勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第4章 宮廷魔法士

第25話 勇者召喚

　斬撃のコルトバの襲撃はブラバント男爵領の村を壊滅させるまで続いた。騎士団や冒険者、さらに近衛の魔法士までコルトバ退治に向かった。
　結果は全て惨敗に終わり、コルトバの襲撃を止めることはできなかった。
　ローズはヘドガルと勇者召喚のめどをつける。召喚には多量の魔力を必要とするため、俺とアネットも勇者召喚に参加することになる。
　アネットは勇者様に会えると喜んでいる。俺は女神テイアに報告することにする。
　（テイア様、勇者召喚に参加することになりました。）（よくやったわ。あとは任せたわよ。）
　（勇者って女にだらしない以外聞いていませんが、どんな人ですか。）（内緒の方が楽しみでしょ。恋に落ちるかもよ。）
　（俺は男に興味ありません。）（女なのに心が体の影響受けないのね。）
　（何ですかそれは。）（女に生まれたら少しは女らしくなるかなと思ったのよ。）
　（気持ち悪い。やめてください。）（まあ、頑張ってね。）
俺は、これなら男に生まれて来ていればよかったと思う。勇者召喚の準備は進められ、王宮の広間で行われることが決まる。
　ヘドガルは広間の床に緻密な魔法陣を描いていく。この魔法陣に強大な魔力を流し込むと勇者が召喚されるらしい。
　勇者召喚の日、王宮の広間には、王族、貴族、近衛隊が集まっている。俺とローズ、アネットは魔法陣の近くに立つ。ヘドガルが王に跪き言う。
　「勇者召喚の用意が出来ました。ご命令を」「うむ、今こそ魔王を打ち倒す勇者を顕現させよ。」
俺とローズ、アネットは魔法陣に触れて魔力を流し込む。魔法陣は光始め、だんだん輝きを強めてまばゆく光る。

　この頃、男が行く当てもなく街の公園に茫然と立っていた。男は突然姿を消す。