、もう泣かないでよ」
「うん!」
涙はすっかり消えた。もともと悲しい涙じゃなくて、嬉しすぎてガマン出来なくて出ちゃったヤツだし。
「あ、みにふわだ!」
「ホントだ、かわいい!」
「みにふわちゃん、一緒にあそんで!」
さすが、大人気キャラ。さっきまでとは全然違って、わたしの周りにはあっというまに子どもたちが集まってきた。
「ゆ、夕日ヶ丘くぅん……っ」
「だから、泣くなって言ったろ⁉︎」
「うう……そうだよね、がんばらなきゃ」
お面してても、夕日ヶ丘君にはお見通しみたい。だってこんなこと、生まれて初めてなんだもん。今までずっと遠くから見てるだけだった場所の真ん中に、自分がいる。キラキラした笑顔に、囲まれてる。
「みにふわちゃん、あれやったら?」
いつもの笑顔で夕日ヶ丘君が指さしたのは、手作りのゲームコーナー。わたしはお花作るのに失敗して、大量のインセキを生み出しちゃったわけだけど、それをうまく使って「カラフルボール投げ」を作った。夕日ヶ丘君も、手伝ってくれたんだよね。
紙皿を並べて、そこに点数をつける。ラインに立って、インセキボールをそこめがけて投げる!入った分の得点に応じて、景品がもらえちゃうっていう簡単なゲーム。
お花紙のボールだから小さい子でも投げやすいし、万が一当たっても痛くない。我ながらいい考えだったって思ってたけど、まさかこうやって一緒に遊べるなんて。
「わぁ、みにふわちゃんじょーず!」
「ホントだ、全部に入ってる!」
「すごいすごい!」
夕日ヶ丘君のおかげで、一緒忘れられない大切な思い出になったよ。ありがとう、夕日ヶ丘君。
「それかぶってたちょっとはマシでしょ」
「も、もしかしてわざわざ持ってきてくれたの?」
「たまたまカバンに入ってただけ」
そんなの絶対ウソに決まってる。わたしのために(とまでは言ってないけど)、用意してくれたんだ……。
「うう、うれしい……っ」
「こ、こら泣くな!おれがいじめたみたいだろ!」
「悪役令嬢泣かせたら、どんな人なんだって思われちゃうもんね」
「こわいこと言うなよな。いいから早くつけろって」
お面なんて、いつぶりだろ。家族で地元のお祭りに行ったら、だいたい屋台をやってる人たちの親分だと思われるから、いつのまにか行かなくなっちゃった。
「どうかな、似合ってる?」
「まぁ、こわくはなくなった」
「へへ、そっか!」
これなら、笑っても大丈夫。もし緊張してしゃべれなくても、このみにふわちゃんのおかげで、なんとかなりそうな気がしてきた。
「ホントにありがとう、夕日ヶ丘君!」
「はいはい。分かったから、もう泣かないでよ」
「うん!」
涙はすっかり消えた。もともと悲しい涙じゃなくて、嬉しすぎてガマン出来なくて出ちゃったヤツだし。
「あ、みにふわだ!」
「ホントだ、かわいい!」
「みにふわちゃん、一緒にあそんで!」
さすが、大人気キャラ。さっきまでとは全然違って、わたしの周りにはあっというまに子どもたちが集まってきた。
「ゆ、夕日ヶ丘くぅん……っ」
「だから、泣くなって言ったろ⁉︎」
「うう……そうだよね、がんばらなきゃ」
お面してても、夕日ヶ丘君にはお見通しみたい。だってこんなこと、生まれて初めてなんだもん。今までずっと遠くから見てるだけだった場所の真ん中に、自分がいる。キラキラした笑顔に、囲まれてる。
「みにふわちゃん、あれやったら?」
いつもの笑顔で夕日ヶ丘君が指さしたのは、手作りのゲームコーナー。わたしはお花作るのに失敗して、大量のインセキを生み出しちゃったわけだけど、それをうまく使って「カラフルボール投げ」を作った。夕日ヶ丘君も、手伝ってくれたんだよね。
紙皿を並べて、そこに点数をつける。ラインに立って、インセキボールをそこめがけて投げる!入った分の得点に応じて、景品がもらえちゃうっていう簡単なゲーム。
お花紙のボールだから小さい子でも投げやすいし、万が一当たっても痛くない。我ながらいい考えだったって思ってたけど、まさかこうやって一緒に遊べるなんて。
「わぁ、みにふわちゃんじょーず!」
「ホントだ、全部に入ってる!」
「すごいすごい!」
夕日ヶ丘君のおかげで、一緒忘れられない大切な思い出になったよ。ありがとう、夕日ヶ丘君。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
春夏秋冬の神様たち
桜咲かな
児童書・童話
木瀬津(きせつ)シズカ、16歳。
マンションで一人暮らしをする、ごく普通の女子高校生。
ある日突然、部屋に、季節を司る神様4人が現れた。
その名も、ハル、ナツ、アキ、フユ。
しかも全員がイケメン少年。
4人は、シズカに『一番好きな季節』を決めて欲しいと言う。
その方法は、1人ずつシズカと1日だけ同居する、というもの。
こうして、少女と、イケメン神様4人との1日限りの同居生活が始まる。
私をもう愛していないなら。
水垣するめ
恋愛
その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。
空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。
私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。
街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。
見知った女性と一緒に。
私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。
「え?」
思わず私は声をあげた。
なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。
二人に接点は無いはずだ。
会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。
それが、何故?
ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。
結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。
私の胸の内に不安が湧いてくる。
(駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)
その瞬間。
二人は手を繋いで。
キスをした。
「──」
言葉にならない声が漏れた。
胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。
──アイクは浮気していた。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました
葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。
前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ!
だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます!
「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」
ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?
私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー!
※約六万字で完結するので、長編というより中編です。
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる