勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第4章 宮廷魔法士

第24話 勇者召喚前夜

　その後、ラミアを討伐した者たちは王宮に招かれる。俺とローズ、アネットの３人は男爵の位を授けられる。カスパーやアニタたち貴族でなかった者たちは士爵の位を与えられ貴族の仲間入りをする。
　しかし「アニエス様をあがめ隊」やアニタは迷惑そうな顔をしている。彼らにとって貴族の位などどうでもいいのだろう。
　３年が経ち、ローズは２９歳で宮廷魔法士長になる。俺は１５歳、アニタは１６歳、アネットは２０歳になっている。宮廷魔法士は現在７人いる。
　宮廷魔法士はローズを筆頭に俺とアネット、加えてアニタがいるため、貴族の間では花園と呼ばれている。実際、俺たちに会いに魔法省に足を運ぶ貴族が後を絶たない。
　４人の中で俺が一番スレンダーだ。決してつるペタとは言わない。それでもチャームの効果のためか、俺に言い寄る貴族が多い。
　そんな中、ローズは勇者召喚を急いでいる。魔王ミームの存在が確認されたのだ。７大魔族の斬撃のコルトバがブラバント男爵領の村を襲っている。
　しかし、ローズは宮廷魔法士の派遣をしていない。ブラバント男爵領の村には聖剣が隠されていないのでコルトバを退治する必要性を認めていないのだろうか。
　彼女は、上級研究員のヘドガル・フォン・ハーゲンドルフの研究結果を元に勇者召喚の実験を進めている。彼女は最優先事項を勇者召喚と決めている。
　研究を魔族に邪魔されないために宮廷魔法士を魔法省から動かせないのだ。
　あと１年で俺は１６歳になる。女神テイアの言う通りならば、ローズはもう少しで勇者召喚に着手することになるだろう。