悪役令嬢はキラキラ王子とお近付きになりたい!

清澄 セイ

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第三章「ナイスなコンビでいざ遠足⁉︎」

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「は?なにこれ」
「コンポタ!さっき飲みたいって言ってたじゃん?これはホントにぐーぜんなんだけど、実はわたし、コンポタ大好きなんだよね!学校意外は、だいたい持ち歩いてるんだ」
「ウソだろありえねぇ」
「誰にもヒミツだよ!」
「こんなにどーでもいいと思える情報もなかなかないな」
 まだ口つけてないからどーぞ!って言ったら、なんでかすごい顔された。
「……やっぱりいやだよね。悪役令嬢のコンポタなんて」
「なんだその死ぬほど売れなさそうな名前の商品は」
「聖女サマのコンポタだったら、夕日ヶ丘君の役に立てたのに……うぅ……」
 ガクッとヒザをついて、泣きそうになるのをガマンする。すると夕日ヶ丘君は、ため息をつきながら私の手から水筒を取った。
「おれ飲みたいって言った?」
「言ってたよ!さっきみんなの前で!」
「……まぁいいや、なんでも」
 クルクルっとフタを開けて、夕日ヶ丘君はグイッとコンポタを飲む。ゴクゴク音がするくらい、いきおいよく。
「はい飲んだ。返す」
「え、もう⁉︎そんなに飲みたかったの⁉︎」
 家から持ってきたからもう冷めてるとは思うけど、それにしても結構量もあった気がするのに。
「でもよかったぁ……」
「なにがだよ」
「ちょっとでも、夕日ヶ丘君をいやせたかなって!」
「朝日さんってマジで思考がナゾすぎる」
 わたしに出来ることって、あんまない気がするから。おもしろい話もできないし、小動物みたいなかわいさもないし、悪役だし。
「いつも笑顔でみんなをいやしてる夕日ヶ丘君を、今日はわたしがいやしたいって思ったんだよ!」
「……ふーん、あっそ」
「あ!とっておきのチョコレートもあるから、あとであげるね!」
「別にいいって」
 さては夕日ヶ丘君知らないな?チョコに含まれる「デオブロミン」って成分には、リラックス効果があるってこと。それはなんでかっていうと、「幸せホルモン」とも呼ばれてるセロトニンって脳内物質に、デオブロミンが働きかけてくれるからで……。
「なんかめっちゃどーでもいいこと考えてそうな気がする」
「教えようか⁉︎」
「ツツシンデオコトワリシマス」
 夕日ヶ丘君が、ベッと舌を出す。それがイタズラっ子みたいで、めちゃくちゃかわいくてキュンとした。さすが師匠、なんでも出来ちゃうカンペキダンシ。
 目から流星が出そうな勢いで夕日ヶ丘君を見てたら、向こうから人の声。わたしはあわてて立ち上がって、ビシッと敬礼ポーズ。
「見られちゃうとダメだからもう行くね!コンポタ飲んでくれてありがとう!」
「いやなんで朝日さんがお礼言って……」
「じゃあさよならまたね!」
 クラス委員同士とはいえ、わたしと一緒にいても夕日ヶ丘君には良いことないからね。わたしはいっぱいもらってるけど、なんにも返せない。コンポタで、ちょっとでも夕日ヶ丘君の元気が出ますように。
 リュックを置いてる場所に戻ったわたしは、空になった水筒をそこに入れる。よっと背負うとさっきより軽くて、思わずニンマリしそうになった。
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